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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第二章 カナヤ新興国
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第二章 11 姉弟の再会と第一陣の撃破

「残り十秒か。とりあえず、俺を増やす。ほいで青と赤のプリティーを増やす。ほんで、増やした数だけ俺を増やす。各地に配置」


 アシュラと青と赤のプリティーはおよそ千人、千体ほど全世界の空に配置された。そし、配置されてすぐに、視界は真っ暗になった。




「「「さあ、星を滅ぼすんだ」」」


 大量のウィーチの支配下にあったエージソンは宇宙空間と空をワープで繋げて宇宙のゴミ、星の欠片の岩石、衛星の部品などを空全体に移動させた。




「ふう。ジン王からの警戒指示はまだ続いてるんだよなあ」


 五時五十分。ウールフは事実上解体した宗教の水晶でできている星形の教会に寝転んで空を眺めていた。空は晴れていて星が見えていた。


「うーん。一等星はよく見える。空からの攻撃…ワープを使っていきなり来るのが定石だよなあ。と言っても、俺はあ、星が降って来るとなると対処できるオーラはもう、ないんだがなあ。とりあえず、皇居に戻って大砲の前に行くかあ。六時だもんなあ」


 ウールフはここから走って一分ほどの距離にある皇居に走って向かった。皇居には残党がデモを行っている。そのため、ウールフは灯台下暗しではないが敢えて教会で寝転んでいた。本当に心から信仰していた奴がいたのかも気になってだ。そもそもウールフはショワ王国から宗教国に名前を変えたのは多くの国民が騙されていたからだ。また、多くの人が騙していたからだ。だから、名前を変えたのはウールフなりのせめてもの嫌がらせのつもりだった。そして、かなり待ったが誰一人として遺体を身に来ることはなかった。


「はあ。つくづく気持ち悪い。こうして向かっている内にも大音声で聞こえて来る。殺しても影響があるのか、それともこれが正常なのか」


 ウールフは亜人化して、隠形を意識して皇居にある大砲のところへ辿り着いた。


「はあ。面倒だろうから被害が出ているところに向かへとは言ったが誰一人として残っていないとはあ。教育の仕方を間違えたかあ?」


 残り五分となった。


「うーん。どれほどの規模で来るのか?果たして、俺一人で防ぎ切れるのかあ。まだ、三日しか経っていないのに、立て続けが過ぎるう。どんだけせっかちなんだあ、サンドラはあ」


 オーラの練度を上げろと言ってまだ、三日しか経っていない。真面な修業もできていない。いくら何でも早すぎるのだ。このペースは誰でも文句は言いたくなる。


「夕方、宇宙開発企業がサイバージャックにあったせいで、化学兵器は使えない。おまけに天候荒しによる国力の低下。どんだけ、慎重で用意周到なんだあ」


 カナにより連絡を受ける前に報告に上がって来てはいた。だが、それに関してはカナヤ新興国がどうにもできなかったことから諦めていた。技術力世界一位の新興国ができないのだ。信者が多いせいで科学技術の発展が遅れているショワ宗教国ができるはずがないのだ。


 残り三十秒。カナから連絡が入った。


「隙間なく隕石が落ちる。しかもワープだから一瞬で⁉」


 ウールフはオーラを全力で纏い、危険を見た。危険はまだ、見えなかった。


「クソっ。俺のはあ、実際に見ないと分かんないだ。落ち着け。俺がどうにかしないとショワはダメなんだ。落ち着け」


 ウールフは焦り逸る気持ちを必死に抑えた。自分一人の命だけではなく、国民全員の命が掛かっている。この事実を感じた時、ウールフはかつて感じたことのない恐怖を感じざるをえなかった。


「せめて、この首都だけでも、守って見せるっ!」


 ウールフが覚悟を決めた時、視界には数人のツリトが一匹の青と赤の二色の子猫を頭に乗せて宙に浮いていた。


「は?」


 様々な疑問が頭の中を駆け巡りウールフの思考は一秒間完全に固まってしまった。だが、今、しなければならないことは決まっていた。


「ツリト!できるか?」


 ウールフの大声での確認にツリト=アシュラは振り向きもせずに親指だけを立てた。


 ウールフはなんとなく大丈夫な気がした。




「さて、大方、雲は晴らすことができましたね」


 ライは帝国でひたすら雲を雷刀と自身のシックスセンスの同時併用により斬って晴らしていた。そして、残りは目の前の雲、およそ、五回分となっていた。ここまで到達するのに帝国時間だと朝の五時五十分だった。帝国と新興国では時差が十二時間ある。


「僕の体力も残り少し。もうひと踏ん張りと行きますか」


 ライは雲が帝国全体に張り巡らされてから寝ずに一つずつ斬って晴らしていた。ライが休憩を挟みつつ動き続けた時間はおよそ二十四時間。ライは自身のオーラと向き合い続けていた。先日、サンドラに手も足も出なかったライは必要事項を終えるとすぐに帝国に戻った。帝国に戻ったのは帝国時間で深夜一時。ライは時差もあり目がビンビンに覚めていた。そのため、オーラの練度を上げる修業をした。つまり、ライが休まずに動き続けた時間は二十四時間?否ッ!二十九時間だったのだ!ライのこの異常な体力を持ってしてもライは最後の雲を斬ると同時にその場で崩れ落ち寝転んでしまった。


「おっ!何やらいっぱい連絡が来ていますね。面倒ですね。最後だけ読みますか。ッ!今の僕にはどうにもできませんね。ダメだ、こりゃ。フッ。あーあ。ちゃんと連絡を見とくべきでしたね」


 六時、十秒前。


 空に赤と青の子猫を頭に乗せたツリトが空に複数人浮いていた。丁度、朝日が昇っていて後ろ姿が照らされていた。


「空が晴れているなあ。雲一つない」

「ツリトさん!あとは頼みました」


 ツリト=アシュラは振り向きもせずただ親指を上げるだけで変事をした。




「さて、カナさんの連絡とジン王のシックスセンスがあったからとりあえず、王城に向かったが、僕の知らない内にどうなっているんだ?」


 王都は丸ごと消えていた。それどころか周辺住民さえも消えていた。


「考えられる可能性としては…バウバウ家が入り口を作ったか。ホントにツリトが果たした功績はデカい」


 天候荒しが起こり団長と新人の金はサンドラ戦の時に掘っていた異空間の巣をバウバウ家と共に掘り始めていた。バウバウ家の亜人たちはサンドラ戦後すぐに就職先として異空間の巣を王国全体に掘る仕事が課せられていた。


「だが、二十四時間で進みすぎだな、これは」


 六時、三十秒前。


「なっ!それは僕だけでは無理だ。オーラもほとんど残っていないのに。ツリトに勘違いさせてしまったかな。僕は肉体の疲れだけは取れるんだが、オーラは回復しないのに」


 サンドラ戦の開始前、エージソンがワープでやって来る直前にツリトにぶっちゃけたことだ。あの時はツリトをからかうために言ったが失敗した。援軍無しでは絶対対処できない規模だ。


「と言ってもどこも条件は同じなのだが。しまった。王都に戻るべきじゃなかったな。一般市民がいるところにいるべきだった。…仕方ない。王都の防壁だけでも守るか」


 残り十秒。


 頭に青と赤の子猫を頭に乗せた複数人のツリトが視界に映った。朝日が昇って来ていて輝いて見えた。サルシアは空飛ぶ剣に乗ってツリトのもとに瞬間移動した。


「僕に余力はない。だから、ツリトのオーラを増量させる。ざっと二倍だ」




「フロンティアはオーラの防壁がされている。さすがだ。この感じはゼウスだな。だが、進化した俺の実力を見せつけないとな」


「真横に見えるのが天空か」


 アシュラは自分と同等以上のオーラを感じた。そして、目の前の空間が歪みロングの緑髪の目に円の紋様が入った女が現れた。女はアシュラに触れた。


「うん。今のアシュじゃダメだね。だから」


 再び空間が歪んだ。そして、本体のアシュラが引き寄せられて、女に触れられていた分身は本体がいたところに移動した。


「インドラ⁉」


 残り五秒と迫っていた。サルシアによりオーラが増えて安心していた矢先に不安分子だった。

 今はどっちだ⁉


 それがアシュラの頭の中に駆け巡った疑問だ。善なのか悪なのか?アシュラは一瞬の内に対抗策を考えればならなかった。だが、そんな暇がなかった。


 ちゅっ♡…ちゅっ♡


 二回キスされた。おまけ付きで。


「アシュ、愛してる。それと姉ちゃんを付けてね♡」


 インドラは空間を再び歪ませてワープして消えた。


 アシュラは一秒、激痛に駆られたが適応した。そして、濃い緑の龍鱗、神龍の鱗を纏いオーラ量が爆発的に増えた。


 六時になった。空全体が歪み真っ暗闇になった。空が一瞬吸収されたが岩石が空いっぱいに落ち始めた。


「さて、思わぬ展開があったが始めるか。プリティー」


 青と赤の子猫、プリティーは赤いブラックホールを出した。そのブラックホールの吸引力は余りにも大きかった。それは空さえ吸い込む勢いを出していた。アシュラは星の欠片の岩石を細かく斬り刻み吸収しやすくした。そのため、一分後には全てを吸収しきっていた。


「思ったより、楽勝だな。だが、ちょっとだけヤバいかも」


 目の前の空間が再び歪んだ。やはり、インドラが現れた。


「その子猫、吸収できる量に限度があるんでしょ?」

「分かった?」

「そりゃ、アシュのお姉ちゃんだしね」


 インドラの片目は円の紋様からハートの紋様になっていた。


「お姉ちゃんが燃やしてあげようか?」


 大地が揺れた。否、隆起した。フロンティアだけではない。大陸全部が隆起した。


「残念。インドラ。先にゼウスが動いた」

「プイ!」


 インドラは頬を膨らましてソッポを向いてしまった。アシュラは頭を撫でてやり、その間に青と赤の二色のプリティーを百体ほど、それぞれ各地の海のなかに瞬間移動させた。先ほど、大陸が隆起したという表現をしたが、正確には切り離されて浮いたという表現が正確だ。各地に瞬間移動させたプリティーは吸収したばかりの宇宙のゴミ、星の欠片の岩石を大陸があったスペースに吐き出した。ブラックホールは繋がっている。


「全く、目覚めてすぐにこれか。やはり、アシュラは危険だな」




「じゃあ、もう一回、神龍の血を流して、お互いに濃くする!」

「いつ、二回目が来るか分かんないんだから。それと、何で行ったり来たりしたのさ?」

「天空でもこの騒ぎが起こることは予測していたから皆、私がいないとビビっちゃうの」

「そうか。だったらすぐにでも戻ってやってくれ。俺はもう大丈夫だからさ」

「やだ!カナたち姉妹とキララを連れ戻そうか?」

「それは、あいつらの自由だろ?」

「そうね。でも、龍の血をこれからもあんな使い方するつもりなら話は別。絶対に許さない。でも、姉ちゃんは優しいの。アシュが私だけを見てくれるなら別だよ」

「…分かった。好きにしろ」

「やったー」


 再び空全体が歪んだ。また、同じ量だった。


「ちょっと待って。二回目が来た」

「もうっ!タイミングが悪い」


 アシュラは再びプリティーに赤いブラックホールを出させた。そして、今回もアシュラは吸収しやすいように斬り刻んだ。


「またか。一体だれがアシュラを狙っているんだ」


 再び大地が切り離されて浮いた。そこに海に潜っているプリティーが上空で吸収されている岩石を吐き出した。


 一分ほどで吸収、そして、吐き出すのが同時に完了した。そして、ゼウスは再び接合し始めた。


 アシュラは地上を見た。天空との距離がかなり近くなっている。爪楊枝ほどの大きさに見えていた、建物が鉛筆の芯ほどの大きさになっていた。微妙な差である。だが、確実に大きい変化だ。


「このままだと、ジリ貧だな」


 ちゅっ♡…ちゅっ♡


「体力は大丈夫でしょ?」

「はあ」

「ため息とは何さ。十六年ぶりに再会した姉ちゃんからのおっきな愛を伝えてるのに」

「段々と地上との距離が近づいてきてるのに気付いてる?」

「うん。気付いてるよ。ついでに言うと空も近づいてるよ」

「空も⁉」

「うん。何か手はあるの?」

「ある。けど、さっきの攻撃をとりあえず、終わらせないと結局無駄になる」

「そっか。どうするの?」

「俺がこうして生きられてる理由かな」

「アシュ。ごめんね」

「インドラが気にすることじゃあないさ。生まれた時点では適性がなかっただけだよ。それで、神龍の血に精神が負けていないか?」

「最近は全然大丈夫。って言うか八年ぐらい前から一回もない。それなのに、ママは一回もアシュに会わせてくれなかった」

「それは、俺が悪いんだ」

「アシュは何も悪くないよ。ママが悪いのよ。だって、八年前から一回も連絡が来ないんだからさ」


 インドラの顔は怒りとも悲しみとも取れるとても切ない顔をしていた。事情を考えれば仕方のないことだった。インドラにとってはとても、悲しくて長い八年だったに違いないのだから。


「母さんから連絡が来なかったのは十中八九間違いなく俺のせいだ。責めるなら俺を責めてくれ」

「アシュがツリトになっていたことは知ってるよ。それでも、私は母さんから一回も連絡がなかったのは許せない」


 インドラの顔は怒りに満ち溢れていた。怒りの炎が煮えたぎっていた。


 空が歪んだ。三回目が来た。だから、一旦話を止めるしかなかった。だが、アシュラは最後にもう一度、今度ははっきりと伝えた。


「俺のせいだ。俺があの時ゼウスに負けたからだ」


 アシュラは青と緑の二色の子猫、プリティーを降ろした。それを各地のアシュラも同様のことを行った。宇宙のゴミ、星の欠片の岩石が空間が吸い込まれた後、隙間なく落ちて来た。空間の歪みは岩石を落とす途中で、まだ、歪んだままだった。


「来た。かましたれ、プリティー!」


 青と緑の二色の子猫、プリティーはその手のひらサイズしかない体で体当たりをした。その瞬間、宇宙空間に全て、跳ね返されて大音量の爆発音だけが聞こえて空は歪まなくなり、徐々に元の空に戻った。青々とした空に明るい太陽が照らされていた。


「アシュ。きっかけがアシュだったとしても、私はママを許せない」

「なら、この戦いが終わったら母さんに会いに行こう」

「私が、ママに?分かった。じゃあ、今から母さんに会えるまでアシュから離れないよ」

「出発前に会いに行くよ」

「ダメ。一緒にいる。こうして、触れ合えるのは十六年ぶりなんだから」

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