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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第二章 カナヤ新興国
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第二章 10 アシュラの目覚め/ウィーチの計画

「とりあえず、カナとキララは新興国と一緒に対策に取り組んでくれ。俺たちは俺たちで何とかするよ」


 時刻は四時、リナがあれから色々と情報を探ったが芳しい結果を得られなかった。


「カナ、行って来な。まだ、女王なんだから」

「アナ姉、皆。……行くよ、キララ」

「待ってカナさん。それは、カナさんだけで十分な」


 カナは無理やりキララを連れてロンギヌスにモナの瞬間移動を真似て移動した。キララが抵抗していて可愛かったが。


「さて、ナナ。俺の枷を外せ」

「「「どういうこと?」」」


 ちゃっかりアナはツリトと距離を詰めて聞いて来た。


「ほら、できる範囲で願いを叶えてくれるって言う奴で」

「それは、分かってるんだけど、枷って?」

「セナ。俺のオーラの練度が上がったのはいつぐらいからだ?」

「体を十歳にされた頃辺りからかな」

「リナ。俺の情報が得られなかったのは何歳から下だ?」

「十歳から下」

「ハナ」

「十歳から下」

「宜しい。つまりだな。俺は多分、十歳までの方が強い」

「は?」

「つまりだな。俺は多分、十歳までの方が強い」

「「「うん。バカ言ってるね」」」

「はあ。龍の血と俺の相性はどうだ?」

「「「良い。良すぎる。もう、二人分は入れてるけど、心臓の周りに一センチ半径が伸びたぐらい」」」

「つまり、俺の体は特別」


 全員が黙った。普通に考えてあり得ないことだが可能性を確かにあるからだ。


「セナはツリト君の話にちょっとは信憑性があると思う。確かに封印されてるオーラがあるからさ」

「そういや、そんなこと言ってたな」


 ツリトは今更ながら、ショッピングセンターでセナがおかしいと言っていたのを思い出した。証拠の一つとして提示できるのに忘れていたことに少し恥ずかしく思った。


「ツリト君が十歳の頃より強くなってるかはさておき、重りになっているのは事実」

「なっ」

「別にツリト君が溜めた徳を使わないとは言ってないよ。ナナは最初から使うつもりだったから。でも、ツリト君が訳の分からないことを言うからさ」

「それって、別に保身にはなってないよ。寧ろ、結局俺を傷つけてるかな」

「ガーン」


 一斉に笑いが起こった。


「多分、俺、ナナの弄り方が分かって来たかも」

「「「さすが、ツリト君」」」

「もう、からかわないで!」

「じゃあ、頼むは」

「ツリト君。ナナは後で仕返しするからねっ!」


 ナナは立ち上がると向かい側に座っていたツリトの元に移動して、ちゃっかり隣に座ってアナと同じようにツリトの腕を抱くとオーラを纏い左手に箱のようなものを具現させた。


「じゃあ、行くよ」


 ナナは箱を開けるとツリトの頭まで持ち上げてひっくり返した。そこからは紙吹雪が落ちて来た。すると、ツリトの頭に強烈な記憶、力が漲った。そして、大量の涙が零れた。


「母さん、ミケ姉さん、エマ、レイ、メラ、コメドラ、……、インドラ」


 ツリトの変化を感じた八人は驚愕して声を出すことができなかった。そして、インドラの名前を聞いた時、目を見張った。




「アシュラが封印を解いた」

「…ようやく。未来を見るわ」


「ニケ姉」

「うん。ミケ。やっと会える」


「エマ。アシュが目覚めた」

「レイ、ホントなの?」

「うん。メラの調教が効かなくなったの。だから、コモドラは急に家に向かった。メラは一応ついて行ってる。だから、千里眼で確認したの」

「じゃあ、ホントに」

「うん。アシュは復活したんだよっ」


「目覚めたか、アシュラ」


「ようやく、目覚めたのね、アシュ。おかえり」




「とりあえず、一人にさせてくんない?」


 ツリトは心が落ち着くと八人にそう告げて寝室に入って寝転んだ。セナはさすがにオーラを吸収するのは止めた。今も、色んな感情が渦巻いていて心はぐちゃぐちゃだが隠せるほどには落ち着いていた。


「ふう。今はただ、オーラの練度を取り戻そう」




「ホントにツリト君の言う通りだったね。セナ姉。どんな感じだった?」

「あの、オーラの感じは凄かった。あれは、インドラ様のようなオーラの雰囲気だった」

「「「インドラ様⁉」」」

「じゃあ、調べてみる?ツリト君がインドラ様の双子の弟のアシュラかどうか。リナ?」

「アナ姉。それは、止めておこう。ツリト君がアシュラ様だったとしたらリナたちは殺されちゃう」

「殺されちゃうって?」

「インドラ様に決まってる。あの方のアシュラ様への愛は余りにも大きい。リナたちが逆レイプしたことがバレた時には殺されちゃう」


 リナは話しながら震えていたが、アナたちも徐々にそれが冗談でも何でもないことを思い出すと震え出した。


「ねえ。もし、セナたちの想像通りだったとしてもツリト君は守ってくれると思わない?それに、インドラ様がセナたちを殺すかどうか分からないよ」

「だったら、アナたちはツリト君のサポートをしようよ。そのもしもが起こった時にツリト君、アシュラ様が勝つように」

「「「アナ姉。…だね。じゃあ、アナ姉、先に行って来てよ」」」

「待って。一番仲のいいセナが行くべきよ」

「セナが⁉…別にいいけど」

「…待って。やっぱり、ナナが行くよ。ナナが今回の原因だもん」

「よく、考えたらユナが適任かも。今のツリト君の心の内はぐちゃぐちゃだろうし」

「それだったら、必要に応じて皆のシックスセンスが使えるサナが適任かも」

「待って。それだったらセナもできるっ!」


 八人はツリト=アシュラなど、どうでもよくなり、誰がどさくさに紛れて二人きりになるかを言い争うほど心身は回復していた。




「プリティーの式神が使えそうだな。今のオーラの練度だと」


 一時間半ほど一人になれたツリト=アシュラは十歳までに手に入れていたシックスセンスの能力を確かめていた。成長した今となって使え熟せそうなシックスセンスがいくつもあった。その中から一つだけ、ツリト=アシュラは使おうと決めていた。そして、ペットのシックスセンスを使うことに決めたのだ。


「とりあえず、姿はプリティーにするとして、色わけはしとくか。分かりにくいし」


 などと考えていると扉がノックされた。入って来たのはセナだった。


「ツリト君。もうそろそろ六時になるけど、準備はいい?」

「ああ。バッチグーよ。さてと、そろそろ動き始めるか」


 時刻は五時五十分、六時、十分前だ。セナたちはこの時間になるまで言い争っていた。


「よしっ。まず、初めに俺のことはアシュラと言いなはれ。それと、キララに誤魔化してもらってカナのところに行って来な」

「「「何でよっ!」」」

「まず、俺は宙に浮けるし、瞬間移動もできる。ほんでもって一番安全なのはジャンヌの異空間だから」

「ツリト君の予想が当たりそうなんだよ。一人でどうにかなるの?セナならツリト君を手伝えるはずだよ」

「俺一人で十分かな。なーに、心配はいらん。俺は最強だから。河童にとってフロンティアは最適な環境なんだぜ。まあ、と言っても信じてくれないだろうから」


 ツリトは手のひらに青、藍、緑の三匹の子猫の式神を降ろした。ツリトの両手に三匹が収まっていた。


「ここに三匹の子猫ちゃんがいます。これを一旦、消します。そして、もう一度手を広げると三色の一匹の同じ子猫が現れました。さて、この子猫ちゃん、プリティーにこの飴玉を投げます」


 ツリト=アシュラは実際に飴玉を子猫のプリティーに軽く投げた。すると、オーラの防壁で守られて飴玉は凄い勢いで跳ね返された。ツリトはそれを粉々に斬った。


「さて、プリティーは何をしたでしょう?じゃあ、アナ」

「自身を守って飴玉を跳ね返した。最後のはアシュラ様がやった」

「正解。それと、アシュラでいいよ。ほんでもって、まだ、終わりじゃない」


 アシュラは指をわざと大きく鳴らした。すると、青、藍、緑の三色の子猫、プリティーの数は爆発的に増えた。八人は驚いて何も言えていなかった。


「プリティーは子猫だけど、別の何かにすることもできるぜ」

「「「子猫がいいっ!」」」

「まあ、と言うことで、行って来てくれや」

「「「分かったわ」」」

「じゃあ、宜しく頼む」


 八人はアシュラを残してカナたちの元へ向かった。アシュラは子猫を消すと、青と白、青と赤の二色の子猫を一匹ずつ、降ろした。


「さてと、ささっと片付けるか」


 時刻は五時五十五分になった。




「サンドラさん。五分前です。私の計画通りに事が進んでいます。ここでは、一般市民は家から一切出ることはなく、ショワ宗教国では復興に取り掛かっています。帝国はライが思った通りに全ての雲を晴らしに行き帝都の皇帝に大した護衛はいません。王国も似たような感じです。だから、皆、空の様子には目を向ける余裕は全くありません。それぞれ、王様、皇帝、は簡単に殺せます。そして、今回の一番の目標であるツリトさんは私が隙を見てここで殺します。邪魔はしないでくださいよ」


 ウィーチとサンドラは雨に打たれて、ロンギヌスに雷が落ちるのを見ながら話しているがサンドラは全く興味を持っていなかった。全く実現性がないことだったからだ。ツリトという少年の凄さを分かっていない間抜けぶりからも聞く気が失せていた。だが、あることを思いついた。


「このままじゃあ、面白くないなあ。そうだ!お前にエールを俺が直々に送ってやろう」

「エールですか?私に。もしかして、この星を完璧に滅ぼすつもりですか?」

「お前がツリトを一時間以内に殺せなかったら、七時ピッタリにお前のシックスセンスを永久に抹消してやろう」

「それは、どういうことで?そもそも、私相手にそんなことができるとでも?それと、どうやって抹消するんですか?、もっと言えば、例え使えなくなったとしても、私の体もスペアがありますよ」

「抹消は簡単だ。白のオーラのアンチシックスセンスだ。それで、スペアのことだが、それはある工夫をすると、無意味になる」

「まあ、いいですよ。できなかった時には私のシックスセンスを抹消してください」


 サンドラはウィーチの胸に手をやると満足そうに笑った。


「七時になったら自動で抹消される。分かりやすく体が爆発するのと同時にしてやろう。体が爆発しなかったら抹消されない。せいぜい、頑張れ」


 サンドラはそう言ってウィーチの肩を叩くと笑って異空間、エージソンの施設に戻り、モニターで各国の様子を見た。一方、ウィーチは頭に青筋を浮かべて無理やり笑って気持ちを落ち着かせた。


「勝手ですね。私に無理やり縛りまで作るとは。いいでしょう。何がなんでもツリトさんを殺してみせましょう」


 六時、一分前になった。




 六時、五分前。アシュラはケイとアイの元へ瞬間移動で向かった。二人は朝見た時よりも、明らかにオーラの練度が上がり、強くなっていることを確信した。


「「ツリト君」」

「よっ。もう、ウィーチの指示に従わなくていいぜ」

「「ホントに?」」

「ああ。ちなみに空を晴らすことはできるか?」

「これ以上、悪化させないようにはできるけど、晴らすことはできないわ」

「そっか。じゃあ、ケイ、アイ。天気の悪化を止めてくれ。それと、安全な場所に避難してもらうぜ」


 アシュラは二人の肩に触れると二人をジャンヌの異空間に飛ばした。


「さてと、ウィーチとサンドラの様子を伺うか。ん、なんだ?ウィーチの体にサンドラの白のオーラがある。これは…アンチか。おそらくシックスセンスの抹消。つまり、縛りだな。それと、微妙だがウィーチの体に動いていないオーラがある。自己暗示かな?とりあえず、牽制して来るか」


 時刻は六時、一分前。


「よう、ウィーチ」

「こんばんは。ツリトさん。私はあなたを殺すためなら品性下劣な行動は躊躇いません。既に、色々と攻略していることは分かっていますよ。ですが、六時ピッタリに私はこの星に隙間なく隕石を落とし始めます。あと、三十秒ほどですね。頑張ってください」

「そうか。じゃあ、ここでじっとしてもらうぜ」


 アシュラは青と赤の子猫と青と白の子猫のプリティーを一匹ずつ降ろした。そして、青と赤の子猫を五匹に、青と白の子猫を二匹に増やした。


「ほんじゃあ、一時間後に殺しに来るよ」

「あと、十秒ですよ」


 アシュラは二種類の内一匹ずつを肩に乗せると瞬間移動をして雲の上に移動した。ウィーチの元に残された四匹の青と赤の子猫と一匹の青と白の子猫はウィーチに対して、四匹は四方に並んでウィーチを強い引力で、ウィーチが身動きを取れない程度に、引き寄せて青と白のオーラはウィーチの周りに繭のように糸を巻いて密閉した。そのように攻撃をされてもウィーチは尚も笑っていた。




「私は…計画通りに死んだはずでは?」

「ああ。確かに死んだ。だが、お前は生き返った」


 この時ばかりはウィーチの顔は笑っていなかった。そして、壊れた大きな透明な瓶、カプセルから水が漏れている音を聞きながら体の向きを変えて周りを見た。


「これは、私ですね。しかもこんなにたくさん、おんなじものが。この中から私が生き返るとどうして分かっていたんですか?」

「どうして、生き返らせたんだ?とは聞かないんだな」

「ええ。そんなのはどうせすぐ分かるでしょうから。それで、何故?」

「ハッ。お前のそういうところは嫌いじゃない。戦闘スキルを上げたいか?」

「答えてくれないんですね。私は真正面から戦うつもりは全くありませんよ。修業や筋トレはやりたくありませんから」

「ハッ。なら、お前はすぐに死ぬな」




「これは、驚きました。エージソンがいっぱいじゃないですか」


 ウィーチはもう通常運転に戻っていた。顔には笑みが戻っていた。サンドラは舌打ちをしていた。


「「「はははははっ」」」

「まあ、こういうことだ。俺を復活させるのに飽き足らず、お前も復活させやがった」

「ちなみに、サンドラさんはもっといるんですか?」

「いねえよ。俺が殺してる。今までのお前の失敗作もな」

「そうですか。ちなみに私たちの体のサンプルはどこから?」

「俺だ」

「アンチシックスセンスって奴ですか。こうしてまた、邂逅を果たすとは。まあ、いいでしょう。私はサンドラさんの邪魔をします」

「ハッ。やってみな」


 サンドラは髪をクシャクシャ掻いて部屋から出て行った。


「ところでエージソンさん。何を目標にしているんですか?」

「「「あらゆることを知り、あらゆることを研究し、あらゆることを実験し、あらゆることを生み出し、あらゆることを当たり前にする。このサイクルをただただ、繰り返したい。目標なんてないさ」」」

「私に期待してることは何ですか?」

「「「俺たちは別に明確な何かを求めてお前たちを生き返らせたわけではない。勝手にしてくれ。それも、俺たちにインスピレーションを与えてくれる刺激になる」」」

「なるほどなるほど。聞いた通りの狂人だ」

「じゃあ、私に今の世界の常識を教えてください。なんたって、私が死んでから九百年も経ってるんでしょう?」

「「「いいだろう。この石に触れてみなさい。全てが分かる」」」

「では」




「随分と変わってしまいましたね。私がより活躍できそうな社会に。生前はより武力が重宝されていましたが、今は知力が重宝されていますね。将に弱者中心の社会だ。私は生きる時代を間違えましたね。こっちの方がより楽に、簡単に壊せる。はあ。私が社会にもたらした影響は少しはあったのかもしれませんね。でも、壊しましょう。窮屈になってる」


 ウィーチは新しく入った知識を元に社会構造を昔に戻すための算段を立て始めた。




「エージソンさん。どれぐらい私に、エージソンをくれます?」

「「「好きなだけ持って行くといい。いくらでも数は増えるのだから」」」

「ありがとうございます。では、私の好きなようにさせて頂きます」




「さて、エージソンさんたち。私の指示に従ってください。信じてくださいね」


 ウィーチは一人一人に握手して暗示を掛けて行った。




「サンドラさん。あなたは普段、何をしてるんですか?」


 足元に転がるたくさんのエージソンを踏んでウィーチがサンドラに近づいた。


「お前はなんかきな臭そうなことをしてるじゃないか」

「ええ。それで、これは……」

「週に一回の打ち込み稽古だけど」

「意外です。あなたなら、フロンティアに毎日挑みに行っているとばかりに」

「だろうな。でも、こいつらが無闇に暴走しないように見張らないといけない。それに新武器は見ときたいしな」

「ほう。では、普段は何をしてるんですか?」

「素振りだな」

「フロンティアには行かないんですか?」

「俺は戦闘狂だが、ストーリーも拘りたいのよ。俺が行く時は一人で支配できる力を得た時だけだ。時に、お前は何をしにここに来たんだ?」

「この戦闘用のエージソンたちを手名付けたいと思いまして」

「それは、無しだ。黒の数が減ってしまう」

「確率は上がりますよ。寧ろ、長い将来を考えると黒の数は増えるかもです」

「…確かにそうだ。だが、やはりダメだ。お前は全てを破壊する気だからだ」

「困りましたね。やはり、今のやり方で突き詰めるしかありませんか」




「サンドラさん。エージソンさんからの連絡見ましたか?」

「ああ。パパッと誘拐しに行くか」




「これが、狐人の村ですか。サンドラさん。分かりましたか?」

「この村はダメだな。最高で金だ。次世代に期待だな」

「そうですかあ。十分にサンプルになりそうですけどね」




「この村はどうです?」

「狸野郎の中には黒がいない。紫が最高だ」

「狸野郎って」

「次だ」




「次だ」




「次だ」




「結局、一日中探し回って見つけれたのは二人。しかも、爺さんですか」

「ハッ。子供は村を出ていたからな。まあ、いいんじゃないか。優秀な遺伝子が外に放たれたんだから。それに、亜人を注文通り手に入れたんだから。エージソンに渡しといてくれや」




「サンドラさん。どこに行ってたんですか?今日は素振りをする日だったんじゃないんですか?」

「あん?別に。ようやく掴めそうだ」




「ツリトって少年が自分から黒を名乗り出ていますよ。ここ最近、黒が増えていますね」

「あん?ツリト⁉」

「ええ。十歳だそうですよ。魚の解体ショーをしていました」

「十歳。解体ショー。まさか奴か」

「なんて言ったんですか、サンドラさん?」

「何でもない」




「サンドラさん。連絡見ましたか?」

「ああ。行くか」




「今日は、双子の子供が二人、老人が五人。数年ぶりに探してみると意外と結構いるもんですね。しかも、今回は子供も手に入りました」

「お前、変なことはするなよ」

「私は、ロリコンではないですよ」




「私の暗示は掛かってるかどうか確認できませんからねえ。さて、今日も頑張ってくださいね」

「「「ああ」」」


 ウィーチの目の前には宇宙空間の映像が映し出されていた。映像の中には宇宙空間の星の欠片を搔き集めている衛星が映っていた。




「どうです?ワープの進捗具合は?」

「「「まあまあだな。新しいアイデアがない以上、現状の物を大量に生成しなければならない」」」

「ほう。そうですか。あと、何年ほど掛かりそうですか?」

「「「長くて八年だな」」」

「そうですか。気長に待ちますよ。でも、新しい発明をしてくれることも期待していますがね」


 ウィーチは焦ることなくニコニコとしていた。だが、同時に葉っぱを掛けることも忘れはしなかった。




「さて、サンドラさんに邪魔はされたくないので作ってみたはいいですが、これ以上溜める必要があるのか?」


 ウィーチは今の社会を壊すためにエージソンに水晶的な石を作ってもらっていた。水晶とは何が違うかというと、水晶はオーラを溜めれば溜めるほど大きくなってしまう。希少なもので例外はあるが。今、ウィーチが持っている者はその希少性のある水晶の効果を疑似的に再現したものだった。


「この約九十年間、毎日私のオーラを蓄積しましたが果たして?あの時は私のオーラを全部使って何とかサンドラさんに傷を付けれたぐらいですからね。しかし、私の見積もりでは今のサンドラさん相手にどうにかなるのか全くもって分からない。私の九十年が無駄になる可能性は十分にある。そうなって来ると今回も使いどころを見極めないとですね」




「サンドラさんがボコボコにやられた。エージソンの神速のライフルで。ツリトさんは大したことはありませんが、キララさんとカナさんには要注意ですね。サルシアさんんたちは余り考える必要はないか」


 ウィーチは疑似的な希少性のある水晶を握り、笑みを浮かべた。


「結局、エージソンたちはノルマを達成できませんでしたしね。あの時、八年でできると言っていましたが…フッ。っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」


 ウィーチはエージソンの間抜けさに思わず、嘲笑った。


「私は始めから期待してませんでしたからね。幸い人員は確保されていましたし。それに、サンドラさんも大したことがなかった。これは…可能だ。色々と種を撒き、私の本命を隠しましょう。本命で敵わなかった時はこの石を使い、ツリトさんを殺す。できなかったらできなかったで問題ないですし」


 ウィーチは社会を壊すことがツリトの生死に関わらずできそうだと踏んでいた。ついでに言うと、死んでも、また生き返ることができると踏んでいた。

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