第一章 11 決着1
七時になった。太陽はもう沈んでおり満月と星々が輝いていた。今から命懸けの勝負だというのに明るすぎる夜空だった。その夜空に五カ所空間の歪みが生じ白色の明るい光が突如現れた。三つが三人、一つが四人、もう一つが一人の影が伸びていた。一人の影が伸びている異空間の光が薄くなった。神速のライフルが大きくなっているのだ。その瞬間、ツリトだけが瞬間移動で神速のライフルの前に飛ばされた。
エージソンはスコープを覗いて立っていた。手元にオーラが集中していた。ライフルはまだまだ大きくなりそうだった。もちろんオーラ増量ネックレスを掛けている。
王都を破壊、違うな。ライを狙っている!
エージソンが構えていた銃口は王城に向いておらず少し上に傾いていた。ツリトの大きさほどに既に銃は大きくなっている。ツリトは首、両腕、両膝、お腹を空間を裂くように斬撃を飛ばした。
「死ねっ!」
ツリトは中指を立てた。斬撃がエージソンが引き金を引く前に当たり確実に四肢は千切れた。オーラを纏えなくなった神速のライフルは小型拳銃ほどの大きさに戻った。それを手を伸ばして掴むともう片方の手でネックレスを掴みポケットに入れて自由落下に身を任せた。全てのエージソンがツリトを凝視していた。右斜め奥、壁の向こうで自由落下しているフリーのエージソンたちが不快そうな顔で目を鋭くして睨んでいた。
「いやあ。モテモテだな。でも、そういう視線はだあい嫌いなんだよね」
ツリトは奪った神速のライフルにオーラを纏い銃身を異常に長くして光速のオーラ砲を一秒間に三回の感覚で四回引き金を引いた。言うまでもなくこの神速のライフルは黒シリーズ12アルファーである。当然かなり速い。瞬きをしたら目の前にオーラ砲がある。ツリトは四人の心臓を打ち抜いた。四人は確かに血しぶきがホースを摘まんで水を出すように流れていた。が、一秒後にはすぐに塞がっていた。
「そうか。これがあの時の秘密か」
壁に隠れてお互いに姿が見えなくなった。
「さて、三人も相手だとは思いませんでした」
当然ながら三人はオーラ増量ネックレスを首に掛けている。
「俺は後ろで配置を見てるぜ」
「俺はサポートだ」
「俺が倒そう」
「「「しかし、ホントにライとウールフがいるとはな。カナは来てくれなかったのかい」」」
「ほうほうほうほうほう。カナさんは残念ながら戦いには参戦できませんでしたよ。ですが、ですがですがですがっ!僕を侮るとは良い度胸をしていますね。ボコボコにしてあげますよっ」
ライは雷刀を抜いて額に目のゴーグルを掛けているエージソンの首、両腕、お腹、両膝を斬り刻んだ。その度に雷の電気を体に感電させながら。黒い手袋を着けたエージソンはライに向かってデコピンをした。視覚系のエージソンが死んだ瞬間だった。右斜め後ろにライがいたためノールックだ。空気中に波動が広がりライの体を飛ばした。触覚系はそれを確認すると地面に茶色の手袋を着けた状態で触れてたくさんの土の槍を作り、たくさんの壁も作った。創造の手袋。その名の通り触れたものを媒体にして創造する。
「いやあ。雷刀を使いながら自分のシックスセンスを使えるようにしておいて良かった。おかげで大怪我なし。勢いは殺しきれませんでしたが。しかし、ちょっと目を放した隙にえらいこっちゃ、これは。非常に邪魔ですね」
「一番危険なのはあの骸骨のお面を持った奴だな。骸骨の仮面にターゲットを設定」
顔も、見えないが全身も、薄汚れた灰色の毛で覆われている男、本気で殺そうと思うと自然とこの姿になってしまうウールフは舌をだして唾を落としながら危険を見てターゲット設定を行った。三人ともオーラ増量ネックレスを首に掛けているためオーラ量が多い。
さて、今回はどんな力なのか。与えたダメージは回復しない、か。まあ、妥当だな。
ウールフは息を大きく吸って右手に持つ煙管を口に咥えて吐いた。煙が漂った。オーラ増量ネックレスを首に掛けているため煙の量が多く十分に充満した。ゴーグルを目に掛けているエージソンの首を鋭く尖った爪を刺して脊髄を貫通させた。茶色の手袋を着けていたエージソンも殺そうとしたところ大鎌が目の前で空を斬った。骸骨のお面を被ったエージソンはフードを被り体のラインが全く分からないほど大きな服を着ていて大鎌を担いでいる。
「うーん。煙管の煙の効果が効いていない。どう攻略するかなあ」
煙管の煙の効果は主に煙管を咥えている者以外の五感を奪う。それがこの死神には効いていない。だが、ウールフは必ず殺せる自信を持っている。シックスセンスが殺せる力を与えてくれているから。
「ふう。想定していて良かったな。だが、王城は狙っていなかった。君たちの目的はなんだい?」
サルシアは目の前のオーラ増量ネックレスを首に掛けている三人のエージソンを見ながら余裕な態度で話しかけた。
「「「俺たちは研究のサンプルを集めに来ただけだ」」」
「ほう。じゃあ、サンプルには生死を問わないのかい?」
「「「構わん。だが、なるべく新鮮で生きている者の方が楽ではあるし早いがな」」」
「なるほど。君たちはどれぐらいいるの?」
「「「分からん。だが、俺たちは常に進化している」」」
「分からないと言うのは常に増えていると言うことでいいかい?」
「「「そうだ。俺たちは常に増えている」」」
「なるほど。発明品のデータは必要ないかい?」
「「「はっはっはっはっは。ない。そのための人材は作っているし、指導してくれるものもいるからな」」」
「そうか。もっと聞きたいけどそろそろ始めるか。雷の音が五月蠅いしね」
「「「サルシア、サンプルとして頂いて行くぞっ」」」
「うーん。必中だけどエージソンは死なないか。でも、全身を狙えば死ぬか?まあ、神速のライフルを使ったらの話だけど」
地面に着地したツリトは壁を跳んで登り、ゆっくりと四人組のところに跳んだ。地面に着地する前に空中で着地した。否、立方体を九つの立方体に分けた空間の一つに閉じ込められた。立方体の中心にある立方体の中に敵四人はいた。空間の中は六色の光で照らされていた。
「ルービックキューブか」
「「「「そうだ。必中でルービックキューブに入れるためにルール説明することを条件としている」」」」
「ふーん。今いるのは頂点がある立方体か。壊せないんだけど」
ツリトは試しにこの空間の壁に斬撃を飛ばしてみたがダメだった。
「「「「今からルールを説明する。六面全部揃ったら俺たちの勝ち。揃わなかったら俺たちの負けだ」」」」
「ブロックの動かし方は?制限時間は?勝敗は何を意味する?」
「「「「制限時間はない。勝敗は勝ったら負けたもののシックスセンスを没収できる。ブロックの動かし方は人力だ。ゲームが始まった時ブロックは自由に行き来できる。妨害もありだ」」」」
「なるほど。人数の不利はどうにかならないのか?あと、俺、ルービックキューブの揃え方知らない」
「「「「人数の不利はどうにもならない。揃え方を知らんのは知らん」」」」
「じゃあ、妨害の結果、どっちかのチームが全滅、或いは一生行動不能になったら?」
「「「「その場合は生き残った方の勝ちとなる」」」」
「じゃあ、自力でここから出たら?」
「「「「その場合は二つに分かれる。ルービックキュ―ブを壊さずに出たら反則負け。壊して出たら壊した者の勝ちだ」」」」
「じゃあ、降参はあり?」
「「「「ありだ」」」」
「はあ。俺に勝てると思ってるのか?」
「面倒臭いなあ」
雷が何度も鳴り響き土器が壊されるような音が絶え間なく聞こえて観客、王都の一般人全員がパニックに陥った。キララはマジックショーを始める前だったため空中でその様子を見ていた。
「さっきまであんなにボルテージが上がってたのに一瞬で違うボルテージが上がっちゃったよ。仕方ない」
キララは下で落ち着かせようと精一杯声を掛けている騎士たちのトップ、リザーリアを見た。彼は両手を合わせてキララを見て「頼む!」と叫んでいた。
「はあ。五分間、許可なしに話すな」
パニックを起こしている一般人の意思を欺かせた。皆不安で騒いでないと心が落ち着かないのだろう。しかし、ずっと騒いでいても堂々巡りで不安はなくならない。だから、この場で一番、信頼が厚いであろう人物、近衛騎士団団長リザーリアに視線が一気に集まった。
「落ち着いてください。王城にはこういう時に備えた避難経路がありますから。実はこのキララ少女には君たちの避難を手伝ってもらっていた」
視線が空中のキララに一斉に集まった。その視線は「てへぺろ」と舌を出して角のない頭に手をグーにしてポンとしているキララが見えている。
「つまり、我々は事前に知っていたため、ツリト少年に壁を壊してもらい王都の全員をこの王城周辺に集めたのだ」
王城を囲んで円状に一般人たちが間を詰めて何列も隙間を少ししか開けずに城のてっぺんに立つリザーリアを見ている。その十メートルほど上空にはキララが浮いている。
「だから、我々の指示に静かに従ってもらいたい。では、避難誘導を始めてくれ」
その言葉を待っていた近衛騎士や騎士たちが避難誘導、王城に近づくように誘導を始めた。同時にキララを除いて結界も敷いた。
「ありがとう、キララ少女。君のおかげで避難誘導が安全に進みそうだ。君も非難を始めてくれ給え」
「ありがとう。でも、大丈夫。敵が来た時に対処しないといけないから」
キララは青色に見えていたオーラを黒色に見えるようにした。角は見せずに。
「失礼した。サルシアが用意し、違うな。ツリト少年が用意した仲間だったな。では、失礼します」
「うん。頑張って」
キララは仮面を着けて全身に龍鱗を纏った。オーラの量が爆発的に上がった。ネックレスは掛けているがもっとだ。
「ツリトだけは死なせない」
目の前の空間の歪みを睨みつけてキララは呟いたのだった。
時は遡りエージソンたちが出動メンバーを決めた時だ。別の異空間からその様子を覗いている者たちがいた。
「と、あいつらエージソンたちは言っているがどうするよ?」
ここはクローンを作っている人体実験施設プラスアルファー施設である。今語った男はエージソンたちの会議を見ていた。
「「「俺たちは実際の戦闘の危機感がないな」」」
ここにいるエージソンたちは大事な情報を自分たちだけが持つ知識を与えていない。理由としては環境の変化でアイデアは変わっていくため自分ではない自分たちがインスピレーションを与えてくれることを期待しているからだ。そのために敢えて情報を隠す。実際に他の異空間のエージソンたちもやっていることだ。
「確実に王様のサンプルを取りたいなら俺が行くか?」
「「「お前が行くのはマズイ。サンプル以外も殺してしまうだろう?」」」
「なら、どうするよ?」
「「「レベルゼロのお前でいいんじゃないか?」」」
「アレは今から殺そうか?データはもう取れたんだから。いや、今から殺す。不完全品はムカつくからな」
「「「はあ。だったらレベルゼロの人造人間にしよう」」」
「分かった。俺がついでに連れ出して来るわ」
真っ青の髪に蒼の目をした深紅の着物を着た長身のワイルドなイケメンが適当に結んでいる後ろ髪を軽く搔きながら返事した。
「「「サルシア、サンプルとして頂いて行くぞっ」」」
視覚系のエージソンはその場から動かず、触覚系のエージソンは片膝を着き茶色の手袋を着けた両手を地面に着けようとしていて、赤い糸を小指に巻いたエージソンは触覚系のエージソンの後ろに移動しようとしていた。一方、サルシアは腰に携えている二本の剣の内、青色の剣を抜くとゴーグルを着けているエージソンに向かって剣を振り手を放した。
剣は一直線にゴーグルのエージソンに飛ぶと脇腹から骨盤の上まで斜めに体を真っ二つに斬った。空飛ぶ剣。名前の通り空を飛ぶ剣だ。操縦はサルシアの左手でされてある。
「「なっ」」
一瞬の早業にエージソンたちは驚嘆の声を漏らした。が、動きは止まらず触覚系のエージソンは壁を自分たちの周りに隙間を開けながら無数に円状に土で壁を作った。もう一人のエージソンは赤い糸を後ろから遠回りしてサルシアに向かって伸ばしていった。
「さあ。全部壊してもいいけど、壊さない方が有利かな」
サルシアはエージソンたちの真上に瞬間移動した。空飛ぶ剣を自分に戻すと剣の上に乗りもう片方の剣を抜いた。選択の剣。あの刀の剣バージョンだ。サルシアは剣に乗ったまま真下に垂直に下りた。触覚系のエージソンは屋根を作ってから壁を作り地面を掘って地下に逃げ道を作った。赤い糸のエージソンは赤い糸を小指に既に戻していた。
「単純だね。こんな奴らが僕に勝てると思っているのは腹立つな」
それを見たサルシアは結界を張って土の屋根や壁、地面事囲んだ。結界内にエージソンを囚わせたのだ。エージソンたちは突如目の前に結界が現れて結界を必死に殴ったり土のドリルを当てたりしている。
「ツリトは団長たちと戦った時これは体験していなかったな。これが一番厄介なことだったから体験して欲しかったんだけどな」
サルシアは結界を縮小していった。結界内にいる二人のエージソンは地面の砂に埋もれないように上に跳んだ。屋根は既に壊してある。というより創造の手袋で作ったものは既に壊してある。結界の立方体の半分に土が埋まってある。そんな中でもますます結界は縮小している。
「「クソっ。オーラ量は俺たちの方が多いはずなのに」」
「俺が状況を打開する」
「任せていいか」
二人のエージソンの声が重なった。創造の手袋を着けたエージソンは四つん這いになって手元にペンを具現した。
「創造の設計ペン」
地面にオーラでドリルを書き始めた。それを見たサルシアは笑った。
「はははっ。無駄無駄。スピードを上げよっか」
サルシアは結界を縮小させるスピードを速めた。エージソンがドリルを書き上げオーラを流しドリルを創造して倒れた時には寝転んでやっと息を吸えるほどしかスペースがなかった。赤い糸のエージソンはすぐにドリルを握ろうとしたが遅かった。結界内には完全に土しか見えなくなった。尚もどんどん縮小していく。やがて完全に空気が抜けて土器のように固まってしまい縮小できなくなった。
突如、大きな咆哮が聞えた。
「っ⁉」
サルシアは思わず息を飲み十秒ほど固まってしまった。戦いはほぼ決着していたため安心してしまっていたのだろう。一度、深呼吸して平常に戻った。
「心臓を貫かれても死なないみたいだけど圧迫死、窒息死はどうなんだい?まあ、一応エージソン」
サルシアは結界を解いて目の前の立方体の土の塊に選択の剣を二回振った。
「さて、完全に息の根は止めたね。急ごうか」
ウールフは煙管の煙の効果が効いていない死神を対処するためにまずは触覚系のエージソンを利用することにした。手始めに煙管で砂を死神とエージソンがいるところに砂を飛ばしてみた。死神は触覚系のエージソンを守るように立っている。
「さて、どうするう?」
死神は大鎌で砂を薙ぎ払った。
「ふむう。なら、何重にもやってやるか」
ウールフは死神とエージソンの周りを走りながら煙管で砂を掘り飛ばした。死神は茫然と立ち尽くしているエージソンを守りながらウールフの攻撃に対応している。ウールフはフェイントを入れ始めた。急に立ち止まったり砂を飛ばす角度を変えたりとしてみた。
突如、大きな咆哮が聞えた。
この場にいる全員が鳥肌が立ち動きが止まったがいち早く正気に戻ったのはウールフだった。やはり、戦歴がこういう時は物を言うのだ。ウールフは茫然と立ち尽くしているエージソンの首を鋭い爪で貫き頭部を千切ってぶん投げた。そして、死神の骸骨のお面を外してやった。そして、首を同じように貫いて頭部を千切りぶん投げた。
「ふう。すげえ面倒臭くなってんじゃあないかあ」
ウールフは咆哮が聞えた王城の方向に急いだ。
目の前に無数の壁ができて姿を隠されたライは笑っていた。
「いやあ、こんなもので僕を止められるとおもっているんんですか?」
ライは壁に手を触れると壁は破壊された。ライのシックスセンスによるものだ。オーラを弾く。この壁はオーラで作られているから壊せるのだ。その後も次々に壁は壊されていく。途中、土でできた槍も飛ばされるが簡単に弾かれて壊される。ゆっくりと歩いてオーラの気配がする方へ歩いて行った。壁の隙間からオーラを纏っているエージソンが土に両手を着けているのが見えた。
「なるほど。もう一人は不意打ちを狙っているわけですか。乗ってやりましょう」
創造の手袋を着けているエージソンは円状の壁を作った。
「オーラの気配はします。わざわざ視界を塞いで何を狙っているんですか?」
ライはそんなことは言いつつ目の前の壁を壊していく。やがて、円状の壁の前に辿り着いた。
突如、大きな咆哮が聞えた。
全身の毛が逆立ちそうになるほどの鳥肌が立ったのだろうか。壁の中から足音が聞えて来た。
ニタッ
思わず笑みが零れたライは雷刀にいつもと同じほどのオーラを纏い、自分のシックスセンスを使用しながら壁事何回も黒い手袋を着けていたエージソンの体を斬り刻んだ。首と片腕と胴体と両太ももを斬っていたみたいだ。息の根は完全に止まっていた。目の前には驚愕の表情に染めているエージソンが土を媒体に無数の針を作ってライに飛ばそうとしていた。ライは真正面から突っ込んで首と胴体を斬った。
「普段から連携をしていないのでしょうね。狙いが最初から分かりましたよ。さてと、あっちは楽しそうですね。行きますか」
「はあ。俺に勝てると思ってるのか?」
「「「「ゲームスタートだ」」」」
一つ一つの立方体の内側に穴が開いた。三カ所と四カ所開いている穴がある。穴には棒がついておりそれで動かすようだ。だが、ツリトは少し腹が立った。いや、かなり腸が煮えくり返っていた。エージソンたち四人がいるところは壁が開閉式になっており、しかもそこから全ての面を動かせれるようになっていた。
「どこまでお前ら有利なルールにしてるんだよっ!」
ツリトは空間の壁は壊せないが空間を斬る斬撃を無数に真ん中の立方体以外に飛ばした。少し工夫をした。全ての立方体に同じ量、威力、方向に飛ばしたのだ。そして、ツリト自身は立方体の壁にオーラを纏って触れた。
適応するためだ。いくらエージソンの黒シリーズと言っても所詮はオーラで作られている。ツリトが蟻の亜人の異空間の巣を斬った時、ツリトはかすり傷を入れたと言った。しかし、傷を入れたのは異空間自体ではなく、巣を掘る時に残した痕跡にだ。髪の毛、汗、匂い、指紋、血などの痕跡を斬ることでツリト自身のオーラを異空間に触れさせていたのだ。理由は簡単だ。適応するためだ。適応するのに必要な時間は一瞬だけ触れるのであれば一時間ぐらい触れるものもある。だが、今こうして、自身のオーラを大量にこのルービックキューブ内に触れさせることで時間の短縮を狙っている。
「「「「クソっ。ツリトのせいでルービックキューブが動かせないっ!だが、このままの状態であれば何の問題もない。……。ホントにそうか?俺たちを狙って来ないのは何故だ?俺たちを狙わなくても勝てるから。だが、このルービックキューブはそう簡単に壊せるはずはない。どうする?俺たちはここで無理して動くべきか、否か。待てよ。そもそも俺たちは殺せなくてもいいんだ。行動不能。一人が犠牲になるだけでいい。封印の壺の俺を三人でサポートだ」」」」
突如、大きな咆哮が聞えた。
五人の体が震えた。四人は鳥肌が立った。ツリトは焦りを覚えた。
「キララ」
咆哮はいつものキララのような優しくて甘えるような声ではなく怒気や恐怖が混ざっていた。この声がツリトを急かした。エージソンたちはビビッて体がまだ動いていない。ツリトはルービックキューブの中心の立方体にも無数の空間を斬る斬撃を放った。四人のエージソンたちは閉まっている空間を開けようとしたが衝撃が強くて開けるのを覚悟する必要があった。
「「「「閉じ込められた⁉触覚系で壁を支えて微妙に開けて封印の壺の蓋を視覚系に投げてもらって当てる。囮は無意味だ」」」」
四人のエージソンは扉を開けて封印の壺の蓋を投げようとした時ルービックキューブが破壊されてエージソンたちのシックスセンスが没収された。それは同時にエージソンのシックスセンスを使うための全てのオーラがツリトに渡ったということを意味していた。
「別にお前らを殺すのは簡単だったからな。どういう勝算があって俺に勝てると思っていたのか知りたいぐらいだ。体を詳しく調べてもいいけど死んでくれ。どうせ、何か仕組んでいるだろうから」
ツリトは四人の体を首、胴体、膝の三か所を斬ってエージソン四人を殺した。
「さてと。何か雷も鳴り止んだし結構ヤバいかも」
ツリトは急いで王城に向かった。
「さて、お前がどこまで通用するか試して来い。俺は用が済んだからもう行く」
青髪蒼目のワイルドなイケメンで深紅の着物を着た髪を後ろに括った男が足元の全く同じ姿格好をした死体を足で踏みながら人造人間の手綱を握っている。
「ああ、初めて俺のアイデアが実践で試せるよ」
「言っとくが、お前は全然通用しないと思うぜ」
「「「では俺たちの夢を実現してくれ」」」
人造人間はエージソンを媒体にしている。そのため、シックスセンスはそのままだ。多少、オーラ量が増大している。だが、身体的特徴が大きく変わっている。目は鳥の視力を持ち、手は蟻の握力を持ち、足はウサギの脚力を持ち、全身にウニの棘を生やしている。要は戦闘力が上がっているのだ。おまけにオーラ増量ネックレス、黒シリーズシックスアルファー、を掛けている。そのエージソンが今から王様を誘拐しに行く。




