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九話

先輩の説得もありなんとか道場には通わせてもらえることになった。

相変わらずまともに修練に励んでいるところは見ていないが根はいい人なのだろう。




復帰初日。

先輩は約束通り家まで迎えに来てくれた。

道場までの道を走らされたが・・・。

何をするにしても脚力は大事なのだと言っていたが本当かどうかはわからない。

道場の門をくぐりキョロキョロしていると先輩に声をかけられる。

「どうしたそんなキョロキョロして」

「いえ、何でもないです」

アリアがいるかもと思ったがまだ来ていないようだ。

「そんじゃ、俺は行くからな」

「ありがとうございました」

先輩は溜まり場となっている奥へと歩き去っていった。




アレンが1人で素振りをしていると1時間ほどしてアリアがやってきた。

やってきたのは先輩達の溜まり場になっている方向からだった

心持ち少しフラついているような気がする。

「アリア。大丈夫?」

「えぇ。私は平気よ」

そう言って素振りをはじめる。

「ねぇ。アリア。先輩達と何かあった?」

「えっ?どうしてそう思うの」

「なんだか疲れてるように見えるよ」

「アレンが襲われたでしょ?それで前より厳しく指導されるようになちゃって・・・」

「そうなの?」

「そうだよ。だからアレンは全然気にしなくていいんだからね」

そう言って笑うアリアをただ見ていることしかできなかった。

僕はどこまでダメなのだろうか。

大切な人どころか自分の身すら守れない。

こんなのじゃダメだ。

心を鎮めて無心で素振りを繰り返す。

道主が手本で見せてくれた素振りを何度も頭の中で思い出す。

もっと早く。

もっと鋭く。

もっと重く。

1本1本に集中する。

急に周囲の音が消える。

全ての物が遅く感じる。

不思議な感覚の中素振りを続ける。

どれぐらいそうしていただろうか。

集中が途切れ周囲の音が聞こえだす。

隣を見れば驚いたようなアリアがいた。

「何なの今の動き。まるで父さんみたいだった・・・」

「道主がどうかした?」

「ううん。なんでもない。アレンはアレンよね」

その後も素振りを続けたけれどその後はいつも通りだった。

アリアが途中で先輩に呼び出され抜けたのもいつも通り・・・。

1人で黙々と素振りを続ける。

アリアも先輩達と頑張っている。

だと言うのに隣にアリアがいないだけで集中力にかけた。

自分の不甲斐なさに嫌になる。

剣は自分を写す鏡。

自分の弱さを見せつけられるようでそれが嫌だった。


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