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八十三話 クスの過去その2

いつの頃からだろうか薬を受け取りに来る人間が変わった。

薬を受け取りに来るのは若い男の人で度々襲われかけた。

その度に薬を上手く使いクスは自衛をしていた。




ある日、組織から遣わされた使いの物がもっと金になる薬はないのかと言ってきた。

クスは今まで違法な薬品だけは作らないできた。

闇組織もクスの怒りを買いたくないのか普通の薬を求めてくるだけだった。

「ないわよ。そんなの・・・」

「例えばだ。こんな薬はどうだ?」

そう言って瓶に入った薬を出してくる。

クスは薬の匂いを嗅ぐ。

すると意識がくらくらしてくる。

嫌な予感がして男に睡眠薬を染み込ませた針を打ち込んだ。

その予感は正解だった。

匂いを嗅いだだけで体中が疼いてくる。

クスはそれが強力な媚薬だったのだと理解した。

クスは震える体で解毒薬を作り服用する。

危なかった。

男に睡眠薬を打ち込んでいなければ襲われていただろう。




クスは考える。

この世の中には危険な媚薬が存在している。

依存性がなく副作用のない媚薬を作れればお金になるのではないかと。

その日からクスは自分を実験台に媚薬の開発を開始した。

1か月後、媚薬は完成した。




クスは媚薬を持って久々に街にまで出てきた。

闇組織の頭目と会うためだ。

頭目とはすんなりと会うことができた。

「自分から来るなんて何かあったのか?」

「新しい薬を作ったから協力してほしいの」

「ほぅ。金の匂いがするな」

「これは私が作った媚薬よ。依存性も副作用もないはずだけどデータが欲しいわ」

「なるほどな。今、出回ってる媚薬は問題だらけだ。俺らも目を光らせているがそれでも使われて廃人になられたりする」

「協力してくれるのかしら?」

「いいだろう。だが、お前は直接顔を出さない方がいい」

「データだけくれればいいわ」




データを集めるのに数日ほしいと言われたクスは街をぶらぶらして過ごした。

数日経ち、データを見たクスは問題がないことを確認して頭目に売ることを約束して小屋に戻った。




媚薬を使われかけた日からクスはより慎重になった。

こんな薬を作っておいてなんだが好きでもない男と寝るなんて死んでもごめんだ。

薬を取りにきた男からリストを貰い用意する。

媚薬の数が頭目と約束した数より多い。

自分達で使うつもりなのかもしれないがクスには関係ないことだ。

言われた数を作り渡してさっさと出て行ってもらう。

クスは余裕が生まれたことで新しい薬の試作を続ける生活を続けるのだった。

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