七十一話
「でも、クスはどうして2人の危機がわかったんですか?」
「私の手伝いをする代わりに薬を渡してたんだけどね。要求してきた薬の量がおかしかったのよ」
「どんな薬だったんですか?」
「適量なら問題ないけど量を間違えたり長時間使用すれば廃人になる可能性もあるわ」
「そんな・・・。2人は大丈夫なんですか?」
「解毒はしたけどかなりの量と長時間使われていたからね。2人の頑張り次第かしら」
「そうですか・・・。2人を助けてくれてありがとうございます」
「お礼はいいわ。元々私が作った薬が原因だからね」
「とにかくお疲れでしょう。何か買ってきますね」
2人の状態は気になるがここにいてもできることはなさそうだ。
それならお礼に何か美味しい物でも買ってくる方がいいだろう。
夕方ということもありどこのお店も混んでいたが肉入りの野菜炒めと麦粥を買ってアレンは戻ってきた。
「今、戻りました」
「わざわざありがとう」
「いえ、多めに買ってきたんですけど2人は食べられそうですか?」
クスはずっとついて面倒を見てくれていたようだ。
「今眠ったところだから起こさない方がいいわ」
「そうですか・・・」
2人見れば運ばれてきたときより安定しているようだ。
「それにしても先輩達は何を考えているのか・・・」
「あいつらになら罰を与えておいたわ」
「えっ・・・?」
「あいつらにはいい薬よ。女の敵だからね」
「薬師が言うと何やら怖いですね」
「薬師はね。人を救うこともできる殺すこともできる」
「道主も言ってましたね。剣術をどう生かすかはその人次第。人を殺める殺人者になるのか人々を守る英雄になるのか」
「私はどっちだと思う?」
「人を助ける薬師じゃないんですか?」
「ふふ。私が?お金が必要だからって違法薬物を作るような女なのに」
「それはそうですが生きる為に必要だったからでしょ?受け取った薬をどう使うかはその人次第。貴方の罪ではないと思います」
「貴方を見ていると自分の今までのあり方が間違っていたように見えるわね」
「そんな大層な物では・・・」
「私、決めたわ正式な薬師の試験受ける。それでここの薬師になってあげる」
修練中怪我など珍しいことでもない。
薬師が常駐してくれれば大いに役立つだろう。
「僕の一存では決められませんがお願いします」
「そうと分かればご飯食べてから勉強ね」
クスは何やらやる気に満ちている。
「アレンも簡単な処置は知っていて損はないわよ。明日からビシバシ鍛えてあげるからね」
クスはそう宣言するのだった。




