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田舎の剣術道場に通う僕は道場主の娘に恋をする  作者: 髙龍


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六十八話

「はぁ・・・。またこいつはこんなところで寝てるのか」

「いつもこうなんですか?」

「腕は確かなんだけどなぁ」

先輩が揺すると薬師と思われる人物が起き上がる。

その人物は年若い女の子だった。

「ふぁ。もう少し寝かせて・・・」

「ちゃんと飯食ってるか?」

「これ」

そう言ってその女の子は干し肉らしき物を持ちあげる。

「まったく。ほっとくとほんと死にそうなやつだな」

「失礼ね。そこまでじゃないわよ」

「勝手に食料使うぞ」

「うん」

そう言って先輩は奥へと向かってしまった。

取り残されたアレンはどうしたらいいのかがわからない。

アレンの気配を感じたのか女の子がじっと見つめてくる。

「うん?君ははじめましてだね」

「はじめましてアレンです」

「そう・・・。私はクス。よろしくね」

「クスさんですね。よろしくお願いします」

「あぁ。敬語なんていいから。歳もそうかわらないし」

「クスはここで1人で暮らしてるの?」

「そうだよ」

「寂しくはないんですか?」

「そうでもないかな。君達みたいに訪ねてくる人もいるしね」

「なんで違法薬師なんかに?」

「君は物をズバズバ言うんだね」

「気を害したならすみません」

「ううん。いいよ別に。元々は私のお婆ちゃんが薬師でね。手伝ってるうちに覚えたんだ」

「そうだったんですね」

「正規の薬師になるにはお金がかかるからね。こっそり薬を作って生活してるってわけ」

「薬師になるにはそんなにお金がかかるんですか?」

「馬鹿みたいな額を払って学園に通わないといけないんだよ」

「へぇ・・・」

「それはそうと。君、結構いい体してるね」

「そうですか?」

「ちょっと服、脱いでみてよ」

「別にいいですけど・・・」

アレンは言われた通りに服を脱ぐ。

「ふむふむ。適度に筋力があって・・・。いいね。いいね」

そう言ってクスはあちらこちらを触りまくってくる。

「ちょっとくすぐったいですよ」

「いいからいいから。じっとしてて」

その後もクスは鼻息を荒くしつつ体を触り続けた。




「お~い。お前ら何やってんの」

そう言って先輩が顔を出す。

「いやぁ。いい物見たわ」

一通りアレンの体を触って満足したのかクスの顔は晴れやかだ。

「飯できたぞ」

「今、行きます」

アレンは服を着てクスと共に奥へと向かった。

そこにはスープと麦粥があった。

「先輩って料理出来たんですね」

「あぁ。これぐらいできないと生活できないからな」

先輩の顔は少し自慢げだった。

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