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田舎の剣術道場に通う僕は道場主の娘に恋をする  作者: 髙龍


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三十七話

「アレン。何してるの?」

いつの間にかアリアが後ろにいた。

アリアがアレンの手元を覗きこんでくる。

「ユーリさんじゃない。懐かしいなぁ」

「アリアはこの人のこと知ってるの?」

「うん。昔は修練の合間を縫ってよく遊んでくれたんだ」

「そうなんだ」

「ユーリさんは私の憧れなの。優しくて強いから・・・」

「嬢ちゃんの憧れかぁ。そうなれるように教えないとな」

先輩はそう言って笑っている。

「それで嬢ちゃんはどうしたんだ?」

「そろそろ修練するからって他の先輩達が」

「確かに今日は修練時間足りてないからな」

「アレン。ごめんね。食器の片づけ頼んでもいい?」

「わかったよ。先輩。これありがとうございました」

アレンは先輩にお礼をつげてから食器を回収して母屋に戻った。




食器洗いも終わりアレンは水晶を眺めている。

水晶の中ではユーリさんが黙々と素振りをしている。

水晶の中で素振りをしているユーリさんの顔はとても真剣だ。

ずっと見ていたいが明日も修練がある。

アレンは水晶を台座から外して眠りについた。



アレンは物音がしたような気がして目が覚めた。

玄関には今帰ってきたのかアリアが立っている。

「アリア・・・?」

月明りに照らされた表情が何だか暗い気がする。

「ごめんね。起こしちゃった?」

「ううん。いいけど何かあった?」

「修練が激しくて疲れただけだから」

時計を見れば日の出まであと数時間だ。

あれからずっと修練をしていたのなら確かに疲れているだろう。

「アレン・・・」

「どうしたの?」

「今日も隣で寝てもいい?」

「うん」

アリアがアレンの横に寝転がる。

アリアがぎゅっと手を握り込んでくる。

アレンも握りかえした。

「アレンの手って剣士の手なんだね」

「剣士の手?」

「うん。剣ダコが出来て凄くごつごつしててお父さんの手みたい」

確かに自分の手はごつごつしているかもしれない。

それに対してアリアの手はとても柔らかい。

道主の手と比べられて少し嬉しかった。

「ふふ・・・。おやすみなさい」

「おやすみ」

しばらくするとアリアの寝息が聞こえてくる。

やはり相当疲れていたようだ。

アレンはいつの間にか眠ってしまっていた。



アレンは日の光で目を覚ます。

横を見ればアリアがじっとこちらを見ていた。

「おはよう」

「おはよう」

手は寝る前に握ったままだった。

握っていた手をほどきそれぞれ朝の準備をはじめる。

幸せをかみしめつつ今日も頑張ろうと思った。

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