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三十話

先輩達に言われてアリアに告白することになってしまった。

「それじゃ嬢ちゃん呼んでくるぜ」

そう言って先輩達がアリアを呼びに行く。

少ししてアリアがやってくる。

「大事な話があるんだって?」

岩陰からは先輩達が覗いているがここまできたら言うしかない。

「僕、アリアのことが好きなんだ。付き合ってください」

勢いで告白してしまったけれど怖くてアリアの方を見れない。

「アレン・・・。私も。私もアレンのこと好きだよ」

その言葉に反応してアリアの顔を見れば顔を真っ赤にしていた。

岩陰からは先輩達がはしゃいでいる姿が見える。

「アレン。目つぶって・・・」

「うん」

目をつぶるとアリアが動く気配がした。

唇に何か柔らかい物が触れる。

数秒経ちその感触が離れる。

「もう、目を開けていいよ」

目を開けると目の前には笑顔のアリアがいた。

「もう行くね・・・」

「うん・・・」

アリアが振り返る気配がしたのだろう先輩達は岩陰に慌てて隠れていた。

後でからかわれそうだけど先輩のおかげだ。

アリアは岩陰に隠れる前にこちらを振り返って手を振っていた。

こちらも手を振り返す。

柔らかい感触を思い出す。

なんだか唇が熱を持っているような気がした。




風が通り過ぎ川の音がする。

告白が成功した嬉しさもあり素振りに戻る。

先輩達の声もアリアの声も聞こえないがあちらも修練に戻ったのだろうか。

気にはなるがアリアに振られないようにもしっかりしなければ。

周囲の音が消える。

いつもより物の流れるスピードが遅い気がする。

1本1本を丁寧に。

思い描くのは道主が見せてくれた剣筋だ。

理想の剣筋に少しでも近づけるように・・・。

いつの間にかアリア達のことは頭の中から消えていた。




「アレン・・・。アレンってば」

集中が途切れアリアの声がする。

「あれ?アリア?」

「もう、何度も呼んだのに全然反応してくれないんだから」

「ごめん。凄い集中してたみたいで・・・」

「そろそろ戻るって」

言われてみれば空は夕焼け色に焼けている。

「待たせちゃった?」

「私達もさっき終わったところだから」

「イチャついてないで帰るぞ」

痺れをきらしたように先輩がそう言ってくる。

「すみません」

道場への帰り道、アリアに聞こえないように散々先輩達にからかわれた。

告白するきっかけをくれた先輩にお礼を言うと「いいって」と笑っていた。


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