三話
アレンが意識を取り戻したのはすっかり暗くなった頃だった。
全身が痛む。
動く気にもなれずただただ横になっている。
少し離れた建物からは灯りが漏れている。
不良の先輩達は遅刻してやってきて早々に帰るなんてことも多いのに珍しいこともあるもんだ。
「はぁ・・・」
情けないところを見せちゃったな。
アリアは無事だろうか。
アリアを守れるぐらい強くなりたい。
そんなことをずっと考えていたら建物の扉がギーと言って開く音がする。
建物の方を見れば一瞬アリアが見えた気がした。
気を失う前、建物の中に入っていったアリアが思い浮かぶ。
こんな所で寝転がっている場合じゃない。
だというのに体は言うことを聞いてくれない。
足音が近づいてくる。
足音の正体は最初にアレンと戦った先輩だった。
「おう。生きてたみたいだな。あれだけボコボコにされて運のいい奴だ」
「アリアは・・・」
「嬢ちゃんの心配かよ。嬢ちゃんなら大丈夫だ。それより、これを飲めよ」
そう言って無理矢理口に何かを流し込まれる。
口いっぱいに苦い味が広がる。
「げっほ。ごっほ」
思わずせき込んでしまったが痛みが少し引いた気がする。
「今のは・・・」
「回復ポーションだ。てめぇなんかに使うのはもったいない代物だ」
回復ポーションの需要は高い。
こんな田舎だと入手する術は限られてくる。
「何で僕に・・・」
「嬢ちゃんとの約束だからな。ほら、痛みが引いたならもう帰れ。俺達のことは言うなよ」
そう言って先輩は建物に戻っていく。
扉が開いた時、そこにアリアはいなかった。
それに安心してノロノロと立ち上がる。
歩くのも大変だが、何か両親への言い訳を考えなければ。
道をゆっくり歩いているとアリアの父親である道主とあった。
「ずっと探していたんだ。何があった」
「いえ、何も」
そう言って誤魔化そうとするが体を触られる。
「いっつ・・・」
思わず痛みで声を上げてしまった。
「何もなかったらこんなことにはなっていないだろう」
先輩達のことを言うわけにはいかない。
咄嗟にアリアを言い訳に使ってしまった。
「アリアと喧嘩して・・・」
「喧嘩で殴り合うとは・・・。とにかく家まで送っていこう」
「はい・・・」
道主に送られ家まで戻ってきた。
道主は言い訳もせず僕の両親にずっと謝っていた。
アリアは悪くないのに悪者にしてしまった。
僕の胸にチクりと痛みが走った。