二十二話
「ア、アレン。少し待ってね」
慌てたような声がしてしばらく待つとアリアがやってきた。
着衣が乱れているようにも見える。
自覚があるのか少し恥ずかしそうだ。
「あんまりジロジロ見ないで」
「ご、ごめん」
「あんまり虐めてやるなよ。修練が激しすぎて服が乱れるなんて普通だろ」
確かに、激しく動けばそういうこともあるだろう。
「それで、何をしにきたの?」
「アリアが戻ってこないから心配で」
「ごめんね。心配かけて」
「嬢ちゃんには俺らがついてるんだ。大丈夫だぞ」
「確かにそうですね。でもずっと修練って大変じゃないですか」
「あぁ。道主がいると色々出来ないからな。俺らも嬢ちゃんも張りきちゃってな」
「そうなの。皆やる気に満ちててね」
「食事はちゃんと食べた?」
「うん。お腹がちょっと重いかな」
「フランクフルトいっぱい食べてたもんなぁ。まだまだあるからもっと食べてもいいんだぜ」
「あ、後で食べますね」
「本当にアリアはフランクフルトが大好きなんだね」
「うん・・・。先輩達の凄く大きいから食べごたえあるんだ・・・」
アリアはビクッと体を震わせる。
先輩が妙に体を密着させているように見える。
アリアはなんだか体をもじもじさせている。
「アレン・・・。私、そろそろ戻るね」
「うん」
アリアが戻り先輩が扉を閉める。
ごそごそ音がした後、中からは先輩が「フランクフルトの食べ比べしようぜ」という声がした。
母屋に戻ったアレンは寝る準備をした。
アリアが戻ってくるのを待っていたがいつの間にか寝てしまっていた。
尿意を覚えて夜遅くに目が覚める。
隣を見るがアリアはいない。
トイレに行って遠くに見える先輩達の溜まり場の方を見る。
先輩達の溜まり場にはまだ灯りがついていた。
アリアはまだあそこにいるのだろうか。
気になって先輩達の溜まり場に向かう。
建物の中からは相変わらずパンパンという音がする。
扉をノックするとごそごそという音がして先輩の1人が顔を出す。
「なんだ。また来たのか」
「アリアが戻ってこないから気になって」
「あぁ。嬢ちゃんならここで寝てるぜ」
「連れて戻りましょうか?」
「いや、相当疲れてるみたいだからこのまま寝かせておけよ」
「ご迷惑をおかけします」
「いや、いいって。お前も早く寝ろよ」
「はい」
アリアにも困ったものだ。
修練で疲れて寝てしまうなんて。
そんなことを考えつつアレンは母屋に戻って眠りについた。




