二話
アレンは木刀持ち基本に忠実に正眼の構えをする。
それに対して相手は上段の構えだ。
はじめての対人戦。
心臓はバクバクいっている。
「ほらほら、構えているだけじゃ何にもなんねぇぞ」
安い挑発だ。
迂闊に動けば一瞬でやられる。
そんな気がして中々動けない。
「それじゃぁ。俺からいってやるよ」
そう言って思いっきり木刀を振り下ろしてくる。
木刀でそれを受けるがそれだけで手がじんじんする。
「ほぅ。その歳で今のを防ぐとか結構やるじゃねぇか」
そこからは一方的な展開が続いた。
横薙ぎ、袈裟斬り。
次々と木刀が振るわれそれを何とか防ぐ。
相手ははぁはぁと息をしているが反撃どころではない。
こっちは木刀を持っているだけで精一杯なのだ。
「っち。使えねえ奴だな。俺が変わってやるよ」
そう言って出てきたのは服を着崩した先輩だった。
「ほら、しっかり構えろよ」
そう言って先ほどよりも鋭い斬撃が襲ってくる。
一撃目で木刀ははるか彼方に吹っ飛んで行ってしまう。
「おいおい。木刀もちゃんと持てねぇのか」
周囲の先輩達は笑っている。
僕が木刀を拾いに行こうとすると突然痛みが襲ってくる。
木刀で先輩に殴られたのだ。
「おいおい。悠長に拾えると思うなよ。剣がなくなったって相手が許してくれるとは限らねぇ」
そう言いつつ手は全然止まらず全身を木刀で殴られる。
顔は避けて貰えているようだがそれでも痛い物は痛い。
だが、ここで弱音を吐くわけにはいかない。
僕がなんとかしなければアリアが同じ目にあう。
それだけは避けなければ。
何度殴られても僕は立ち上がり続ける。
「おいおい。こいつまだ立つのかよ」
嘲笑っていた先輩達の顔色が悪い。
一瞬見えたアリアの顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
好きな子が泣いているのは嫌だな。
そう思った時、腹に強烈な一撃を貰う。
立っていられず、膝をつく。
胃の中の物を吐瀉する。
口からはぜぇぜぇと勝手に息が漏れる。
「はぁ。マジでしつこいなコイツ」
そう言って先輩に蹴られる。
身を守る為に自然と体が丸くなる。
「もうやめて」
アリアの悲痛な声が聞こえる。
顔をあげてアリアを見れば囲っている先輩の1人がアリアに何かを言っている。
何を言われたのかはわからないがアリアは頷き建物の中に入っていく。
「おら、余所見してるんじゃねぇよ」
おもいっきり蹴られゴロゴロと転がる。
背中に何かがドンとぶつかる。
アレンはその衝撃で意識を飛ばしてしまった。