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十九話

いつものように道場に行くと道主が待っていた。

「すまないけど、明日から1か月は道場を閉めさせてもらうよ」

「もう、そんな時期なんですね」

道主は元々はこの街を含む一帯を所領にもつ伯爵の騎士だった。

後身を育てたいとこの街で道場を開いたのだ。

だが、決まった時期に1か月ほど領主のもとを訪ね剣術指南をしている。

「今年はアリアが行かないっていっていてね。君さえよかったらうちに泊って行ってくれないかな」

「いいんですか」

アリアともっと一緒にいられる。

アレンが断る理由はなかった。

「ありがとう。しっかりした子だけど女の子1人ではやはり心配でね」

そう言って道主は笑った。

道主は剣に関しては厳しいが娘に対しては甘々だった。

「そうだなぁ。お礼に1つ技を教えてあげようか」

「技をですか?」

「うん。まぁ、歩法なんだけどね」

そう言うと道主はアレンから離れてゆったり動く。

だが、次の瞬間アレンの前に立っていた。

「今のは?」

「牛雷という歩法だよ。牛のようにゆっくりした動きから一気に相手に詰め寄って剣の間合いに持ち込むんだ

「へぇ~」

アレンも真似してやってみるが全然うまくいかない。

それに足に凄い負担がかかる。

「これ結構きついですね」

「きついですんでいるなら十分だよ。走り込みの成果が出ているね」

「ありがとうございます」

「うん。1か月後の成長を楽しみにしているよ」

そう言って道主は道場に戻った。

それからずっとアレンは歩法の練習に励んだ。

簡単そうに見えて難しい。

足は負荷でパンパンになっている。

「アレン。何してるの?」

「道主が歩法を教えてくれてね。練習してるんだけど全然うまくいかなくてさ」

「なにそれ。ずるい。私には何も教えてくれないのに」

アリアは負けず嫌いだ。

僕だけが技を教えてもらって悔しく思ったのだろう。

「ちょっと、父さんのところにいってくるわ」

「うん」

勢いよく道場に乗り込んだアリアだったけど沈んだ表情で戻ってきた。

「ダメだったの?」

「うん。私には無理だって。そんなことより今は基礎を固めなさいって・・・」

「なら、一緒に素振りでもしようか」

「いいの?」

「うん。実はさっきから足が痛くてね」

これは本当のことだ。

「アレン。明日から、泊まるんでしょ?よろしくね」

「うん。こちらこそよろしくね」

先輩がアリアを呼びに来るまで2人で素振りをして過ごした。

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