十四話
アリアは目をつぶってフランクフルトの先端にキスをする。
それからフランクフルトを上から下へ舌を這わせる。
「変わった食べ方だね」
アリアの顔を見れば顔が真っ赤だ。
「あはは。しょっぱいのが大好きなんだろ」
「そうそう。このしょっぱさが堪らないの」
何度もフランクフルトの表面をアリアの舌が這う。
その周囲では先輩達がフランクフルトをバリバリ食べている。
「ほら恥ずかしがってないでいつものように食べていいんだぜ」
「そうそう」
「ア、アレン。こっち見ないで」
唐突にそんなお願いをされる。
「うん・・・」
アレンが視線を外すと先輩達が凝視している。
自分だけ仲間外れにされた気分だ。
「おいおい。普段はそんな上品に食べてないだろ」
先輩の1人がそういうとじゅぽじゅぽ音がしてくる。
音の発生源はアリアのようだ。
「お。いいね。いいね。アリアちゃんわかってるぅ」
「フランクフルトはそうやって食べないとなぁ」
一向に謎の音は止まらない。
気になって思わずアリアの方を見てしまう。
アリアはフランクフルトを咥えながら顔を上下に動かしていた。
何やらわからないがアリアは一生懸命に顔を動かしている。
持ち手の方まで唾液でびしょびしょだ。
アリアがこちらを見そうになって慌てて目線を外す。
「アレン。俺ら喉が渇いちまったよ」
「悪いけど飲み物買ってきてくれね?」
「いいですけど・・・」
「じゃぁ。西の外れまで頼むな。これお金」
「西のはずれってかなり遠いですよ」
今いるのは東のはずれだ。
「祭りにきたらあそこの飲み物飲まねぇと来た気になんねぇんだわ」
「自慢の足で走ればすぐだって」
先輩達に逆らうわけにもいかない。
アレンは急いで飲み物を買いに向かった。
アリアはその間もじゅるじゅると謎の音を発生させたままだった・・・。
アレンが飲み物屋につくとそこも凄い行列だった。
先輩がご所望とあってかなり人気のあるお店のようだ。
先輩達もついているからアリアが危険な目にあうことはないと思うが急がないと。
人数分の飲み物を買って急いでアレンが戻る。
アリアと先輩達は先ほどの場所から動いていなかった。
だがアリアの様子が少しおかしい気がする。
よく見れば、口から白い液体がこぼれている。
「あれ?アリア何か飲んだの?」
「お前が遅いから牛乳を奢ってやったのさ」
「そうそう。特別な奴らしくて結構値段が張ったけどな」
「うん。先輩達が奢ってくれた牛乳美味しくていっぱい飲んじゃったの」
「そうなんだ・・・」
何かを隠しているような気もするけれど聞けずじまいだった。




