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田舎の剣術道場に通う僕は道場主の娘に恋をする  作者: 髙龍


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十一話

アレンが走り込みをはじめてそれなりの期間が経った。

相変わらず先輩達の溜まり場からはアリアを罵倒する声がしている。

「おらおら、もっと早く動くんだよ」

アリアの声は聞こえないが今日も頑張っているようだ。

自分も負けてはいられない。




走り込みを続けることによってアレンは確実に体力が着いてきていた。

そうなってくると先輩達の溜まり場の裏を通る回数も増えてくる。

ついついアリアの声が聞こえないだろうかと走りながらも耳をすましてしまう。

先輩達の溜まり場からはパンパンと何かを叩く音が聞こえることが多い。

何をしているのかは気になるがアリアに聞いてもはぐらかされてしまう。

言えないほど厳しい修練なのだろうか。

どんなに疲れていようともアリアは必ず素振りの時間にはやってきて一緒に素振りをする。

「こうしてアレンと一緒にいると落ち着くわ」

そう言って笑うアリアは本当に楽しそうで・・・。

2人だけの世界に入り込んだようで嬉しくて踊りだしたい気分だった。

だが、そんな時間は永遠には続かない。

先輩がアリアを迎えにやって来る。

「ほら、時間だぜ」

「はい・・・」

アリアは先ほどとは違い悲しそうな顔をしている。

それがなんだか妙に気になった。




気持ちを切り替えて走り込みをする。

先輩達の溜まり場の裏を通りかかる。

窓からは咳き込むような音が聞こえる。

「おぇ。うぇ。げっほ。ごっほ」

「おいおい。こんなのも耐えられないのかよ」

「これだから、ダメなんだ」

先輩達がアリアを罵倒している。

あんなに苦しそうにしているのにどこか嘲笑っている先輩達。

アリアは毎日頑張っているじゃないか。

どうしてアリアの頑張りを認めてあげないのだろうか。

自分のことじゃないのに無性に腹が立つ。

だが、弱い自分には何も言う権利はない。

イライラを晴らすように足に力を込める。

苦しそうなアリアは見たくない。

アリアもそんな姿は僕に見せたくないだろう。




走り込みを終えて道場の前で休んでいるとアリアが顔を出した。

先輩の1人が付き添っている。

アリアの足取りは少しフラついている。

相当扱かれたのだろう。

「アレンはもう帰り?」

「うん。そのつもりだけどアリアはこれから素振り?」

「ううん。少し休んだら先輩達がまた稽古をつけてくれるって」

「そうなんだ・・・。あんまり無理をしたらダメだよ」

「心配してくれてありがとう。アレンの顔を見たら疲れなんて吹き飛んじゃった」

そう言って笑いかけてくれる。

「あはは。なにそれ。でも元気が出たならよかったよ」

「また明日ね」

「うん。また明日」

そう言ってアリアと別れた。

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