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第34話 商談。

 ルトック村からエルグランドの街へと続く道の途中。


 二人の男女が並んで御者台に並んで座って、馬車を走らせていた。


 男性は長身で、筋肉猛々しい。


 武骨な感じで、無表情で何を考えているか分かりづらい。


 対してそばかすが素朴な印象を受ける小柄な女性であった。


 小柄な女性は温和な笑みを浮かべ、笑うと後ろで結んだ茶色の髪を揺れる。


「いやーまさか、村長からエルグランドの街へ行ける仕事を任せられるとは。私、ずっと街に行ってみたかったのよねぇ。だって、村での暮らし地味じゃない? 全然面白くないじゃない? ゴウィンもそう思わない?」


 小柄な女性が隣に座っていた男性……ゴウィンへと話をふった。ゴウィンは固い表情を変えることなく小さく答える。


「俺、村が好き。……エーヴィーは嫌いだった?」


「いや、村が嫌いな訳じゃないのよ? 生まれた場所だし。けど、生まれてから、十六年ずっと同じ……森と川と畑が広がるだけの風景は見飽きない? 見飽きるでしょう。そうそう、この前にエルグランドの街へと行ったシルビアに聞いたんだけど、美味しい喫茶店を教えてもらったの、帰りによって行きたいわね。けど、シルビアって話してみて分かったけど、かなり変わり者なのよ。王都……大都会から主人だというお爺さんのお世話するためだけに田舎のルトック村までくるなんて。それに対しておかしいと言ったら、ご主人様の隣が私の居場所なんでと真顔で答えるんだから。私、びっくりしちゃった。けど、それ、冗談じゃないみたいなんだよね。村一格好いいと言われているレイシューが告白したらしいんだけど、その理由で断ったみたいだし。まぁ、レイシューとシルビアじゃ全然釣り合ってなかったけど。シルビアが美人すぎるのよねぇ。羨ましい。村のほどんどの男が気になっているんじゃ」


 小柄な女性……エーヴィーはほとんど途切れることなく、ずっとしゃべっていた。


 ゴウィンがたまに頷く。


 そんな、やり取りを繰り返しながら、エルグランドの街へと馬車を進めるのであった。




 ルトック村を出て、七日。


 ゴウィンとエーヴィーの二人がエルグランドの街にたどり着いていた。


 エーヴィーは興奮交じりに、キョロキョロとエルグランドの街の中を見回す。


「いやー。初めてエルグランドの街に来たけど。凄いね。凄いね。人がいっぱいだし。大きな家が一杯。一杯だよ。想像以上だった」


「……うん」


 ゴウィンが一度視線を巡らせて、小さく頷いた。


「シルビアが言っていた通り、家が多すぎて、迷いそうではあるね。それで、村長が紹介してくれた商人の家はどっち?」


「こっち」


 地図を見たゴウィンが、路地を指さした。


 ゴウィンの案内で、商人のところへと向かうのだった。




 グレイソンが知由である商人の商店に辿り付いたゴウィンとエーヴィーとは商店内の小さな部屋に通されていた。


 二人が三人掛けのソファに横並びに座って待っていると、軽い感じの中年男性が部屋の中へと入ってきた。


「やあやあ、お待たせした。こちらも忙しくてね」


「……」


「……いえ。急でしたのに、時間を作っていただきありがとうございます。私はエーヴィー、こっちがゴウィンです」


 ゴウィンは緊張しているのか黙ったまま。


 エーヴィーはゴウィンに代わって、口を開く。


「いえいえ、グレイソンのヤツが手紙に絶対話を聞いた方がいいと書いてあったからね。アイツも商人の私に対して、絶対話を聞けというのは……つまり、絶対に解くがあるということだからね。あ、私はフレデリックだよ。それで、単刀直入に聞くけど、どんな儲け話を待ってきてくれたのかな?」


「……」


 中年男性……フレデリックの問いかけにゴウィンは無言のまま一度頷いた。鞄からエドワードが作った魔導具……スターチスシリーズを並べていく。


 スターチスシリーズを目にしてもフレデリックは怪訝と困惑の入り混じる表情を浮かべる。


「これは? ただの型打ちの剣やナイフ、盾……どれも安物に見えるが? いや、その前に君の持っている鞄は……ダーリラムの鞄じゃないか? その鞄をぜひ売って欲しい」


「……」


「えっと、これは借り物なので、私達の一存では決められません」


 ゴウィンは黙ったままで代わりにエーヴィーが口を開いた。


「そうか。それは残念だね。それで……これが儲け話なのかな?」


「えっと、これは魔導具なんです」


 エーヴィーの『魔導具』という言葉にフレデリックは眉間をぴくっと動かす。


「これが魔導具? 本当に? どう見ても安物の武器にしか見えないんだが。いや、予想外過ぎる答えで反応に困るね……」


「ええ、聞いた話では。フレデリックさんが言った通り、安物の武具を活用して魔導具にしたモノだと聞いているので間違えではありません」


「なるほど、安物の武具を。それで、その魔導具とやらは何ができるのかな?」


「いろいろです。まずはこの魔導具について説明します」


 エーヴィーは言葉を切って、型打ちの剣を手に取った。


 ニコリと笑って続ける。


「これはスターチスと名付けられた魔導具です。これは普通の魔導具とは異なる点があります。普通の魔導具ならマナという力を魔晶石に入れることで半永久的に使用することが出来す。ただ、スターチスと名付けられた魔導具は二回しか使えないようになっています。ちなみにこの剣……スターチスの剣は二回だけ下級魔法の【ファイヤー】を使用することが出来ます」


 エーヴィーはつらつらと、最初から聞かされていた魔導具の説明をして……最後に二本指を立ててピースサインを見せた。



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