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第33話 お話合い。



 エドワードはワインのボトルをグレイソンへと向けた。


 グレイソンの持ったコップにトプトプとワインが注がれていく。


「俺も日頃飲み食いの分、働かないとなぁ」


「おう、頼むぞ?」


「任せてくれ。あ……ところでその魔導具作り、一般人に手伝いできることはないかな? さっきも言ったが、戦争から帰って来たヤツが怪我していて……座ってできる手作業を探しているんだが」


「んーできないなぁ。魔法式を一から覚えないといけない……それを覚えている間に傷が治ってしまうだろうな。いや、そもそもマナを扱えないと、魔法式を水晶に書き込めないか。魔法使いでない人間にやってもらいたいことと言えば……余った魔物の素材を有効活用できる商品作りと魔導具の元となる型打ちの剣やナイフ、盾などを作って欲しいことくらいか」


「お、ちょうどいい。そいつは元鍛冶師の家だ」


「けど、座りながら作れるか? 型打ちの剣やナイフとか」


「分からんが。一応、相談してみてもいいか?」


「まぁ。ある程度の強度がある武器であれば、なんでも」


「そうか。いやー言ってみるもんだな」


 グレイソンが機嫌よく、コップに注がれたワインを飲んだ。


 エドワードは苦笑する。


「その前にスターチスシリーズが売れないとだがな」


「確かにそうだが。どのくらいで売ろうと考えているんだ?」


「それはシルビアに決められた剣が十万ルーブ、盾が十二万ルーブ、ナイフが十万ルーブ……ちょっと高くないかな?」


「ハハ、その値段で二回とは言え魔法を使えるようになるなら、大丈夫でしょう。俺でも節約したら買えてしまう」


「そうか? 元の型打ちの剣とか五千ルーブで買ったんだが……なんか、ぼったくっている感じがする」


 エドワードが難しい表情を浮かべた。


 コップの中に入ったワインを一口飲む。


「何を言っているのですか……ほとんどご主人様の技術料でしょう。ねぇ、グレイソンさん」


 子供達の勉強会……青空教室を終えたシルビアが近づいてきた。


 グレイソンは頷く。


「あぁ、その通りだ」


「なのに聞いてくださいよ。ご主人様ったら、一律二万ルーブで売ろうと考えていたんですよ?」


「それは……いくら何でも。商人や冒険者でない俺でもそれが安いと分かるぞ」


「ですよね? 一応、剣が十万ルーブ、盾が十二万ルーブ、ナイフが十万ルーブとしていますが。交渉する際は、その倍、三倍の価格を最初に提示してもいいでしょう。値切ろうとするのが商人です」


「ハハ、シルビアは商人の才能も有りそうだな」


 シルビアは興奮したように、フスンと鼻を鳴らす。


「それだけ。この魔導具は凄いのです。確かに二回しか魔法を使うことが出来ませんが……それなら小さいサイズのナイフなどを何本も携帯して使い捨てればいいのです。魔物との戦いにも有効でしょうが、特に戦場では一騎当千の活躍ができるでしょう。この魔導具に込められた魔法は下級程度に抑えられていますが、それに対応できるのは同じ武器を持つ者か、希少な魔法使いしかいないのですから」


「確かに、そう考えると……まだ安いかな?」


「いえ、最初は一般でも背を伸ばせば買えるくらいにして……多くの人に有用性を分からせるのがよいかと。そうすれば軍が大金を出して一定量を確保するという流れになるのではと踏んでいるのですが」


「なるほど、軍に。では兵士に対して特に少し安く売るのは? その魔導具を使った兵士達が目立てば」


「それは良いかもですね。要するにターゲットである相手を」


「武器に付与する魔法はいろいろできるのかな? 昔行った戦場では派手な魔法が多く見られた気がするが」


「戦場と魔物の領域では、魔法の使用方法が微妙に異なるか。下級で派手な魔法……拡散型の」


 シルビアとグレイソンとが熱を持って、エドワード作の魔導具……スターチスシリーズの販売方法を話していた。


 ただ、当の魔導具製作者であるエドワードはもう勝手にやってくれと一言残すと、椅子から立ち上がって夕食の準備に向かうのだった。




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