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【プロローグ】愛と肉球 (※読み飛ばし可)
『世界は、彼の愛するクマちゃんと、クマちゃんの肉球を中心に回っている』
『つまり、この世で起こる素晴らしい出来事のすべては、クマちゃんのおかげである』
とある金髪の冒険者は愛しき我が子の肉球を支えながら、心の中で呟いた。
リーダーって絶対そう思ってるよね……と。
◆
これは、生後三か月の子猫よりも可愛いクマちゃんが、猫にそっくりな手で魔道具を作り、ときに悪を清め、そして救ってゆく、愛と癒しと切なる祈りの物語――。
『ヤバいヤバい。ちょっとクマちゃんそのスイッチ、めっちゃドクロマーク描いてあるんだけど……』
金髪および人心をざわつかせるスイッチに、ピンク色の肉球が迫るのは、もう少しあとのこと。