旦那ちゃんと嫁ちゃん~七夕に願いを~
今日は七夕。
7月7日は七夕。
夜、あいにくの曇り空に阻まれ、星空も天の川も見えない。
旦那ちゃんはマンションのベランダから空を眺めて溜息をつく。
「どうしたの?」
嫁ちゃんが彼の深い溜息に反応する。
「いんや、織姫と彦星が出会えたかなあって」
「ロマンチストやね」
「知っとろうもん」
「知らん」
嫁ちゃん、ぴしゃり。
「ああ、今年は短冊に願いごと書いてないなあ」
「大丈夫?ホント、柄にもない、熱でもあるんじゃない?」
「ないよ・・・俺にもそういう時あるの・・・ほら、俺って乙女でしょ」
「なる(ほど)~」
「ふう、七夕かあ」
「おセンチになってるの」
「なってません。年に一度くらい星空や七夕に思いを馳せてもいいじゃん」
「流石、物書きは言う事が違うね~」
「でしょ~」
「すごい、すごい」
「・・・気持ちこもってないなあ」
旦那ちゃん視線を嫁ちゃんから空に戻し歌を口ずさむ。
「♪ささのはさらさら~♪」
「♪髪の毛つるつる~♪」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「おい」
「ん?」
「やめた~」
「あれ、歌わないの」
「邪魔されるから、しませ~ん」
「ふ、勝った」
「勝ち負けじゃありませ~ん」
不毛な会話を続ける二人。
急にええ顔を見せる旦那ちゃん。
「それより」
「ん?」
「どうだい今夜?織姫と彦星の記念日に・・・俺たちも」
「はあ?」
「・・・えへへ」
得意のパターンへ入り、嫁ちゃんの右手が唸りをあげた。
「えーいっ!」
ぐいっといつものように股間をやられる旦那ちゃん。
「はうっ!」
「どの口が言う。おととい、きやがれ~」
旦那ちゃんは宇宙に向かって両手を伸ばす。
「どうかっ!オラに元気を、元気を分けてくれ~」
夜空にこだまする旦那ちゃんの願い。
七夕に届けっ。
嫁ちゃんがコロコロと笑っている。
世界が平和でありますように(笑)。
七夕に願いを。