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そんな時、
私(M133)の車体の一台に、赤い線が4~5入ると屋根が吹き飛んだ。(前回まで)
立籠る煙の中から出てくるのは
痛々しくギブスと包帯に巻かれた一人の女騎士。
殺気を駄々洩れしながらの登場は、まるで鬼神!
「あらまぁ~[アーちゃん]ったら寝起きがわるいわね」
先程まで固まっていた奥様は再起動したみたいだ。
出てくる騎士を見つめて、コロコロと微笑んでいる。メイドさん達も再起動。
おい!マテやコラッ!
あれが寝起きが悪いで済むのか?
装甲車両の、航空グレードアルミニウム合金12~38mmを
バターかの如く剣で切り刻んで吹き飛ばしたんだゾ!
せっかくメイドさん達が負傷騎士に魔力供給する為に、
全車両の後部ハッチを開けていて、出入りが出来る様にしてあるんだゾ。
私に眼を付けると、
殺る気満々で幽霊のようによろけながら近づいて来る。怖ぇーー。
そこに、自分のジュースを持ってトコトコと女騎士に向かって行く幼女。
『あーちゃん、めっ!』
『はい、これ』ニコッ。
幼女はジュースを女騎士に渡そうとしていた。
女騎士は剣をポトリと手放した。
幼女の目線に合わせる様に跪き両手で受け取る。
「姫様…」。一口ジュースを口にすると、女騎士は気を失いバタリと倒れた。
幼女は倒れた女騎士の髪をなでなでしている。
「偉いねぇ~。起っきしたら喉が渇くもんね。覚えていたんだ」
『むふぅーー』
またも、幼女のドヤ顔を頂きました。可愛い。
あれ?また皆さんが、また固まってしまっている……何故だ???
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壊れた車両を戻し、新たに車両を出して女騎士を寝かす。
その作業を幼女と一緒にした。
「早く傷が治るといいねぇ~」『いいねぇ~』そんな感じ。
作業を終える頃には先程の事といい、
馬では興奮していたのといい幼女は[お眠モード]に入って寝てしまう。
あれから私に対しての皆さんの様子がオカシイ…。
どう私に対応して良いのか困っている御様子。
意を決してか真剣な顔つきで、奥様を先頭にメイド全員に詰め寄られた。
「シャルの言葉が解かるのですか?」…と。
女性11名に詰め寄られる…これがモテ期と言う奴か…。
違うそうじゃない!
現実逃避は止めよう。流石にこんな経験は無い…これは怖い。
挙動がおかしくなるを必死で堪える。頑張れ私!
「えっ?頭に直接聞こえてきますけど…」
頼りない返答だがコレしか言いようが無い。
そんな…[何を言ってるんだ?コイツ…]みたいな顔は止めてくれ。
どうやら、私に聞こえる幼女からの『』の頭に響く言葉は
皆には聞こえていないみたいだ。
そう言えば、幼女から口から発する言葉「」は文字化けみたいな異音だったな。
(あっ…アレなら…もしかして……)
えっと…解放はどの位まで進んでいたっけ。
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状態
・Lv 210
・異常なし
・故障 「M133×1 」修理中
スキル 「ヘンタイ」
スロット 「統合されたM4 」
「Fi 156 」
「医療車両 」(4台1セット)
「空き 」
「空き 」
「空き 」
ヘンタイ 「M133×10 」
「空き 」
「空き 」
「空き 」
「空き 」
特殊技能 「マニュピレーター」×2
予備 「大倉庫」
常にヘンタイ 「パリィ」
・LV100により武器が解放されています。
・LV110により道具が解放されています。
・LV120により車両が解放されています。
・
・LV210によりコラボが解放されています。New
~2010年まで解放~
~2020年まで解放~
~2030年まで解放~New
・ヘンタイ基礎兵器10が解放されています。New
・ヘンタイ武器が解放されています。New
・基本酒保が解放されています。
ヘンタイ菌は統一されました。New
ヘンタイ品はヘンタイ物質に統合ました。New
ヘンタイコラボが可能です。New
【魔力の概念を検出しました 燃料タンクに保存が可能です Yes/No 】New
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考えちゃ駄目だ…
考えちゃ駄目だ…
考えちゃ駄目な奴だ……。
ステータスを、死んだ魚の眼で見てしまう…。
取り敢えずやってみよう!と、出来た品が「インカム」。
「バイク用のインカム」だとイメージしやすいか?
片耳だけの超小型。聞こえれば良いらしいのでマイクは付属になる。
外側式で、ボデイカバーはソーラーパネルだから充電も不要。
幼女と近場で、会話が聞こえさえすれば良いのだから消費電力も少ないだろう。
(思ってのより小型高性能なのは軍事用なのか???)
「これで聞こえるのですか?」
「…多分…」
曖昧な返事をしているのは幼女が寝てしまっているから。
使い方とソーラーパネルの概念を教えて充電の仕方を説明をしておく。
この先、必要な事があるかも知れないから100個を奥様に渡しておいた。
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幼女がお昼寝をしたので休憩を止めて移動。
M133の10両で縦長の編成。その前後には馬が10頭づつ。メイドさん1人に10頭の管理。
先頭車両、中間、最後尾車両にメイドさんが1人づつ、荷物車両に1人。
遊撃用にリーダー格の馬に1人、奥様と幼女そしてメイドが3人体制で進んでいた。
銃弾が飛び交う戦場じゃあるまいし…と、
各車両は天井のハッチと後部ドアは開けて走行している。
後部ハッチは閉まったままだ。風通しを良くしていないと暑いからね。
道中は順調~と言いたいが。
幼女が目覚めた時には参った。
『ふにゃ~』
「あっ、起っきした?」
『起きてない…寝てる…』
「こらこら…今起きないと夜に寝れなくなるよ」
昨日今日と二日で色々あったから疲れが出てるのかな?
1時間は眠ったか?じゃオヤツを出しておこう。
無添加の芋羊羹。ほんの少量の砂糖だけしか使われている芋羊羹。
敏感な幼児の舌、十分に甘さを感じる事だろう。
確か、幼児の舌の味覚の発達は2~3歳が一番発達するんだっけか?
お兄さんが「味覚馬鹿」と言われない様に仕込んであげましょう。
幼児用に小さくスティク状にしたせいなのか、
また両手で持って小躍りしている。こらこら…オタ芸みたいになってるゾ。
(まぁ美味しいらしいので良しとしておこう、植物繊維も豊富だし)
…と、ここまでは
幼児と出会ってから変わらないやりとりなんだが周囲は違っていた。
皆さん、ガチ泣き!
皆、早速インカムを耳に付けているのだ。
後少しで今晩泊まる予定地に着くのだが緊急停止。
前後に散らばっているメイド達も集合して更に嗚咽の合唱会。
奥様なんかは声が声で無く、あれだけ流れるものなのかと大粒の涙。
皆、人目を憚らないガン泣きに、私は黙って見ていないふりをした。
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あれから進める事は出来るハズも無く、夕方だが野営の準備えをする事になった。
「よ~~し、お姉さんはとっておきのワインを出しちゃうゾ~♪」
「私は腕に縒りを掛けて料理を作ります」
「私は、とっておきのお肉を出します」メイド達のお祭り気分で…。
野営地が宴会場になった。
宴会中に3人の騎士がスリープモードから復活した。
幼児の話を聞くと、オイオイとこれもまたガチの男泣き。
戦闘で傷付けられた傷跡には、
まだ薄っすらと皮が、辛うじて引っ付いている感じなのだが
構わずワインを浴びる様に飲んでいる。大丈夫か心配になる。
奥様は幼女にべったりだ。膝の上に乗せて引っ切り無しに喋っている。
幼女も『あのね、あのね』と必死に喋っているのが微笑ましい。
酔っぱらったメイドが復活した騎士にむかって
ウエスタンラリアットを噛ましている。一体何があった?
ラッパ飲みしてたメイドが「暑い!」脱ぎ始めた。マテ!教育に悪い!
酔っぱらった騎士は「良かった良かった」と私の装甲をバンバンと叩く。
オイオイ!側面35㎜の合金に手形の痕が付いてるんですが…。
「あのように負傷してしまいましたが…」
「普段だと上位の魔物でも単独で狩る事が出来るんですよ」
「…ただ、今回は量が多過ぎました…」
眠ってしまった幼女の背中を摩ながら奥様が答えてくれた。
特に女騎士の2人は守護騎士だと言う。
守護騎士?言っている意味だ解らない。
「今回の旅では、我が領地の最強メンバーで来ていますから…」
何気にサラッと爆弾を落としてないか?…この人。
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切りの良い所で…。
今更、ステータスボードを書き損なって箇所あるのに気が付いた‥‥orz