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(前回まで)


…と捌いていたら、後ろの馬車の方から悲鳴が聞こえた。

振り返ると、複数の火の玉が私に向かって飛んで来る。



えっ?


ちょっと待って!ちょっと待って!

私は両手を上げて叫ぶ。


幸いなことに、飛んで来た火の玉、

炎は身体に纏わりついたが戦車である私の身体には効かない。



警戒心を露わに、私に向かって剣や杖を構える女性達の囲まれた。



今までの経緯を長々と彼女達に説明し、ようやく納得してもらう。

騎士達が手当されていて綺麗に並んで寝ていたのが決め手らしい。


どうやら馬車の中で気を失ってた人達で、

周囲が静かになったので出てきたらしい。

馬車から出ると不気味な物が居たので攻撃したと…。


(そうだよな…魔物に襲われ馬車が壊れて気絶)

(そして気が付けば馬車の外からこの世の物ではない激しい音がして)

(やっと静かになったら目の前に、返り血を浴びた真っ赤な戦車(化け物) )

(それが魔物を剣で捌いてたら…ホラー以外、何物でもない。)


説明を受け入れてくれて落ち着いた辺りで、奥様と言われる人物に提案をする。



「この場所を移動したいのですが」…と



あまりにもオカシイ。

異世界だと考えても街道でこんなに数の魔物に襲われるのは異常だと思う。


奥様は提案を受け入れてくれて、

馬車にある荷物をまとめるよう使用人に指示を出した。



使用人かメイドさんか分からないけど彼女達はテキパキと動いている。

あんな馬車に10人も入っていたなんて、見た目の大きさとは違うみたいだ。


荷物を馬車から出して纏める者

負傷者の包帯を変えるたり治療をする者。

簡単な食べ物を配る者。



私はと言うと、倒した動物や魔物を一か所に集め、

火炎放射器で燃やして土をかけたが、辺りは相変わらず血生臭い。

そのままにして置いたら、ゾンビや疫病が流行るから駄目らしい。

ミサイル等で地形が少し変わったのは…まぁ見なかった事に…。

途中、メイドさん?がやってきて大型種や特定の魔物を収納(・・)していった。


(うっわ…メイドさん達も「アイテムBOX」持ちかぁ‥‥)


残るは馬車の周辺の整頓かな?土壁も壊さないといけないし。

馬車も壊して燃やす事になったのだが、大変な事が発覚した。



馬車の底に「魔物寄せの魔石」と「魔法陣」が書かれていたのだ。



御禁制の品で所持していただけで死刑となる「魔物寄せの魔石」

それも可成り大きめらしいし、ご丁寧にソレを強化する魔法陣。

奥様はソレを一人のメイドに壊すようつたえて破壊した。



((後に知る事になるが、「呪詛返し」と言う技で、))

((魔法陣を書いた者に呪いを返したらしい。   ))


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


さて移動だが()が要る。


負傷した騎士達30名、メイド10名、奥様、幼女、女騎士2名、爺の合計45名。

それに治療済みの馬が20頭。


焼却処分をしたとしても[魔素溜(まそだ)まり]と成る物が発生していて、

速やかに移動をしないといけない状態だ。

幼女と騎士達の計34名は眠っている状態。動けるのはメイド達と奥様。



テレテッテテエ~「M133~~~~♪」



脳内では某万能青猫の音声と音楽が流れる。

「11人位しか乗れないジャン!」と思った「 ア・ナ・タ 」

私とて自分のスキルを少しは理解をしてきたのだよ。

皆に、驚かないように念を押しつつ私は姿を変える。



「スキル「ヘンタイのヘンタイ」発動!」



そして私は「M133にヘンタイ(変形)して10両のM133にヘンタイ(編隊)した)。


奥様と幼女とメイド達に二両(一両は荷物兼用)、怖い2人と爺が一両、

騎士達は一両に廃材で作った簡易ベットで5人ずつ乗せるて六両。と私。

馬はメイドさん2人が受け持つ事となった。

後部ハッチを開けて騎士達を入れる時に気が付いたが、

中に入れたら念動力みたいなものが発生して苦労なく収容できた。

さぁ~移動だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

M133


M113装甲兵員輸送車。「戦場のタクシー」と呼ばれている。

これも基本設計が優秀なのか、改修されつつ魔改造御用達装甲車。

某国には、短距離核ミサイル専用車両がある。アホかと。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



3時間ばかり移動した。約、時速30㎞として90㎞になる。

私は良いのだが馬は強化魔法と疲労回復をかけての連続移動である。

お昼に差し掛かり休憩となった。



「魔力枯渇による疲労ですね」



私が魔物を倒していた時に疲れを感じたのは魔力の枯渇によるものらしい。

目の前に居る奥様はお茶を飲みながら答えてくれた。

幼女の髪を優しく撫でている。この奥様…どうやら幼女の母親らしい。


幼女と同じく金髪の青い瞳。


やや小柄にあたるのだが、豊かな胸部装甲をお持ちな様で。

青い目と言ったが、幼女と同じく光の加減で青とも緑とも見える。

エメラルドとかサファイアとか言い様があるのだが表現が難しい色なのだ。

おっとりとした優しいポワポワした美人なのだが、何故だか怖く感じる。




奥様の言うには目的地まで馬車で残り4~5日の距離らしい。

地球基準で換算だと、ざっと計算して120~150kmかな?

もっとも強化魔法や回復魔法があるらしいから昔の馬車計算じゃ解らない。

現に今、90㎞を3時間余りで移動したのだから。


馬は立派だったし「変え馬」して移動していたのでは無いらしいし。

中世基準だと、3~4日進んで1日休息日だっけ?

道の整備状態にも変わるし、この時代はどうなんだろう?




騎士達はピクリとも動いていない。息はしている。

奥様が説明をしてくれたのを翻訳して纏めると。

「限界を超えて動いた為、にスリープモードの様なものに入った」らしい。


(繭の中に入って身体を休めている…みたいな感じかな?)


メイド達が負傷している騎士一人一人に向かい、

両手を(かざ)して魔力を送くり回復を早めている。



食事はホットドックとタコスの中間みたいな物だった。

それと野菜と肉の入ったスープ。

奥様が座っている椅子やテーブル、ティーセットや食事、

メイドの一人がアイテムBOXから出してセッテイングした物だ。


(もしかして、全員アイテムBOX持ちかい!!)

(う…羨ましくなんて…ないんだからネ!!)


奥様の従者と騎士達は、凄く有能な人達の集まりなようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



幼女が目を覚ました。

少しボーーとしていたが、目の前に居る母親を見るとしがみ付いた。




固まる奥様。




えっ?ソコ固まる場面??親子でしょ????

私にも気が付いた。そして開口?一番に


『アナナ』

「?」


『アナナ食べたい』

「あ~~バナナね。喉は乾いていない?」


『緑~のがいい』

「緑茶ね」


「その前に少し食べようか、果物は後からだすからね」

『うん』


私は「酒保」から小さめに改良したオムライスを出す。

元祖とかではない、ケチャップが掛かっている。

ケチャップが一般化されたのは1908年だから余裕で出せる。


スプーン片手にハグハグ食べる幼女。

あらあら、口の周りが真っ赤になっちゃって…も~~~。

おしぼりを出して幼女の口を拭ってあげる。

手も真っ赤にしちゃって…拭いてあげるとニコニコご満悦。


緑茶もごキュゴキュ飲むとバナナを出してあげる。


ジィーーーッと見つめられた…。


「駄目ですよ、バナナは一本だけ」

「半分に折ってあげるから…」


すると幼女は両手に持って、万歳の勝利のポーズ。

あ~~~反るな反るな!椅子から落ちちゃうよ。駄目でしょ!




一連の流れをこなしていたら、視線に気が付いた。

奥様とメイド達が、一斉にこちらを向いて手を止めて皆が固まっていたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



何か変な事したか?私??



視線が気になる。見開いて突き刺さるような女性11人からの視線。

怖くて聞く気にもなれない。

唯一の救いは幼女の私へのキラキラ感が半端無い事だろう。

いたたまれなかった私は逃げるように馬の方に向かう。

幼女が追っかけてきたので拾って車体に乗っけた。


馬の世話をしていたメイドの一人が、私を見たまま

馬に水をあげてる姿で未だに固まっている。


無視だ無視! 気にしたら負けだ!




流石は軍馬と言うべきだろう。本来、馬は臆病な性格なのだが

私(M133)が近づいても(おくび)にも出さないし逃げもしない。

反対に一頭の黒いひときは大きな馬が近づいて来た。リーダーか?


軍馬とは、大きな音に驚いたりもしない訓練とかされた馬。

何より、人を蹴り殺すのを訓練された馬である。

日本軍も某大戦等で100万頭が海外に行ったっけ?

その内、50万頭が死んで50万頭が置き去りだったか…確か帰国したのは一頭のみ…。



「お馬さんも御飯食べたかな?」

『食べたかな?』


「お馬さんは運動した後、急に御飯を食べたらお腹が痛くなっちゃうんだよ」

『お~~』


「だから少しだけオヤツをあげようね」

『おお~~』



バナナとリンゴを取り出して、竹ひごに刺して幼女に渡す。

もちろんバナナは皮が剥いてあるしリンゴも芯と種は取ってある。


(馬は大蒜(にんにく)は駄目だと聞くけど某地方有名馬は好んで食べたって聞くな…)


頭が良い馬なのか、少し困った表情をした気がするが

(あるじ)の子供と理解しているのであろう。シャクシャク食べ始めた。

馬も美味しいかったのか20頭が群がってくる。

幼女も余程嬉しいのか奇声が止まらない『おおー』『おおおー』

しまいには小踊りまでしている始末。


収拾がつかなくなってきた。

幼女の訳の判らないハイテンションを治める為に

拾い上げて奥様の居るテーブルに向かうとしよう。

馬には酒保から何故か購入できた麦芽入り干し草をだしておいた。



『あのね、あのね、今までお馬さんに近寄った事は無かったの』

『近寄ろうとしても遠避けられてたの』



言葉では無いが幼女の言おうとする事を翻訳したらこんな感じ。

「大きかったねー」「一杯来たね」とシッカリ対応しておく。

テーブルに戻り幼女を席に座らせて興奮冷めやらない幼女に

冷たいオレンジジュースを出してあげた。



ん~~~~~~~~~~。



未だに固まっている奥様とメイドさん達。


更に固まっていないか?見開きが大きくなっていないか?



まるで一枚の絵だゾ???大丈夫か???


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そんな時、

一台の私(M133)赤い線が入ると共に屋根が吹き飛んだ。




今更ながらに気が付いた…幼女の容姿の部分が消えている事に‥‥‥‥orz



この物語はフィクションです

突っ込みとかの指摘はご遠慮ください。

読んでくださりありがとう御座います。


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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。 秋人司です。 とある縁でこちらの作品を見つけまして、数日前からちょいちょい読ませて頂いています。 まず戦車で異世界をゆく、というのはその組み合わせの妙がいいですよね。そ…
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