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「街」

「おい! 勝手にするなよ こんなガキ連れて行きたくない!」

「お願いだ。 頼む。 町に住んでるんだろう?」

「うっぐ…。 知らん」


ムブはそう投げ捨てるとレイを連れて部屋から飛び出してった。 リレーズさんは、その姿を眺めながら視線を外さないでこちらをじっと見てくる。

どういうこと? ここにいられるのが嫌ってこと?


「多分。 これが君のためになると思うんだ」

「そうですか」


僕は一言だけしか返せなかった。




もふもふの白い背中の後ろにしがみつきながら風が通り抜けるのを感じる。 木々がすぐに豆粒のように消えていくのを見ていく。

前に視線を向けると、ムブの背中が見える。

あの後あの部屋を後にして少ししたらムブに背中をつかまれて気づいたら白いもふもふの上でしがみつかないといけなくなっていた。


「大丈夫か? しっかりつかんどけ。 死ぬからな?」


風を体に受け続ける時間は数分で終わった。

風が病んだかと思うと目の前は開けた崖だった。 崖の下には灰色の大きな壁が見えた。


「あれが私が住んでいる街だよ。 名前は、キラスク」

「キラスク。 あの大きな壁が街なんですか」


そこからは三十分ほど、途中からしっかりとならされた道を歩きながら灰色の壁に向かっていく。 どうやって見ても前の街にはなかった物だからか…その大きさに圧倒されてしまう。


「!? 魔女様!」


壁に気を取られて前を見ていなかったらいきなり大きな声が響いて驚く。

目の前に視線を落とすと壁の入り口のような木の門が近くに合ってその前に立っていた兵士がムブの事を見ていた。


「おかえりなさいませ! 魔女様」

「うん。 帰ってきたよ~! ありがとね~!」


ムブが猫をかぶって返しているところを見るとすごいなぁって思いながら兵士をしっかりと見る。

鎧のせいで顔までは見えないけどなぜか興奮していそうなのがわかる。

ムブはこの町ではどんな存在なんだろう。 気になるような気にしないほうがいいような。

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