16日目 仲直り。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨8枚 銅貨13枚
ルクーセ特製サンドイッチ 1つ
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
目を覚ますと、目の前にシーラの顔があった。
場所は寝始めた木陰から変わっていないが、あたりはもう暗くなっていて、寒々しい風が吹いて・・・来ない。ていうかあったかい。
「ふっふっふ。エーヴァちゃんのために覚醒までしましたからね、日をまたいで暖め続けることくらい、して見せますよ!!」
シーラが魔法であっためてるらしい。
・・・いつもありがとうね、志保。
「いえいえ、当然のことをしたまでで・・・・・・・。」
間抜けな顔で私の顔を見つめてくる。
「・・・なんで分かったんですか?」
分かったっていうか、なんでか忘れていたのを思い出した?
「見た目結構変わってると思うんですけど。」
中身そのままじゃない。
「・・・そうですか。」
瞳に涙をため、一歩二歩と後ろに後ずさっていく。
「ごめんなさいでしたぁ!!」
そのまま、膝と頭と手を地面につける。いわゆるジャパニーズ・ドゲザだ。
いや、あの。志保?
「オデンぶっかけて、雪に埋めて、ごめんなさい!!」
だから、志保?
「挙句の果てに、相手が怒ってるのに喜んで!人間失格です!!」
ねぇ、落ち着いて?一回落ち着こう?
「こっそり手助けしていければと思っていましたが、ばれてしまった以上、望むならもう二度と姿は見せないつもりです!!」
しかし、志保の興奮は収まらない。私の肩を掴み、涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で叫ぶ。
「でも・・・。もし許してもらえるなら何でもします!だから・・・!もう一度・・・・・。もう一度・・・・・・・。」
志保の声が消えていく。もう一度の後に続く言葉は何だろうか。
ねぇ志保?
「わーーー!わーーーー!やっぱり聞きたくありません!!」
ここまで来て!?
「嫌です!いーやーでーすーーー!!知らないままのほうがいいことだっムグッ。」
人差し指を押し付けて、志保の口を黙らせる。
私の顔を、志保の耳に近づける。
ちょっと静かにしてよ。私の声なんて、蚊の断末魔くらいの物なんだから。
「・・・・・・・・私も・・・ごめん・・・な・・さい・・・・。」
そっと顔を放す。どんな反応をするのかと思いきや、目を見開いて驚いた顔のまま固まっていた。顔は涙と鼻水で汚れ、ピクリとも動かない様はまるで・・・大丈夫?生きてる?
癒しの神の口づけでも使ってやろうかと思ったら、急に動き出して、私に抱き着いてきた。
「うわああああぁああん!」
なんかもう、ぐちゃぐちゃだ。ヒールを使えば落ち着くかなぁ?そう言えば聖なる光には心を落ち着かせる効果があるんだっけ?その辺使ってみれば効率的だろうなぁ・・・。
でも、今だけは癒しの神の奇跡に頼るのは無粋な気がした。
「やぁ、エヴァ君。ちょっと緊急の用事があるんだけど・・・。
どうやら僕は、すごくお邪魔をしてしまったみたいだね?」
私たちの真横に突然現れた勇者君がそう言った。
・・・・・・うん。すっごく邪魔。
「ひっ!未だかつて無いほどの怒りを感じます!!」
いや、まぁ勇者君が悪いわけじゃないけどね。
間が悪いよね。