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【-1日目】エヴァの記憶3


 志保が四天王攻略に手を貸してくれてから、私たちはよくお話するようになった。いや、まぁ周りから見たら、志保が私に一方的に話しかけてるだけに見えるだろうけどね?


 「いやぁ、この学校には冬休みというものはないんですかね?

  えー?まぁそうなんですけどね?だって難しかったんですよ!絵美里ちゃんが付き添いで来てくれなかったら、バックレてるところです!

  まぁそうなったら絵美里ちゃんと会う時間が放課後だけになりますね!」


 今日は引くほどテストの点数が低かった志保の補習授業に付き添いしている。こやつは補修のある今日、私の家に来て、「えーみりちゃん、あーそびっましょう!」とのたまったのだ。完全にお遊びムードの脳内は、私の内なる大激怒を前に、お勉強モードに切り替えたようだ。ていうか心が読めるならカンニングし放題じゃないの?


 「そんなことしませんよ!志保のこの力は絵美里ちゃんと会話するためだけにあるんです!」


 もっといろいろ生かせそうなものだけどね。


 「入学式で一目見てから、ずっと話しかけたいと思ってこっそり見守ってたんですよ?」


 ・・・それは一歩間違えればストーカーだよね?


 「違います!見守ってるんです!話しかけたくても、絵美里ちゃんは常に話しかけるな近づくなと考え続けてたので、遠慮してたんです!」


 やたら都合よいタイミングで出てきたのは、見られていたからなのか。


 「そうですよ!これからも絵美里ちゃんのことは志保が守るんです!」


 何がそこまでするのかねぇ?人のために動こうなんて、私には理解できない。


 「何言ってるんですか?絵美里ちゃんも休みの日に、わざわざ用のない学校まで付き添ってくれてるじゃないですか。」


 ・・・・そっか。

 何も言わなくても、相手のために動けている。これが友達っていうものなのかもしれない。


 「友達!今友達って言いましたね!」


 ・・・しまった。声に出さなくても通じるんだった。


 「言質取りましたからね!今日から友達ですよ!」


 喋ってないのに言質は取れて無くない?ていうか今日からじゃなくて前からじゃないの?・・・あ

 心が読まれると反省したばかりなのに・・・。志保が嬉しそうな顔全開でこっちを見てきた。手遅れだったね。


 「そうですよね!!志保と絵美里ちゃんは、生まれた時から親友です!!」


 いや、そこまでは言ってない。



―――――――――――――――――――――――


 学校近くのファミレスで時間をつぶす。もちろん、私一人でこんなところには入れないので、志保が一緒に入って、軽食とドリンクバーだけ頼んでいってくれた。


 時刻は昼前、3杯目の飲み物がそこを尽きるころ。どんよりとした志保が歩いてきた。


 ・・・お疲れ様。


 「・・・いえ、絵美里ちゃんこそ、ずっと待ってて退屈だったですよね?」


 いやぁ、ボーっとするのは得意だから大丈夫だよ?小説も持ってるし。むしろ飲み放題で快適だった。


 「じゃあやっぱり志保をねぎらう時間にしてください。なんで授業ってあんなに面白くないんでしょう?」


 よしよし、補修授業出て偉かったねぇ。そもそも赤点取らなきゃ出なくて済んだんだけどねぇ?ちゃんと座って話聞けた?まぁどうせ先生の話は右から左に通り過ぎたんだろうけどねぇ?


 「ちょっと!言葉の端々に棘を感じます!!」


 そんなことないよ、ほら、頑張って。私は応援してるよ。


 そういえば、明日も補修授業なんでしょ?


 「それは完全にとどめです!!」


 志保が机に突っ伏してしまった。まぁ静かでいいかもしれない。じゃあ帰ろうか?


 「いえ、このままご飯食べていきませんか?」


 バッと起き上がり笑顔で提案してくる。復帰が速いな。まぁご飯食べていくのはいいけど。


 私がサラダとパンのセットを食べている間に、志保はハンバーグとスパゲッティとドリアとステーキとピザと・・・もう数えるのはよそう。


 「ところで絵美里ちゃん!明日が何の日か知っていますか!?」


 知ってるよ?興味ないし、あんまり関係の無い行事だけど、クリスマスでしょ?こんだけ日本中でバカ騒ぎしてたら、知らない方が異常じゃない?


 「それとは別に、大切な日なんです!」


 え?クリスマスに埋もれた行事とかあるの?考えてはみるけど、出てくるとは思えない。聞いたこともないね。


 「私の誕生日です!!」


 そりゃ知らないよ。考えるだけ損した。


 「誕生日がクリスマスと被る、そのせいで、志保は悲しい目にあってきました・・・。」


 志保の表情が曇る。あぁ、一緒くたにされて、プレゼントが一つしかもらえないって言うよね。


 「いえ、プレゼントは毎年二つ貰ってますよ?」


 愛されてるね・・・。


 「でもケーキは一つだけなんです!!」


 いや、二つもケーキいらないでしょ・・・。食後のケーキって結構重くない?


 「でも年にケーキを食べる機会が1回減るんですよ!?これは由々しき事態です!というわけで絵美里ちゃん!明日空いていますか?」


 まぁ暇だよ?当然のように暇だよ?


 「じゃあ私がクリスマスケーキを買っていくので、絵美里ちゃんは私の誕生日ケーキを作ってください!!」


 えぇ、作るの?まぁレシピ通りに作れば、失敗するような難しい物じゃないけどねぇ。めんどくさいんだよね、ケーキって。カップケーキ作ればいいかな?


 「ショートケーキのホールがいいです!!」


 そんな作ってどうするのさ、食べる人いないよ?私は30度くらいあればお腹いっぱいになっちゃうよ?


 「私が330度食べます!!」


 考えただけで気持ち悪くなるね。・・・でもまぁこの机の惨状を見れば、出来る気もする。じゃあ作るかぁ。


 「絵美里ちゃん!」


 帰りに材料を買って帰ろう。ぶっちゃけ生クリーム泡立てて盛り付けるだけだからね。泡立てるのがめんどくさいんだけど。でも一応手作りを要求されてるし、スポンジ生地くらい自分で焼こうかな。


 生地は寝かせたいから、今日のうちに仕込んどかなきゃね・・・。


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