15日目 着せ替え。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨9枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
ルクーセおばちゃんの娘・・・。つまり天使の娘ってことか。天使の子は天使だよね。
(―――。)
もう一つ聖なる光を出すと、天使風のサリーさんを形作っていく。
「ちょっと!?何作り出してるんですか!?恥ずかしいからやめてくださいよ!」
「エーヴァちゃん!シーラも!シーラも作ってください!!」
むぅ、なぜ作りたくもない人の許可だけ下りるのだろう・・・。人生はままならぬ物よ。
「そういえば、ルクーセさんの許可もほぼ間違いなく取ってないよね。会話出来てなかったし。」
「あー。まぁ母は派手好きなので、多分笑って許してくれると思いますよ?」
天使は派手好きっと。天使のサリーさんは作っちゃダメって言うし、もっとルクーセおばちゃんに装飾でも加えようかな。
大きなリボンを頭につけてみる。
「エヴァ・・・。もうちょっと似合いそうなのにしなよ。」
うん、つける前から察していたけど、さすがに大きなリボンは子供っぽすぎたね。
もっとこう、大人の女性の美しさを引き立てつつ、大きくて派手な物がいいなぁ。あ、そもそも服をいじってなかったね、いつものエプロンもすごく似合ってるけど、服を変えるところから始めてみようかな?
派手な服ってどういう物かなぁ?自分が目立つのを好まないから、良く分からないんだよね。派手なの派手なの・・・。あ、そういえばポフィーちゃんの来ていた、ピンクのフリッフリのやつは間違いなく派手だよね。
「エヴァ・・・。」
うん、何も言わなくても分かってる。着せてみたけど、さすがに似合わないね。あれを着られるのは、ポフィーちゃんだけだよ。いや、ポフィーちゃんが似合ってるかは置いといてね?
あとは派手と言えば、柄物かな?ちゃんと似合うやつじゃないと意味ないよね。柄物で、おばちゃんに似合いそうなの・・・。虎柄?
「エヴァ・・・。大阪のおばちゃんみたいになってるよ?」
うん・・・。まぁ結構似合ってるけどね?
翼の生えた大阪のおばちゃんはさすがに違和感があったので、元のエプロン姿に戻しておいた。
「それにしても、本当によくできてますね・・・。久しぶりに会いたくなってきました。」
ハジマリノ村に行く予定はあるし、一緒に行く?夕方からのお祈りが終わってからじゃないとダメだけど。
「夕方のお祈りが終わったら、会いに行こうって考えてます。」
「あ、今日の夕方から、明後日まではお祈りは無いわよ?明日炎の神様の誕生祭があるもの。」
生誕祭って明日だったんだ。そういえば炎の神様と癒しの神様が、喧嘩してるとかなんとか言ってたもんね。前日の午後からお祈りはしないんだね。
「ふむ、行くならすぐに連れて行ってあげられるぞ?」
勇者君のいるうちにぱっぱと行くのもありだね。朝ごはんからルクーセおばちゃんのサンドイッチを食べられるのも利点だよね。そうしようか。
「それじゃ、ありがとうねエヴァちゃん。」
「私からも礼を言おう、やはり君の聖なる光は素晴らしい。」
別れの言葉を告げられながら、チーム門外不出はハジマリノ村へと旅立つ。戦闘力の高い冒険者チームで旅立つって言うと、ハジマリノ村に何があるのかと思うよね。
まぁ、何もない平和な村だけどね。