15日目 天使のXX。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨6枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
朝のお祈りは無事終わった。
まぁ、慣れ親しんだものだし、癒しの神の杖さえ捨て忘れなければ、そう問題なんて起きないけどね。
「おう、嬢ちゃん。町に戻ってきたのか?」
やたらダンディな男が話しかけてきた。あれだ、ポフィーちゃんの人間バージョンだ。
「うちで泊まるんなら部屋開けとくが、どうする?」
うーん、ここまで来たんだから、どうせならハジマリノ村の大きなお風呂に入りたい気持ちもあるんだよねぇ。でもこっちの方が気楽かなぁ?でもお風呂は惹かれるんだよなぁ。
「ハジマリノ村まで行こうか悩んでるみたいですよ?大きいお風呂が入りたいそうです。」
「あぁ、ロカンの奴のとこか。あそこの風呂はたしかにでけぇからなぁ。」
名前まで覚えてなかったけど、多分私が想像してるのと同じところだろう。ハジマリノ村には、他に宿ないしね。口ぶりからすると、知り合いなのかな?
「まぁ、風呂好きなら行くべきだろうなぁ。妖精の止まり木では、いつでもお客様を待ってるからな。」
無駄にかっこいいポーズでそう言って、ポフィーちゃん人間バージョンは立ち去って行った。ていうかポフィーちゃんってきっと本名じゃないよね?名前なんていうんだろう?
「さて、お祈りも済んだし、僕ももう行くよ。用があったら、ユンに言って呼んでくれ。」
勇者君も教会からいなくなっていった。わざわざお祈りしていったけど、結構気に入ったのかなぁ?そういえば前も
「ただいま。」
勇者君がすぐ戻ってきた。まだ勇者君との別れの余韻に浸っていたところなのに・・・。
「ちょっとエヴァさん。出かけるなら出かけるで、ひと声かけてくれても良くないですか?」
どうやら、サリーさんを届けに来たらしい。いやぁ、最初は一人でこっそり行く予定だったんだよ?サリーさん以外全員集合だから、そうは見えないかもしれないけど・・・。
仲間外れにされたと思っちゃったのかなぁ?それは悪いことをした。
「エヴァさんの出す天使とやらが見て見たかったんですけど・・・。」
あぁ、そっち?聖なる光だし、別に見たければいつでも出してあげるのに。
「いつでも出すって言ってますよ?」
「本当ですか!?ぜひ、お願いします!」
情報屋さんはなんでも知りたがるんだなぁ。ちょっとしたお披露目会が始まる。チーム門外不出にちゃっかりとヴァーンさんが加わって見ている。熱心なことで。
癒しの神の杖を投げ捨て、息を吸う。ヴァーンさんが、何とも言えない表情で、杖の行方を目で追っていった。熱心なことで。
(―――。)
祝言を唱え終えると、天使のルクーセおばちゃんが降臨する。
その目は慈愛に満ちており、口は優しく微笑む。背中から生えた羽を大きく広げ、中へと浮く。頭上についている天使の輪と後ろの後光からあふれる光は、見る物の心を癒してくれる聖なる光。顔に深く刻まれたほうれい線はさながら芸術作品のよう。
その姿を見た者は、ただ静かに祈りの構えを取るのみだった・・・。一人を除いて。
「えっ!?お母さん!?」
その場にいた全員が、サリーさんの方を向いた。