14日目 門外不出。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨21枚 銅貨19枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
サリーさんのおすすめのお店『ブティック・リアクイーン』は確かに良い店だった。ぶっちゃけめちゃ高い。まぁ生地も刺繍もかなり出来の良い物だから、この値段は妥当なんかもしれないが。
「どうですか?気に入ったのありました?」
「「もっと安物で良いのに。」って考えてます。」
「エヴァさんが今着ている服も、かなりの上物ですし、このくらいの方が合うと思うんですけど・・・。」
まぁこれは元から着てたやつだからね。確かに良い物だし、これの上着となるとこのくらいの物を買わないとおかしいかもしれない。
「「パジャマにはちょっと高いけど、上着くらいは買ってもいいかもしれない。」って考えてます。」
「本当ですか!じゃあ、これなんてどうです?」
「「じゃあそれで。」って考えてます。」
「雑すぎませんか!?」
いや、あんまり自分の服にこだわりないし・・・。それにこういう店を紹介出来るだけあって、サリーさんの選んだ上着は、今の服に良く似合うと思う。
「うん、僕も良く似合ってると思うよ。」
「シーラも良いと思います!」
「いや、まぁ進めた本人としては、やっぱりダメとは言いませんけどね・・・?本当にいいんですか?」
私に自分の服を吟味する趣味はない。サイズもちょうど良さそうだし、頷くとそのままレジに持っていく。
「銀貨15枚になります。」
・・・値段も確認すべきだったね。
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家に帰ると、勇者君が門の前で待っていた。
「やぁ、お帰り、皆。」
中で待ってればいいのに・・・。急用なのかな?
「ちょっと話し合いたいことがあるんだが、中でゆっくり話さないか?」
中で待ってればいいのに・・・。
いつもの食卓に皆集まると、勇者君が切り出す。
「どうやら、パーティとして認められるためには、ギルドに申請しなきゃいけないらしい。」
「あぁ、そう言えばそうでしたね。私もずっとソロでしたから忘れてました。」
まぁギルドにパーティとして認められたところで、特に何するわけでもないけどね。
「そこで、チーム名を決めなければならないから、今から決めてしまおうと思う!」
チーム名ね。安全第一みたいなものか。まぁそれはかなり特殊な例な気がするけど。
「みんなで案を出し合って、一番良いと思うものに決めようと思うが、いいか?」
みんなで頷く。まぁ、私に意見を求めたりしないでしょう。眺めていようと思ったら、勇者君がフリップとペンを貸してくれた。用意がいいね。
「はいはい!シーラはチーム【ラブラブエーヴァちゃん】がいいです!」
よし、まずシーラを追い出すところから始めようか。
「ふむ、いいね!」
いや、いいね!じゃないよ。何言ってもいいねで返すつもりでしょ。
「ほかに候補はないか?・・・・・・・・・よし、じゃあこれから僕たちはチームラブラブエーヴァちゃんで行こう。」
待って!!それは待って!!私が言えた義理じゃないけど、ちょっと意見少なすぎじゃない?何も言わないサリーさんとユンの方に視線を向けて、意見を出すように促す。君らもラブラブエーヴァちゃんは嫌でしょ?
「すみません。いざ自分のチームの名前を決めると思うと、ちょっと恥ずかしくて・・・。」
チームラブラブエーヴァちゃんより恥ずかしい名前なんてないから、堂々といこうよ!そう言えばうさ耳も恥ずかしがってたし、サリーさんは案外恥ずかしがり屋さんなのかもしれない。
「僕はウサギだから、意見は言えないね。」
バリバリ喋ってますやん!言えますやん!さては自分が名乗ることはないだろうと思って、面白い方に行こうとしてるな!?
「ふむ、ではやはり・・・。」
勇者君の発言を手で止める。こうなったら私が考えるしかない。考え出す気もなかったが、ちゃんと考えよう。・・・いざ自分で考えるとなると恥ずかしいな。なるほどね。
いや、気楽に考えよう。今より悪い案が出ることはないんだ。チーム名といえば、安全第一みたいなのでいいんだ。安全第一みたいなので。いや、安全第一もチーム名としてはおかしい気がする・・・。もっとチーム名っぽくて、私たちの特徴を捉えている名前がいいけど・・・。どうしよう、この世界のチーム名で私が知ってるの安全第一だけなんだけど・・・。うーん・・・?
「エヴァ君・・・。君がそんなにチームのために考えてくれるなんて、僕は嬉しいよ。でもそんなに焦る必要はないんだ、少しずつ変わっていけばいいんだよ。今回はラブラブエーヴァちゃんで行こう。」
嫌だよ!!
もうなんでもいいから書こう!勇者君が行っちゃう前に何か案を出さなければ!
こうして、私の出した案に全員が賛同し。チーム【門外不出】に決定した。・・・安全第一に引っ張られすぎたね。
何が門外不出なんだろう・・・?