13日目 見分け付く?
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨23枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
装着型魔力測定装置・改 1つ
やっとのことで、サリーさんおすすめのお店に付いた。大通りに面しているが、露店ではなくちゃんとしたお店を構えている。
ちなみに、途中でチーム安全第一に出会ったが、筋肉ムキムキのおっさんたちがガハハと酒を飲んでいるところに交じれといった挙句、街中で土下座しだしたので逃げ出してきた。帰り道は違う道を通ろう。
「いらっしゃい。」
ふむふむ、なるほど。さすがはサリーさんは情報屋を名乗るだけのことはある。出迎えてくれたおばちゃんは、人懐っこい笑顔で、私のいいおばちゃんセンサーも反応している。この店が私の唯一のお店になってくれそうだな。
お肉に野菜にお魚に。結構なんでも売ってる店だ。スーパーに近いのかな?せっかくだし、キャベツの千切りくらいつけようか。
さて、突然だがこの世の中には二種類の人間がいる。
キャベツとレタスの区別が付く者と、付かない者だ。
一応私は、区別のつく者の自信があるのだが、ここで問題が生じる。目の前の葉の塊、片方が四角く、片方は玉ねぎみたいな形をしている。一応四角い方にキャベツの名札が、玉ねぎの形の方にはレタスの名札が付いているのだが、こうも見た目が違うと、名前は同じでも同じ用途で使用していいのか疑問が生じる。
さらに厄介なのが、その隣にいる白菜が一番キャベツっぽい形をしていることだ。もしかして白菜の千切りが正解なのだろうか?他の日のご飯にすればいいし、全部買って食べ比べてみようかな・・・。
「はいよ、全部で銀貨1枚と銅貨3枚ね。」
知的好奇心に負けて、買ってしまった。ていうか買ってから気づいたけど、レジ袋なんて付けてくれないから、お米一袋に野菜三つは持って帰るの大変だね・・・。
レタスをショルダーバッグに入れて、キャベツと白菜を左、お米を右に抱えて帰路に就く。うん、まぁ持てなくはない。腕が怠くなったら、奇跡で回復させればいいしね。
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家に帰ると、薬草採取に行った面々が勢ぞろいだった。シーラはいないけど、どうせそこらへんで私のこと見てるでしょ。
「あ、エヴァさん、お邪魔してます。」
サリーさんが律儀に挨拶してくる。頭だけ下げて、机の上に買ってきたものを並べる。
「どうしたの?野菜ばっかり買ってきて。朝も野草だったし、ベジタリアンにでも目覚めた?ちゃんとタンパク質も取らなきゃだめだよ?」
ウサギにタンパク質を取れと言われた・・・。別に目覚めてないし、今日の晩御飯は唐揚げの予定だから大丈夫だよ。
「うむ、エヴァ君。これから僕たちのチームの話をするから、シーラ君を呼んでくれるか?このままではエヴァ君ともコミュニケーションが取れないしな!」
えぇー、私が呼ぶのー?・・・シーラー。
「エーヴァちゃんが呼んでる気がします!」
「ひゃああ!!」
机の下からにゅるりとシーラが登場して、サリーさんが可愛らしい悲鳴を上げた。いつからそんなところに・・・。
「よし!全員揃ったな!早速会議を始めよう!!」
「いや、机の下にいた件についてはスルーなんですか!?」
「ちなみに、机の下に入っていたんじゃなくて、机の天板に張り付いていたんだよ。」
「あぁユンさんは視点が低いから気づいてたんですね。・・・ってちょっとしたホラーじゃないですか!!どうしてそんなところに!?」
「エーヴァちゃんが物を置いた振動が、直に感じられるんです・・・。」
「ごめんなさい、控えめに言って気持ち悪いです。」
うん、うん。頬を赤らめて、くねくねするシーラに正確な評価が下された。
「というわけで、サリーさんもチームに入れたいと思う!」
「どういうわけですか!?」
まぁ今ので何となく理由は分かった気がするけど・・・。
「一応、いろいろ理由があるんだよ。話し合って決まったんだ。」
「本人抜きで誰と話し合って決めたんですか・・・。」
「もちろん、嫌なら嫌と言ってくれればいいからな!」
「いえ、嫌というわけではないんですが・・・。」
サリーさんが考えるような仕草をする。
「でも、このドリーマーで構成されたチームに、私なんかが入って大丈夫なんですか?」
「別に集めてるわけじゃないから、大丈夫だよ。」
へぇ?このチーム、ドリーマーが集まってるの?シーラもってこと?
「・・・まぁ、そうですよ。」
じゃあシーラも前世の記憶があるの?
「前世ですか?なぜ突然・・・。そんなものないですよ?」
あれ?ドリーマーって前世の記憶がある人達じゃないの?そういえばこの情報って誰から聞いたんだっけ・・・?
「私、ギルドからの外せない仕事とかあるので、せっかくチームを組んでも、参加できない時があると思いますよ?」
「そんなことは気にしなくていい!エヴァ君なんて参加できてもする気もないし、シーラ君に至っては、エヴァ君のストーカーを優先する始末。ユンなんてウサギだ!!」
「それはそれでどうなんですか・・・。」
言われてみればこのチームろくでもないな。まぁ私が言えた義理じゃないけど。
「分かりました。今一番なにかやらかしそうなところに、潜入取材だと思って頑張ります。」
何かやらかしそうだと思われてるんだ・・・。
「私が入るの、許してくれますか?」
そう言ってサリーさんは私の方を見る。え?なんで私?薬草採取に同行するの拒否したからかな?まぁ今更拒否する理由もないし、このチームにサリーさんは必要だと思うので、OKサインを出す。
紹介してくれたお店も良い感じだったしね。