13日目 一人でお出かけ。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨23枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
装着型魔力測定装置・改 1つ
「そいつ自体に使える部位はないから、要らない部分は捨ててくれ!では、美味しい料理を楽しみにしてるぞ!」
そう言うと、勇者君は瞬く間に消えてしまった。
さてと。見えないお肉ってどうやって調理したらいいんだろうね?まずは着色?
適当に小麦粉を振って、形の確認。顔がしゃれこうべなだけあって、人型だね。私はいいけど、この世界の人たちは人型の生物を食べることに、抵抗はないのかな?
包丁を入れてみる。あ、骨もないし、液体が出てくる気配もない。なんだこれ?
結局、死神チックなモンスターの体は、すべて綺麗に肉片となった。小麦粉まぶしただけだし、このまま焼いてステーキにしちゃう?でも焼いただけの料理ばっかりだし、楽しみにしてるって言われたからには、少しは工夫したいかなぁ?肉が透明なのを生かした料理・・・うん、思いつかないね。そんなぶっ飛んだ料理の才能は私にはない。少なくとも、透明なことを隠した方が、見た目的にはおいしい物が出来そうな気がする。
中まで味が染みるような料理なら、お肉っぽく見えるかなぁ?透明に色が付くだけだと、ゼリーみたいになっちゃうか。衣で隠す?一口サイズの唐揚げとかいいかも。小麦粉先に付けちゃったけど・・・まぁなんとかなるでしょ。
唐揚げこそ味濃いし、ご飯が欲しくなるかなぁ。仕方ない、サリーさんに教えてもらった、人の良いおばさんがやってるらしいお店にでも行ってみようかな。
お肉に付いた小麦粉を洗い流し、下味だけ付けて外に出る。なんやかんやしている間に、日が落ち始める時間になっていた。この時間帯ってスーパーだと混むんだよねぇ。まぁこの国だといつでも人だらけだから一緒か。
覚悟を決めてお出かけする。目的地は冒険者ギルドのある大通りにお店。いつもと同じルートで大通りに出る。この道は冒険者ギルドがある通りだからか、やたら酒場が多い。筋肉質の男たちが大声で爆笑しながら、酒を飲み交わしている姿をよく見かける。
まぁ私には関係のない話だね。とりあえず目的のお店を目指して、人にぶつからないように、人の顔を見ないように歩いていく。うー。人が多い。大丈夫だと自分に言い聞かせて歩く。大丈夫大丈夫。知り合いもいないし、私のことは皆、通行人Aだとしか思ってない。私に話しかけてくる人なんているわけが。
「「あーーーっ!!!!」」
突如、近くの酒場に座っていた男性とその隣に座っている女性が大声を上げる。ビックリしてそちらを向くと、二人は私の方を指さしていた。・・・キョロキョロして私以外の物を探してみるが、どう考えても私のことを指さしていた。
え?何?とりあえず、逃げたらいい?
「全員動くなぁ!」
今度は私を指さしていた二人の隣にいた男が叫ぶ。逃げようとしていた私の体と私に向かって来ようとしていた二人が完全に硬直する。
「良いか、大きな音を立てず、ゆっくりとだ。ゆっくり近づくんだ。」
いや、大きな音を立てずって、大声で叫んでたじゃん。ていうかこの近づくの対象は私だよね?なんで私狙われてるの?この3人はどっかで見た気もするんだけど・・・。
「いいか、あまり素早く動くと、ビックリして逃げてしまう可能性が高い。焦らず、落ち着いて捕獲するんだ。」
とりあえず、あのリーダーっぽい人は、私のことを野生動物か何かだと思ってる側の人間だね。捕獲とか言ってるし・・・。