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13日目 対人三原則。


  現在の所持品

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨15枚 銅貨2枚

 水の入った水筒 1つ

 癒しの神の杖 1本

 装着型魔力測定装置・改 1つ


 私の魔力が尽きるまで薬草を取り続けると、王国に歩いて帰る。なぜ徒歩かと言うと、私が瞬間移動を嫌がったからだ。


 「・・・いや、大量に取れましたねぇ・・・って!本当に薬草取っただけじゃないですか!!」


 いや、最初からそう言ってるじゃない。


 「すまない、期待外れだったようだな・・・。」

 「い、いえ!私が勝手に疑っただけですから・・・。」


 サリーさんが、しょんぼりとしてしまったが、特に何事もなく、王国につく。まぁメンバーがメンバーだから、何が出てもなんとかなりそうだよね。最悪瞬間移動で逃げれるし。


 「今日は楽しかったですねぇ。エーヴァちゃん!」


 そう?私はただ疲れただけだけど・・・。そういえば、勇者君もみんなで出かけられて満足なのか、楽しそうに歩いてるな・・・。きっと私とは違う思考回路で動いてるんだろう。なんでアウトドアが好きな人って意味もなく出かけられるんだろうね・・・?


 薬草を届けるために冒険者ギルドに向かう。ちなみに大量に採取した薬草は、勇者君の使える『魔法の倉庫』とやらにしまってある。何もない空間に黒い穴をあけて中に物を閉まっておけるらしい。中は時が止まってるから、腐ったり傷ついたりしないんだって。めちゃくちゃ便利だよねそれ。勇者君がいれば大体なんとかなる気がしてきた。一家に一台勇者君。


 ギルドへの道のりは、私がいるからもちろん人気のない道。人通りの少ない裏路地の、ちょうど幼女が転んだのを助けた場所に、一人の女性が立っていた。年は30代くらいだろうか?白い帽子に白い服を着ている。


 「こんにちはぁ。」


 わぁ、挨拶してきたね。人のよさそうなにこやかな笑顔。でもごめんなさい。私、初対面の相手に挨拶してくる系の人とは、仲良く出来ない種族の生物なんです。勇者君を壁にしよう。


 「こんにちはです!」

 「こんにちは!ご婦人はこんなところでお散歩かい?」


 シーラと勇者君が元気に挨拶する。しかし、ユンはなんだか値踏みするような顔をし、サリーさんに関しては、ヤッベという顔をしている。どうしたんだろう?トイレ?


 「ふふっ。元気なのは良いことですね。エヴァさんに用があるのだけど、少しいいかしら?」


 あれ?私のこと知ってるの?初対面だと思うんだけど・・・。でも私は人の顔を見ず、覚えず、見分けがつかずの三原則を掲げているから、もしかしたら忘れてるだけかも?


 「なるほど!その白い衣装はエーヴァちゃんの真似っこなんですね!」


 いや、それは違うと思う・・・。


 「その通りよぉ。」


 その通りだった。・・・。その通りだった!?


 「エーヴァちゃんとお揃い・・・。」


 いや、ダメだよ?そんな「私もいいですか?」みたいな顔しても、絶対だめだよ?ていうかこの人結局何者?シーラに変な知恵与えないでほしいんだけど・・・。シーラと同じ香りがする気がする。私、もしかして二人にストーカーされてたの?同時多発事件なの?


 「ねぇ、サリー?この人ってやっぱり。」

 「癒しの神を祭る世界最大の宗教の、事実上の最高権力者ですね。やり手ではあるんですが、変わり者という点で有名です。」

 「やぁねぇ。夫が偉いってだけで、私はただ実権を握ってるだけよ。」


 実権握っちゃってるんだ・・・。


 人のよさそうな笑顔が、急に怖く感じた。


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