【12日目】ユン視点 夜中の報告会2
僕の名前はユン。今は高級レストランの個室にいるんだ。
「じゃ、俺はもう行くな。必要な情報は勇者の奴に伝えとけ。」
「あ、待って待って。」
「あ?まだ何かあるのか?」
用は済んだとばかりに出ていこうとする王様を止める。
「すぐ勇者君が来るから待ってて。」
「別にお前から伝えとけばいいだろ。会う必要あるか?」
「待たせたようだね!」
ちょうど勇者君が瞬間移動で現れる。ちょうど王様の目の前、距離にして3センチメートル。
「・・・ちけぇよ。」
「おぉ!エヴァ君!喋れるようになったのか!?」
「・・・ちげぇよ。気配で分かんだろ。肩持ってゆするんじゃねぇ。」
さすが勇者君。なにがとは言わないけど、さすが勇者君。
「なんだ王様か!一緒にご飯でも食べようじゃないか!」
「いや、俺もう腹いっぱいなんだけど・・・。」
「安心してくれ!僕もだ!」
「バカなんじゃねぇのお前。」
勇者君は、エヴァが男の人はいっぱい食べるだろうからとか言って、3人前くらいの肉を用意したのを全部平らげていたはずだ。ちなみに昨日の若干生臭い焼き魚も、ちゃんと食べきってたし、勇者君は食糧を無駄にはしないんだ。
「それじゃあ、集まったことだし、ちょっと話がしたいんだけど。」
「俺が合いたくもない相手に会う羽目になったんだ。大事な話なんだろうなぁ?」
「うん。実はエヴァのことなんだけど・・・。」
「なんだ、何か問題でも起きたのか?」
いや、問題って程でもないけど。まぁ問題は問題かなぁ?
「エヴァが料理が趣味って言ってたんだ。未知の食材を調理するのが楽しみだって。」
「ほぉ。それで?」
「ここ2日、勇者君に頼んで、市場に出回らないような素材を調達してもらって、エヴァに調理してもらったんだけど、全然嬉しそうじゃないんだよ!」
「クソどうでもいいな!」
いやぁ、趣味は大事だと思わない?
「そこで聞いてみたんだけど、どうやら一筋縄では食べられないようなのがいいみたいなんだ。」
「なぁ、俺もう帰っていいか?」
「王様はいろんなこと知ってるでしょ?調理の難易度が高い食材ってなにか知らない?」
「はぁ。・・・どういうジャンルの食材がいいんだ?」
「僕が取ってこれる範囲の物なら何でもいいぞ!」
「ノンジャンルじゃねぇか。」
まぁ勇者君に取ってこれないものはないだろうね。
「そうだな。人食い花とかでいいんじゃねぇか?」
「あれって食べられるの?」
「あんなもん食ったなんて話は聞かねぇなぁ。」
王様にすごいやる気がない。まぁ当たり前か。
「せめて口にして問題ない物にしてよ。」
「何言ってんだ、未知への挑戦だろ?誰も口にしたことない物に挑戦しないでどうすんだ。」
なるほど、僕が保身に走ったから、エヴァを満足させられなかったのか。
「よし、じゃあ勇者君!明日は誰も口にしたことのないようなものを狩ってきて!」
「分かった!任しておいてくれ!」
「じゃあ、俺は帰るからな?」
王様がうんざりした顔で出ていく。
「ありがとう王様。さすが年の功。」
「誰が年寄りだ。」
違うの?




