12日目 ファンタジークッキング。
現在の所持品
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨15枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
装着型魔力測定装置・改 1つ
ロボットサンドイッチ上 1つ
キッチンでお昼ご飯にサンドイッチをもしゃもしゃしながら、ユンの持ってきてくれた植物図鑑を読みふける。対面の席でシーラがニコニコ見てくるのが、この上なくうっとおしいけど、スルーしよう。
「どう?お目当ての薬草は見つかった?」
それはすぐ見つかった。でも似たようなのと間違えて怒られると嫌だし・・・。草なんてどれも同じに見えるから、違いをしっかり見極めれるようにしたいんだよねぇ。
「間違えないように覚えてくそうですよ?」
「それはまた・・・。読書が趣味って言ってたし、これもその一環ってとこかな?」
いやぁ?私が趣味で読んでたのは、少女漫画に、そんなに難しい文字が使われていない小説くらいだ。図鑑って読書って言うのかなぁ?まぁ本読んでるんだから、読書か。同じような理由でマンガ読んでるのも読書って言っていいのか悩むよね。
「ユンユンは図鑑や漫画も読書って言いますか?」
「え?うーん。まぁ読書って言っていいんじゃない?」
・・・ユンって本読むのかなぁ?結構器用だし、頑張れば読めそうは読めそうだけど。読みにくいだろうなぁ。
「ユンユンも何か読みたかったら、私が手伝ってあげますよ?」
「僕はいいかなぁ、あんまり本は読まないんだ。ほら、キャラ的にもウサギらしく、野原を駆け回るべきだと思わない?というわけで遊びに行ってくるよ。」
キャラとか気にしてる時点で、ウサギらしくは無いと思う・・・。
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「ただいまー。ってまだ読んでたの?」
ユンがウサギらしさを求めて、キャラ作りのために出かけて数刻。・・・ていうか今何時?
「もうそろそろ晩御飯の時間です!」
え?嘘!?ファンタジーな植物がいっぱい載ってる植物図鑑は、思ったより面白かったらしく、気づけば日も暮れていた。ていうかシーラは初期位置から場所が変わってないんだけど・・・。ずっとそこにいたの?
とりあえず晩御飯の鰐肉焼かないと。
「炎ならシーラにお任せです!」
えー・・・?植物図鑑探しも役に立たなかったし、炭にする未来しか見えないんだけど・・・。
「こう見えても、炎の魔法の扱いならピカイチなんですよ!!」
じゃあとりあえず、シーラの分で様子見ってことで。冷蔵庫からお肉を取り出し、人数分に分けて塩を振る。ユンは数口しか食べないから、私と勇者君とシーラの分だけでいいかな?余った分は、あの魚と同じように勇者君が持って行ってくれるでしょ。はい、これがシーラの分。
「これを焼けばいいんですね!どのくらい焼けばいいですか?」
弱火で、串を差して透明な脂が出るまでかな?
「任せてください!」
シーラの分の鰐肉が宙に浮き、全方面から炎が迫る。なにそのファンタジークッキング・・・。出てきた油もすべてその場にとどまるので、若干揚げ物みたいになってる。まぁおいしいと思うよ?多分。
「すごい調理法だね。これ、大丈夫なの?」
「どうですか!」
まぁ、火が通ればいいんじゃない?シーラが突き出した肉に串を差す。うん、かなり良い感じ。洗い物いらずに温度も自在かぁ、いいなぁ。私もそういう魔法が使いたかった。
「私のことをいくらでも使っていいんですよ!」
・・・前向きに検討させていただきます。
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結局シーラに全部焼いてもらった。勇者君もやってきて、晩御飯の時間となる。
「うん!これはおいしいな!」
「昨日の魚よりはいいね。」
「エーヴァちゃんの愛情が詰まってますからね!」
そんなものを詰めた覚えはないし、私がやったのは切って塩を振っただけだ。しかし、お肉があるとご飯が欲しくなるね。まぁ贅沢は言うまい。
「ご飯ですね!シーラに任せてください!」
そう言うとシーラが飛び出していった。言わなくても考えただけでアウトか・・・。考える自由くらいは欲しい。
「シーラは急にどうしちゃったの・・・?」
私の考えを読み取って、ご飯を探しに行ったんだけど・・・。
「ごちそうさま。シーラ君の気配は覚えているし、どうせ出かけるからついでに僕が探しておこう。まぁ大丈夫だとは思うが。」
そう言うと、勇者君もその場から消えてしまう。気配なんて追えるんだ、すごいね。昨日も晩御飯食べたらすぐどっか行っちゃったけど、勇者君は忙しいのではないのだろうか?シーラなんて探してる暇があるのかなぁ?
「エヴァはこれからどうするの?」
どうするもなにも、ご飯食べたんだからお風呂入って寝るだけだよ?空いた時間は図鑑でも読もうかな。
「・・・いつも通り。」
「そう、じゃあ僕も出かけるけど、家からは・・・出ないか。知らない人が訪ねてきても、居留守決め込んじゃえばいいからね?」
この時間から出かけるの?珍しいね。
居留守は得意だから、任しといて。