12日目 こんにちは、仕事。
現在の所持品
How to healer 1冊
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨15枚 銅貨2枚
水の入った水筒 1つ
癒しの神の杖 1本
装着型魔力測定装置・改 1つ
ロボットサンドイッチ上 1つ
さてと、朝ごはんも食べたし、仕事でも探すかな・・・。
「今日はどうするの?お部屋に戻る?」
とりあえず思いついたのは、冒険者の仕事だ。モンスターの討伐は難しいが、ほかにあるかもしれないし。あと実は、癒しの神の奇跡にアンデットに攻撃するものがいくつかある。アンデット討伐なら私にもできるかもしれない。
「・・・なんと・・・今から外に出たいと思いますっ!」
両手を広げて宣言してみる。ユンが心底ビックリした顔をしてくれた。ノリがいいのか、失礼なのかどっちだろう?
「どこまで行くの!?あ、分かった庭だね?ねぇ、庭なんだね?」
分かった、失礼な方だ。
「・・・冒険者ギルドに行ってみる。」
「へぇ?場所は分かるの?」
「・・・大きな建物だったし、分かるでしょ?」
「ちなみにこの国にギルドは三つあって、エヴァが見たのはここから一番遠いギルドだね。」
あれ?詰んだ?
「まぁここから近いギルドでいいなら案内するよ。」
よしよし、ユンはいいウサギだなぁ。いっぱい撫でてやるからなぁ。
「あ~そこそこ。いいねぇ良い感じだよ。頑張ろうって気になるね。」
「・・・じゃあ人気のない道案内よろしく。」
「え?今何かおかしな枕詞ついてなかった?」
「・・・誰もいないような道案内よろしく。」
「・・・」
なんだその嫌そうな顔は。もっとか?もっと欲しいのか?
「あ~~~、分かった、分かった。ちょっと調査してくるから待ってて。」
ユンはいいウサギだなぁ。
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「よし、じゃあ行こうか。」
数分後、ユンが帰ってきた。
「出かける準備は出来てる?」
頷くとユンと一緒に外に出る。うーん。太陽がまぶしい。
「じゃあまず家の前の大通りを抜けて。・・・いや、そんな嫌そうな顔されても。そこはどうしようもなくない?」
この家、大通りに面してたのか・・・。
「・・・裏口とかないの?」
「あるけど、目的地は建物の奥に見えるあれだよ?」
ユンが顔で指示した先。手前の建物から少し顔を出している大きな建物がある。徒歩5分圏内って感じだ。裏から出たら遠回りだね・・・。
「この大通りさえ抜けたら、あとは誰もいない道を通って、ギルド前の道まで出れるから、頑張りなよ。」
まぁ近かったのはいいことだよね。ユンを抱えて、大通りを抜けていく。これだけ人が多いと私に注目が集まることもない。人の隙間を抜けて、路地裏に出た。
「よしよし、あとはこの路地裏を抜けるだけだよ。」
人気のない路地裏を進む、誰もいないっていいね。そんなことを考えていたら、前の方から小さな女の子が駆けてきた。神様は私のこと嫌いなの?まぁすれ違えないほど狭くはないからいいけど・・・。
そろそろ道を開けようかな。それくらいの距離まで近づいてきた時、幼女がものの見事に転んだ。
「・・・ぐすっ。」
あ、泣きそう。慌てて駆け寄りながら、祝言を唱える。
(――――。)
「・・・あれ?いたくない。」
なんとか泣き出す前に、治すことに成功した。
「おねーさんがなおしてくれたのー?」
「・・・うん、痛いとこはない?」
「あーこのお姉さんは喋れな・・・。」
時が止まる。幼女がユンを見て、ユンが私を見た。
「「喋れるの!?」」
あれ?デジャヴ?
「・・・子供相手なら話せるよ?」
「エヴァの中では、幼女も小動物と同じカテゴリなのかな・・・?」
それは・・・どうだろ?そういうことなのかな?
「ウサギさんなでていいー?わたしとおはなししよー?」
「もちろんいいよ。」
幼女はユンを手に入れてご満悦だ。なんというか、可愛い光景だ。
「わたしもおねーさんみたいに、けがをなおせるひとになれるー?」
お姉さんって呼ばれるのも悪くないなぁ。私はにっこりと微笑むと、How to healerを取り出して、聖なる光のページを開く。
「・・・ここ読んでみて?」
「そこは「きっとなれるよ!」とか言っとけばいいんじゃないかなぁ?」
いや、無責任なことは言えないじゃない?
「わ、われらがー・・・われらがー・・・?」
「ちょっと子供には難しいんじゃないかなぁ?」
むぅ、そうか。じゃあしょうがない、あんまり使いたくなかったけど・・・。ショルダーバックのなかから、うさ耳を取り出す。
「あ、エヴァ。僕が見るよ。」
そう?前は自前のがあるって嫌がったのに。まぁやってくれるなら、任せよう。ウサギの頭にうさ耳をつけてやる。
「おぉ、こんな感じなんだ。・・・エヴァは可哀そうなくらい魔力が少ないね・・・。」
それは前も言われた。人の魔力を可哀そうって言うのやめてくれないかなぁ。
「うん、見やすいねこれ。大丈夫。お嬢ちゃんもヒーラーになる素質はあるよ。適性高いし、魔力はかなりのものだ。」
「ほんとー!?」
おぉ、ヒーラー適性は珍しいらしいのに、良かったねぇ。お祝いにこのHow to healerをあげよう。
「・・・あげる。」
「いいのー?」
「・・・うん、私はもう全部覚えたから。」
「撫でられながら見てきた僕が保証するよ、このお姉さんは気持ち悪いことに、本当に全部覚えてる。」
「おねーさんすごーい。」
気持ち悪いとはなにさ、頑張って覚えたのに・・・。幼女は褒めてくれたから良しとしよう。
「・・・そういえば、私、可哀そうなくらい魔力少ないなら、なんで奇跡使えるの?」
魔力使ってるんだけどなぁ?
「それは、ヒーラー適性が気持ち悪いくらい高いからだね。ごくわずかな魔力で発現させてるんだね。」
ユンが偽りのうさ耳をピコピコさせながら答えてくれる。
・・・さっきから私に対する暴言多くない?