【11日目】ユン視点 報告会
僕の名前はユン。今は勇者君の家の廊下で、ある人が戻ってくるのを待っているところなんだ。
「おぉーい。戻ったぞーい。」
そう言いながら、ユンが廊下の奥から歩いてくる。僕の元まで来ると口を開いた。
「おい、ユン。おめえが他人に興味も示さない女だっつーから、なんの準備もしないで行ったのに、めちゃくちゃ疑われて冷や汗ものだったぞ。」
そう言うと、目の前のユンは黒い霧に包まれる。黒い霧はだんだんと大きくなっていき、突如霧散する。霧の晴れた後には、ユンではなくエヴァが立っていた。姿の変わるこの人はこの国の王様、喋り方は男っぽいけど、本当の性別も姿も知らないや。
「へぇ?エヴァならどんなに雑でも気にしないと思ったんだけどなぁ。たぶん歩き方に違和感があったんじゃないかな?」
「ウサギの歩き方なんて知らねぇっつーの。」
まぁそれはそうだろうね。人間とウサギじゃあ骨格から違うから、性別も年齢も気にせず化けれる王様でも、そう簡単にはまねできないだろうね。
「でもどうせ、王様お得意の口八丁で誤魔化したんでしょ?」
「まぁ、そうだけどよぉ?ていうかお得意とかいうのやめてくれねぇ?王様の得意とすることじゃねぇからそれ。」
それを言うなら変容って魔法もだと思うけど。ていうかエヴァの見た目と声でバリバリ喋るのやめてほしい。ただでさえ普通に喋ってるだけで違和感凄いのに、口調が口調だからもう違和感通り過ぎてもう気持ち悪い。
「ていうかあの女、対人経験なさ過ぎて、たぶん誰でも騙せるぞ?話の内容ずらしたらすぐ乗ってくる。ちゃんと見てやんねぇとダメだな。」
まぁそこは否定できないね。僕もそう思うからなるべくそばにいたんだし。
「つーわけで、勇者のパーティに突っ込むことにしたから。」
「え?・・・それはエヴァが了承したのかい?」
「あぁ?なんか元からそんな話があったみてぇじゃねぇか?ていうか勇者の奴もそれを望んでたし、勇者第一主義のお前なら二つ返事だと思ったんだがなぁ?」
・・・そういえばそうだね。自分で思っているより、エヴァのことを気に入ってるのかもしれない。
「それに、あんなぶっ飛んだ力、手放しってわけにはいかねぇぞ?さっき言ったように騙されやすそうだからな。」
「まぁそれはそうだろうね。」
「危険思考ってわけでもなさそうだし、そんな大それたことするようにも見えねぇから要観察ってところだな。」
「案外、「人が多い。」とかそんな理由でめちゃくちゃやるかもよ?」
「んな訳ねぇだろ。」
いやぁ、エヴァだよ?まぁ危険思考だと思わせてもしょうがないか。本人に人を傷つける力はないしね。
「んで、最上級の奇跡である癒しの神の口づけ2回も発動しといて、魔力が8割残ってるとか言ってたんだが、まじか?」
「さぁ?そこまで魔力を使う機会はないからねぇ。あぁ、そういえば魔力量が分かる機械をエヴァが持ってるはずだよ?」
「・・・魔力量が測定できる物なんて、だーーいぶ前から世界中で研究し続けて、成功例が一度もない代物なんだが?聞いてねぇぞ・・・・・・まぁいい。それ使って調べておいてくれ。」
「えー?それ、うさ耳の形してるんだよ?」
「だからなんだよ。」
「ウサギがうさ耳つけるなんて前代未聞じゃない?」
あ、すごい呆れた顔してる。僕のアイデンティティのピンチなんだけどなぁ。
「とりあえずあいつは勇者の元で要観察。魔力量はまた報告しろ。質問は?」
「エヴァと勇者君が組んじゃったら、シーラも味方するだろうし、他の全戦力集めてもかなわないくらいの超戦力になっちゃわない?」
「シーラってやつも問題はなさそうだし、勇者の奴が裏切ることはねぇだろ。」
「そりゃあ勇者君は裏切らないだろうけど・・・三人とも騙されやすいアホだよ?」
「・・・・・・・頑張れ。」
え?僕がまとめるの?
「ウサギには限界があると思うなぁ。」
「・・・まぁ、その辺は何とか考えとくわ。」
そう言ってエヴァの見た目をした王様は立ち去って行った。まぁ自分の国のことだし、本当に何とかはしてくれるだろうし、任せておこう。
僕もエヴァの元に行こうかな。




