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【-264日目】エヴァの記憶1


 今日は私が入る高校の入学式だ。毎度思うんだけど、入学式とか卒業式っている?まぁそういうものは大事にすべきなのかなぁ?


 まぁ式自体はボーっと話を聞いてるだけで終わるので、そんなに気にしない。問題なのは各教室についてから毎度行われる謎の儀式。


 「はい、じゃあ名簿番号1番から順番に、名前と趣味、あと一言言っていってね。」


 これいる?


 どの先生もマニュアルでもあるのかっていうくらい、皆が皆やらせてくるけど、これいる?

 まさかこの時間でクラスメイト全員の顔と名前を覚える超人なんかいないだろう。なんなら、全員がやるせいで情報量が多くなり、誰一人として覚えていない。この謎の時間で分かる情報は「あいつやたら元気。」とかそんなもんだろう。だったら席が前後の奴と自己紹介。とかの方が有意義な気がする。まぁそれがしたいとは言ってないけど。


 しかし、今の私に敵はない。高校というのは義務教育が終わり、試験を受けて入るもの。そう、すなわち私は面接を受けて、この場にいるのだ。毎日、返答を考え、答える練習15分。壁を前に面接の練習をすることで、どんな時でも壁の前にいると思い込む練習1時間。そして、耳に入ってくる声を頭の中で機械音声に変換することで、誰からの質問もロボットにされていると思い込むことエブリタイム。


 こうして手に入れた、私の能力【一人の世界(パーフェクトワールド)】によって、私はいつでも人との会話を、壁から聞こえてくる機械音声に変換して会話することができるのだ。まぁもうその訓練はやめてしまったのでそのうち使えなくなるが、面接からそう日は立っていない今日はまだ使える。


 名簿番号1番から順番に自己紹介。つまり私からだ。私は何度この生まれを呪ったか分からない。心の準備をする時間くらい欲しい。まぁこればっかりは諦めるしかないね。


 サッと立ち上がり、無難に自己紹介をする。


 「阿部 絵美里(あべ えみり)です、趣味は読書です。よろしくお願いします。」


 よし。完璧な自己紹介だ。特に抑揚もつけず淡々として、何の装飾のないシンプルな自己紹介。これならすでに、ほとんどの人の記憶から消えていることだろう。私が座るとまばらに拍手が起きる。この拍手も意味不明だよね。自己紹介出来て偉いね、ってこと?まぁ浮かないように私もするんだけど。


 拍手が少なくなると、私の後ろに座っていた子が立ち上がる。あとはボーっとするだけだ。最初は嫌だけど、終われば気楽なもんだね。やっぱり自己紹介は無難が一番だよ。


 「安藤(あんどう) 志保(しほ)です!どうやら志保には、人の心を読む能力があるようなのです!読まれたくなかったら近づかない方がいいですよ・・・。」


 ・・・ど派手なのがいた。あれかな?中二病ってやつかな?高校一年生だけど。


 クラス中の視線が私の後ろに集まる。良くもまぁそんな目立って平気なものだ。私は前を見続ける。いや、この場合は私も後ろを振り向いた方が自然か?斜め前くらいならちょっと首を向けるだけでいいけど、すぐ目の前の私は、体ごと向かないと見えないんだよねぇ。難しいところだ。


 しかし体ごと後ろの席を振り向くなんて、やたら元気な奴がやることだ。私は頑として前を見続けることにした。中二少女の顔なんて別に知りたくないしね。


 関わらないようにしよう。そう決めた。


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