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11日目 。


  現在の所持品

 How to healer 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨15枚 銅貨2枚

 水が半分入った水筒 1つ

 癒しの神の杖 1本

 装着型魔力測定装置・改 1つ

 ロボットサンドイッチ上 3つ

 王命の手紙 1枚


 王国の真ん中には、大きな城がある。


 そしてそのお城の入り口。本来なら一生縁がないと嬉しかった、門の前に私は来ています。門には門番と中から続く長蛇の列が門の外まで続いている。この人たちは皆、王様に会いに来たのかな?


 「ほら、門番さんに王命の手紙を見せて。」


 私がたじろいだのを見て、ユンが急かしてくる。門番さんは爽やかな好青年で、この寒い中、門の前でずっと立っていてつらいだろうに、訪れた人に笑顔を向けている。


 さて、ここで私のコミュニケーション相手における、得意不得意の話をしよう。


 まず、分かりやすいのが人間か否か。ユンとは会話できるように、人間でないというのは大きい。次にわかりやすいのが性別、同性の方が話しやすいのはもちろんだろう。そして年齢、これは子供かお年寄りが得意だ。子供は純粋でかわいいし、お年寄りは温厚な人が多いし、怒りっぽい人でも自分の言いたいことを言うだけなので、聞いてるだけで済むからだ。


 内面については、千差万別だろうが。私は案外まともじゃない人が好みだ。嫌われようと迷惑かけようと、「まぁいっか。」で終わらせられる感じが気楽なのだろう。これが真面目でしっかりとした人間だと、私なんかのために時間を使わせるのが申し訳なくなる。


 長々と何が言いたいかと言うと・・・この門番さんは私の相手をするには、最悪の相手だということだ。


 可能な限り、体を引き。手を伸ばして手紙を渡そうとする。触ると静電気がバチッってなるやつを触るときの人間が、イメージとしては近い気がする。


 そんな私を見た門番さんは、ビックリした様子で持っていた槍を構え、じりじりと私と距離を置こうとする。


 「あー、門番さん。大丈夫だから、爆発物の類ではないから。この子がちょっと病気なだけだから、受け取ってあげて?」

 「そ、そうですか。」


 門番さんが私から手紙を受け取る。「失礼します。」と言って中を確認し始める。あぁ、やだなぁ。この私が出したものを、他の人が確認する時間が世界で一番嫌いだ。今回は私が書いた物ではないけど、何か間違いがあって、突然怒られるんじゃないかとか考えて、いつもドキドキする。


 「これは・・・。エヴァ様本人でいらっしゃいますか?かしこまりました、すぐにお通ししますので、私の後ろについてきてください。」


 私はただただ首を縦に振り続ける。今の私は、どんな理不尽な命令でも、首を縦に振る自信があるよ!


 門番さんが奥に歩いていくので、言われた通りついて行く。城内は静かなものだが、気になるのは並んでいる人の視線、視線。視線。。


 「あーエヴァ?大丈夫だからね?悪いことしてるわけじゃないんだから堂々と―――――――。」


 ユンが何かを言っているが、頭に入ってこない。並んでいる人はどんな理由で来ているのだろう?いろんな職業の人たちが、いろんな理由で並んでいるんだろうな。今はそのすべてが私に視線を向けている。そりゃあそうだろう。長々並んでいるのに抜かしていくやつがいるんだ。見るに決まっている。


 「――?――?」


 斜め下を向いて、門番さんの踵のみを見つめることに集中し、出来る限り小さくなって後を追う。あれ?人が並んでたのは通路の右だっけ?今は左からも視線を感じる気がする。あとは前と後ろと上と下からも視線、視線。視線視線視線視線・・・・・。


 「――――?――?――――――!?」


 それでも門番さんにはついて行かないと。門番さんはついてくるように言って、私はそれに頷いたんだから。手足ちぎれようと絶対について行く。逃げるなんて許されない。絶対に許されない。

 時間はあるから、この列に並ばせてくれれば良かったのに・・・。でもそれを口にできない私が悪いんだ。この人は悪くない。私以外は誰も悪くない。ただただ私が悪いんだ。私なんて死んじゃえばいいのに。


 門番さんが立ち止まる。門番さんが手で指示した先には、大きな扉があった。すぐにドラムの音が鳴り、扉が開く。


 「―――!――――――!!」


 ゆっくりと顔を上げると、中にはレッドカーペットがまっすぐと伸び。その両脇には、良い服を着た、偉そうな人達が1,2,3,4,5,6・・・。


 私の意識は、そこで途絶えた。


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