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11日目 力が無ければ、正義にはなれない。


  現在の所持品

 How to healer 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨15枚 銅貨2枚

 水が入った水筒 1つ

 ルクーセ特製サンドイッチ 1つ

 癒しの神の杖 1本

 装着型魔力測定装置・改 1つ

 ロボットサンドイッチ上 3つ

 王命の手紙 1枚


 路地裏でサンドイッチを食べ終わる。やっぱりルクーセおばちゃんのサンドイッチはおいしい。


 「ほら、こんなところで幸せそうな顔してないで、食べたなら行くよ?」

 「・・・どこに?」

 「・・・王様に会いに来たんでしょ?」


 ・・・そうだった。嫌なことを思い出させるウサギだ。


 「・・・心の準備が出来たらね。」

 「それはいつできるのさ・・・。」

 「・・・奇跡って信じる?」

 「僕は堅実に行きたいなぁ。」


 なにか行かなくても良くなるような奇跡が起きないかなぁ。そんなことを思っていたら。突然悲鳴が聞こえた。


 「きゃあっ!」


 足元にこつんっという何かが当たる感覚。足元を見ると、カラフルに輝く水晶玉が私の足に当たっていた。水晶玉が転がってきたであろう方角を見ると、いかにもな黒服の二人組が、一人の少女を捕まえていた。


 「すみません、そこの方!その玉を持って逃げていただけませんか!」

 「おう!そこの嬢ちゃん!その玉こっちによこしな!」


 うそでしょ?なにこの、いかにもな状況。王様に会いに行かなくても良くなって欲しいとは考えていたけど、厄介ごとに巻き込まれたいとは考えてない。


 「・・・都会ではよくあることなの?」

 「いやぁ、僕は初めて見たねぇ。こんな路地裏に入るからだよ。」


 言われてみれば場所もいかにもって感じだ。私が悪いのか・・・。


 「・・・あの黒服にこの水晶玉投げたらすべて解決かな?」

 「それはどうかと思うなぁ。こういう場合は大体、捕まってる女性の味方をするものじゃない?」


 それは私もそう思うけど、実際に巻き込まれたら大事なのはどう無難に解決するかだ。私にあの黒服二人を倒すだけの力はないしね。でもさすがに黒服の味方をするのは後味が悪いなぁ。私はしゃがみこんで祝言を唱えた。


 (―――。)


 いつぞやのユンを木に縛ったひも状の聖なる光を出すと、転がってきた水晶玉をユンに括りつける。


 「おぉ?球体を縛る方法なんて良く知ってるね。でも、僕に結んでどうするつもり?」

 「・・・路地裏を抜けたら、右に走って。」


 ユンに小声で耳打ちする。


 「エヴァ・・・君はまさか・・・。」

 「私は路地裏を抜けて左に走る。」

 「うん、僕をおとりにするつもりだね?もしかしなくても、僕をおとりにするつもりだね?」


 神妙な顔で頷く。相手は二人、一人はあの少女を捕まえてるから動けないだろうし、もう一人を何とかすればいいのだ。


 「・・・せーので行くよ。お互いに何があろうと、振り返らないことにしよう。」

 「いや、行くよじゃないよ。そんな決意を決めた顔されても納得できないからね?可愛いウサギをおとりにして心は痛まないわけ?」


 私はこの悪いウサギのせいで、勇者君のパーティーに入れられたことを忘れていない。私は根に持つタイプなのだ。


 「・・・せーの。」

 「あぁ、もう!後で説教だからね!」


 一人と一羽で駆けだす。

 なぜだろう?走り出したユンの背中が大きく見える・・・。そして、どんどんと小さくなっていく・・・。


 「僕は振り返らないよ!エヴァ!なんか後ろでズザシャア!って音がしたけど振り返らないよ!」


 待って!それ私が転んだ音だから!置いてかないで!?


 「あぁ、エヴァの意思を感じる。そのまま振り返らず走って逃げろとそう言っている気がする!後ろで何が起こっているのか見当もつかないけど、僕はエヴァの意思を尊重して走り続けるよ!」


 嘘だ!あのウサギ、なんとなく察して見捨てる気満々だ!


 「あ!待たんかい!ワレェ!」


 背が低くて威勢のいい黒服が、そう叫びながらユンを追いかけていった。・・・さて、私もお暇しましょうかね。


 ガシッ!


 その場から立ち去ろうとした私の右手を、もう一人の背が高くて恰幅のいい黒服が掴んだ。


 ・・・すみません、王様に会いに行かないといけないので、離していただけませんか?


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