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11日目 人が多いのを見ると、闇落ちしそうになる。


  現在の所持品

 How to healer 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨15枚 銅貨2枚

 水が入った水筒 1つ

 ルクーセ特製サンドイッチ 1つ

 癒しの神の杖 1本

 装着型魔力測定装置・改 1つ

 ロボットサンドイッチ上 3つ

 王命の手紙 1枚


 「もし入るのが怖いなら、一緒について行ってあげようか?」


 王国の中に入ろうとしない私に、勇者君が優しい笑顔を向けてくれた。あれだ、不登校の子供によりそう担任の先生みたいだ。ちょっといろいろあっただけで、王国に入るまでならそんなに怖がってないよ?行きたくはないけど。


 「そうですよ。エーヴァちゃんにはシーラが付いてますからっ!」


 そう言ってシーラは任せておけというポーズをとる。いや、別にシーラもついてなくていいよ?私の身代わりとしては役に立たなかったし・・・。


 「あぁっ!エーヴァちゃんが「お前は何の役にも立たないんだから、帰って人の顔に見える木目でも探してろっ!」って考えてます!ごめんなさい!」


 なにその、ただひたすらに無意味な行為。そこまでは考えてないよ?シーラは勇者君に慰められながら、二人で消えていった。まぁ、勇者君に任せておこうかな。


 とりあえず王国内には入ろう。国王に会うのは、まぁそのうち?門に近づいてみるが、特に門番のような人は見当たらない。こんなに立派な壁に囲まれているのに、案外雑な警備だ。


 門の中は、いくつものお店が立ち並び、にぎやかな雰囲気だ。中でも数人が明らかにこっちを意識しながら、何やら囁き合っている。


 「おい、さっきの巨大な炎、あの子が出したのかな?」「青い炎ってかなりの上位魔術師じゃないと出せない奴だろ?」「それにあの格好、ヒーラーか?あれだけの魔力にヒーラーの適性まであるとなると・・・。」


 ・・・シーラの出した炎が私のせいになっている。いや、まぁ。二人は勇者君の瞬間移動で消えちゃったし。私以外にはウサギしかいないからね。しょうがないね。もちろん大声で説明するなんてことを私が出来るわけもない。可能な限り小さくなりながら、その場から撤退した。


 もっと人気のなさそうなところに飛ばしてもらえば良かったなぁ。


 「このあたりは当分『巨大な青い炎を出せるヒーラー』の噂でもちきりだろうね。」


 やめてっ。



―――――――――――――――――――――――


 人通りの多い道を抜けると、かなり人通りの多い道に出た。そのかなり人通りの多い道を抜けると、広くて、やたら人通りの多い道に出た。・・・・・・・・・。何かこう、闇の力に目覚めそうだ。ドゴブァーってやりたい、ドゴブァーって。


 「諦めな、エヴァ。王国の人の数は結構すごいから。」


 多いって言ったってこんなに?どんな道でもトナリノ町のメインストリートくらいある。なるほど、出発前にユンが王国のイメージを言わなかったのは、私が行くのをごねると思ったからか。賢明な判断だね。


 私はサンドイッチを食べる、静かな場所が欲しいだけなんだけどなぁ。とは言っても、もちろんそこらにあるオシャレなカフェとかは論外だ。公園っぽいところも見つけたけど、人が多すぎる。そうなると必然的に・・・。


 「いや、エヴァ?それはウサギ的にもさすがにどうかと思うなぁ。」


 私が落ち着いたのは路地裏。薄暗くて誰もいない感じが素晴らしいね。腰掛けると服が汚れるので、壁に触れないように立ったままサンドイッチを食べ始める。


 「いやぁ、掃除もされてないし、あんまりものを食べるべき空間ではないと思うんだけど。」

 「・・・住めば都って言うじゃない。」


 別に床をなめるわけじゃないんだ。立ち食いなのを我慢すれば、案外悪くない。何より人がいないのが素晴らしい。ここなら誰にも関わらず生きていけそう。


 「・・・もうここに住もうかな。」

 「ダメだからね?何としても止めるからね?」


 そんな真面目に止めなくても・・・。


 半分は冗談だよ。


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