1日目 聖なる光はマシュマロボディ。
ヒーラーにはなりたくないが村にも行きたくはない。とりあえずHow to healerを読むだけ読んじゃおう。
How to healer 目次
初めに ・・・・・・・・・・003
ヒーラーとは ・・・・・・・・・・005
ヒーラーの使える奇跡、祝言一覧 ・・・・・・・・・・009
ヒーラーの適性があるあなたへ ・・・・・・・・・・126
あとがき ・・・・・・・・・・128
ヒーラーの使える奇跡、祝言一覧
『やぁ皆!ここでは、ヒーラーの使える奇跡について教えていこう!
まず教えるのは【聖なる光】だ!
形や強さを自在に調整できる光を生み出す奇跡だ!その光には人の気分を落ち着かせ、精神と肉体の自然治癒を高める効果があるんだ!さらに、暗闇の中を探索するときには光源となる便利な光なんだ!ただし、モンスターに場所を知らせてしまう可能性もあるのでそこには、注意してくれよな!
必要な魔力も適性も低い、ヒーラーになる素質があるかどうか確かめるのにも役立つ奇跡だ!ヒーラーの適性が知りたい君は安全な場所で試してみよう!』
魔力や適性なんてあるのか・・・。私、無宗教だし、神の奇跡なんて適性なさそうじゃない?とりあえずここに書いてある祝言唱えてみよう。
(――――――。)
祝言を読み終わる。すると何となく、出来ることと消費魔力が分かる。あれ、なんか出来そう。
手を前に出すとドッヂボールくらいの光の球を発現させる。光を放つ、というよりは光る物質を作り出すことができるみたい。出している間は魔力を消費するみたいだけど微々たるものだし、形もサイズも光を放つ方向も自由自在だ。これは便利かもしれない。なんとなく目から光を放つ半笑いのロバの顔を作って浮かべておこう。
『聖なる光を出せた君は・・・おめでとう!ヒーラー適性者だ!適性は高ければ高いほど、消費魔力が少なく済むぞ!ほかにも使える奇跡がないか、挑戦してみよう!
残念ながら聖なる光を出せなかった君は、残念ながらヒーラーの適性がないようだ。しかしこの本を投げ捨てるのはまだ早いぞ!ヒーラーの仲間が出来た時のことを考えて、ヒーラーの起こす奇跡についてこの本で学んでおこう!』
私にはヒーラーの適性があるらしい。まぁあってもやりたいとは思ってないんだけど・・・。
でも出来ないよりは出来るに越したことはない。とりあえずこの本に載ってる奇跡は使えるかどうか試してみようかな。
順番に、片っ端から祝言を唱えていく。唱え終わるとやっぱり何ができるのかとそれに対する消費魔力が何となくわかる。発動できそうなことがわかるとキャンセルしていく。
というか祝言長い。すごく長い。神を称える言葉を延々と述べなきゃいけない。実際に戦闘で使いたかったら早口言葉の練習が必要かもしれない。それ以前に一字一句間違わずに覚えないといけないんだよね・・・。
とりあえず本の半分くらいまでは試したけど、今のところ大した魔力も使わずすべて使えそうだ。私のヒーラー適性高めなのかな?
一息ついて顔を上げる。すぐそこに私の作った半笑いのロバがふよふよ浮いている。あとロバとにらめっこしている緑色の体で子供くらいのサイズの人型の生き物がいる。手には木でできた棍棒。目は血走り、口からは鋭い牙をのぞかせ、あまり好意的には見えない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。どちらさま?
「フシャアアアァ!」
その生物は奇声を上げると、私のロバ君に向かって棍棒を叩きつける!ロバ君は勢いよく地面に叩きつけられるとバウンドし、何事もなかったかのように元の位置に戻った。
「ウガアアアアアアアアアアアアア!!」
怒ったような声を上げ、何度も何度もロバ君に攻撃を仕掛ける!しかし、ロバ君はすぐに元の位置に戻るだけで特にダメージを受けた様子はない。
聖なる光って硬いんだなぁ。いや、形は変わってるし柔らかくて弾力性があるが正解かな?ちょっと触り心地良さそうだし今度触ってみよう。
私がそんなことをのんきに考えていたらロバ君を殴っていた生物と目が合った。
・・・・・。
きっとこれがモンスターなんだろうなぁ。私が祝言いっぱい覚えて、頼もしい仲間を作るまで待ってくれないかなぁ。いや、ダメだ何も考えてなさそうなモンスターより対人関係の方が私的には怖い。
「フガアアアァ!」
完全に私をロックオンしている。ロバ君で得たストレスを私で発散しようとしている感じだ。まぁそれ作ったの私だし標的としては間違ってないけど・・・。
走って逃げれないかなぁ。私の足の遅さだと間に合わず追いつかれそうだけど・・・。何もしないよりは何事も挑戦だよね?
立ち上がり、走り出す。二つを同時にこなそうとした結果、一歩目を踏み出す前に自分の足に足を引っかけ物の見事に転ぶ。
・・・痛い。
ヒーラーの適性なんていらないから、人並みの運動神経がほしかった。
迫りくる棍棒。こっちは痛いじゃ済まなさそうです。
割と生命の危機を感じながら、私はそんなことを考えていた。