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10日目 天使のいない、樹の日。


  現在の所持品

 How to healer 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨17枚

 紅茶の半分入った水筒 1つ

 ロボットサンドイッチ下 1つ

 癒しの神の杖 1本

 装着型魔力測定装置・改 1つ

 ロボットサンドイッチ上引き換えコイン 3枚


 朝一番、ハジマリノ村行きを指さして、銅貨5枚を払い、馬車の上で出発の時を待つ。


 「それで?ハジマリノ村とやらには何があるの?」

 「・・・うーん、天使?」


 ユンは分かったような、分からないような顔をしていた。


 馬車に揺られながら、朝食のサンドイッチをいただく。これ買ったの一昨日なんだけど、大丈夫かなぁ。ユンに差し出したら、においを嗅いで首を横に振っていた。あれ?もうだいぶ食べちゃったんだけど、私お腹壊す感じ?


 「解毒の奇跡を使っといたほうがいいかもね。」


 解毒って食中毒にも効くんだ。それはいいことを聞いた。私はサンドイッチを食べきると、自分に解毒をかける。


 「・・・普通やばいって分かったら、食べるの嫌がらない?」



―――――――――――――――――――――――


 ハジマリノ村に到着する。あの日と変わらぬ街並みが私を待っていた。


 「ふーん?エヴァが楽しみにしていた割に、何もないね。」


 失礼な。何もないのがいいんじゃないか。それに、ルクーセおばちゃんがいるだけで、そこはヘブンなんですー。


 「村の案内を・・・出来るわけないか。僕はちょっと適当に見て回ってるね。」


 ユンがピョンピョコ立ち去って行った。まぁいいや、ルクーセおばちゃんのもとに行こう。村の真ん中の広場に向かう。


 広場にはルクーセおばちゃんの屋台はあったが、肝心のルクーセおばちゃんが見当たらない。あれ?なんで?あんなにも輝いて見えたハジマリノ村も、ルクーセおばちゃんがいなければ色あせて見える。


 「ふっふっふ、お困りのようですね!」


 そう言って現れたのは私のストーカーだ。いたんだ?


 「エーヴァちゃんがいるところには、大体シーラもいます!一日のうち365時間はあなたのそばにです!」


 なんかもう、突っ込む気にもなれない。私はいま、ルクーセおばちゃんロスなのだ。


 「そんなエーヴァちゃんに救いの手を差し伸べます!これをどうぞ!」


 そう言ってシーラが私に差し出してきたのは、手のひらサイズの水晶玉。カラフルに輝いている。なにこれ?


 「それは、【導きの玉】と言って、今一番会いたい人の場所を、指し示してくれるのです!」


 おー?なにやらファンタジーなアイテムが出てきた。で、どうやって使うの?


 「その玉を、両手で持って。頭の上に構えれば発動しますよ!」


 ・・・なんか、間抜けな発動方法だね。まぁいいや、言われた通りにやってみる。すると、導きの玉が輝きだし、球の中心から、きれいな光が線となって放たれる。おぉ。嘘ではないみたいだ。この光を追っていけばルクーセおばちゃんに・・・。


 光はシーラの体に突き刺さり、そこで途絶えていた。


 「・・・・・・・。」


 ・・・・・・・。


 バッ!!


 シーラが両手を広げ、抱き着いてこいと言わんばかりの姿勢をとる。


 大きく振りかぶると、導きの玉を力いっぱい投げ返す。私の絶望的な運動神経から放たれた、明後日の方向に飛ぶ暴投球を、シーラは全力でキャッチしていた。


 世界一無駄な時間を過ごしてしまった・・・。


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