9日目 旅立ちの時。
現在の所持品
How to healer 1冊
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨17枚
紅茶の半分入った水筒 1つ
ロボットサンドイッチ下 1つ
癒しの神の杖 1本
装着型魔力測定装置・改 1つ
ロボットサンドイッチ上引き換えコイン 3枚
夕方になるといつものお祈りが始まる。ヴァーンさんは前の方に座って、熱心にルクーセおばちゃんを見ながらお祈りをしていた。お祈りの言葉を暗記してると、聖なる光を眺め続けられるんだね。
やがて、お祈りも終わり、教会の中にはタフティと私とユンだけになる。
「エヴァちゃん。大切なお話があるの。」
タフティが私の横に屈み、長椅子に座っている私と視線を合わせて、真剣な目でこちらを見つめてくる。癒しの神の杖踏んでるよ?タフティは少しくらい気にした方がいいと思う。
「エヴァちゃんを今日限りで、野に放ちたいと思うの。」
野に放つって何?私捕らえられてたの?
「もう、この教会には来なくていいから、エヴァちゃんは自分の道を歩み始めて?ね?」
・・・・・・・え?クビ?
いやいやいやいや、待って、この生活気に入ってるんだけど。何で急に!?
「エヴァちゃんも、やりたいこといっぱいあるわよね。バカ安い報酬でこき使ってごめんね?」
いや、ないよ?何にもないよ?全力で首を横に振る。ていうかバカ安い報酬でこき使われてたのか・・・。
「分かってる!エヴァちゃんは優しいから、そうやって人のことを第一に考えちゃうのよね。」
自分のためですけど!?この生活をいつまでも!
「私はもう大丈夫だから。ほら、自由に羽ばたきなさい。」
そう言って、タフティは私を教会から追い出した。・・・えぇえ?
なんとなく、人間に育てられた動物を野に放つシーンを思い浮かべる。いや、羽ばたけって言ってたから鳥かな?どっちでもないんだけど・・・。
「大変なことになったねぇ。」
うん、大変なことになったよ?
「・・・なんで何も言ってくれなかったの?」
「収入がなくなったら、勇者君と冒険に出てくれるかなぁ、って思って。」
この勇者君信者め・・・。まぁ私が喋らないのが悪いんだから、ユンを攻めるのも違う気がするけど。
「・・・体中の毛という毛を逆なでしてやる・・・。」
頭でそう思っていても、気持ちは晴れない。宿に行くと、全身くまなく洗い、約束通りしっぽの方から逆なでしていく。
「あー、ぞくぞくする―。最近、この雑な撫で方も癖になってきたんだよねぇ。」
・・・変な扉を開いてしまったようだ。でもやめない。なぜなら逆なでする手触りも、結構気持ちいいから。
「それで、明日からはどうするのー?勇者君呼ぼうか―?」
そういえば昨日から誘いに来ないな。
「・・・私誘うのやめたんじゃないの?ていうか呼べるの?」
「いやぁ?なんか忙しいみたいだよ?勇者君とはテレパシーで会話できるから。行く気になったらいつでも言ってね。」
このウサギ、裏でつながっておったのか。でも冒険には行きたくないなぁ。あ、そうだ。
「・・・明日はハジマリノ村に行く。」
ルクーセおばちゃんに会いに行こう!なんかそう考えたら急にやる気が出てきた。
「へぇ?そこで何するの?」
「・・・だらだら?」
「・・・勇者君に連絡する日は近そうだね。」
・・・英気を養ったら自分で仕事探すもん。