7日目 人の趣味はなかなか理解できない。
現在の所持品
How to healer 1冊
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨18枚 銅貨4枚
紅茶の半分入った水筒 1つ
ロボットサンドイッチ下 1つ
???の杖
お腹が空いたからご飯にしよう。ていうか私、朝ごはん食べてないね。そりゃあおなかも減るわけだ。この世界で唯一の娯楽をスキップしてしまった。まぁサンドイッチも飽きたしいいけどね。
というわけで、いつも通りのロボットサンドイッチを取り出す。そういえば、ユンは私の分けてあげればいいんだっけ。雑食って言ってたもんね。ユンにサンドイッチを差しだす。朝ごはん、あげなくてごめんね?
「一応僕は、薄汚い動物のつもりなんだけど。僕がかみついていいの?ちぎった方が良くない?」
「別に気にしないそうですよ。あと、朝ごはんあげなかったことを謝ってます。」
おぉ。シーラがいると便利だなぁ。いや、待って。ユンとはもともとお話出来るから!シーラがいなければ自分でしゃべるから!危うく騙されるところだった。
「別に騙すつもりはないんですけど・・・。」
「朝ならエヴァも食べてないでしょ。朝昼をそのサンドイッチ一個で済ませようとしてるのに、それをもらうのはちょっと申し訳ないなぁ。僕はウサギらしく、草原の草でもハムハムしてくるよ。」
別に、いいのに。ユンはそう言いながら私に背を向け、
「・・・今度こそ本当に二人きりですねぇ。」
私に、その首根っこを掴まれる。逃がしません。
私に捕らえられたユンは、やれやれ、と言わんばかりのポーズをとると、こう言った。
「エヴァ?シーラと二人きりの状況は、僕と出会う前はずっとだから。」
・・・その励まし方はどうだろう。
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ユンが出て行ってしまい、教会に一人になると、サンドイッチにかぶりつく。
「シーラもいるんですよー?」
いつもの流れが崩れてしまったなぁ。いつもなら、昼ご飯と明日の朝ごはんを買いに、昼前に行くんだけど・・・。明日の朝行くのも嫌だし、今から明日の分を買いに行こうかな。
「スルーされても、シーラもお供しますよ!」
・・・シーラはなにか食べないんだろうか?
「エーヴァちゃんの近くにいるだけで、なにもいらないです!あぁ、その嫌そうな顔もいいですよ!」
ドン引きだった。なかったことにして、無人販売所に行こう。
クッティの無人販売所に着くと、珍しく、先客がいた。
緑の髪の幼女だ。なぜか白衣を着ており、なぜかうさ耳をつけている。ファッション?なのかな?
「ん?なんじゃ?お客さんかの?」
見た目のわりに、古風なしゃべり方をする。なんていうか、こう、キャラが濃い。特にうさ耳が気になる。
「ん?これか?これは私の発明品で、名を【装着型魔力測定装置】とゆう。」
私の視線に気づいて、説明してくれる。見た目のファンシーさとは裏腹に、かなり無骨な名前だ。ていうか発明?そういえば無人販売所は、発明品をたくさん置いていたはずだ。この子がクッティなのかな?
「はい!それは何ができるんですか!?」
「名前で何となくわからんかのぉ?実際に使って見せてやろう。どれどれー?お主は馬鹿みたいに魔力が多いのぉ。逆にそっちの嬢ちゃんは可愛そうなくらい魔力が少ないのぉ。」
ピコピコうさ耳が動いて、魔力の測定をしてくれる。可愛そうって言われた・・・。
「ちなみに、この装着型魔力測定装置はお値段、金貨3枚と銀貨45枚じゃ!買うか?」
高っ!買う買わない以前に、そんなお金持ってない。首を横に振る。
「それは残念じゃ。私はこの裏の研究所におるから、用があったら呼ぶがよいぞ。」
おそらくクッティであろう幼女は、無人販売所から出ていこうとする。しかし、私とすれ違う瞬間、足を止め、私の持っていた杖に目を向ける。
「・・・お主、この杖はなんじゃ?」
何、と聞かれましても?私にもわかりません。首をかしげる。
「ふむぅ。もし、もし良かったら、この杖を一日預けては貰えぬだろうか。担保が必要ならなんでも出そう。」
手をワキワキさせながら、おもちゃを見つけた、子供のような顔をしている。というか口調はあれでも、見た目幼女なのでそのまんまだ。・・・よだれ、垂れてますよ?
若干怖いんだけど、別に大事なものでもないし、いいや。杖を差し出す。
「いいのか!?担保は?いらぬのか。恩に着る!研究者魂が燃えているのじゃあ!!」
そういいながら、大喜びで出ていった。見たことない機械とかならまだしも、杖に研究するところなんてあるのかなぁ?ここの曲がり具合が素晴らしい!とか?
世の中にはいろんな人がいるんだなぁ。そんなことを思いながら、いつものセットを購入して、無人販売所を後にする。
「ああいう変わった人もいるんですねぇ。」
・・・君が変わり者の代表だよ?