表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/96

7日目 ストーカーは犯罪です。


  現在の所持品

 How to healer 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨17枚 銅貨4枚

 紅茶の半分入った水筒 1つ

 ロボットサンドイッチ下 1つ


 今日も今日とて、教会に向かう。


 教会の前には、タフティではなく、勇者君が立っていた。


 「やぁ、おはよう、ユン。そして、エヴァ君。もしよかったら、朝のお祈りの後に、僕と一緒に冒険に・・・。そうか。」


 なんかもう、三回目ともなると、断るのも気にならなくなってきた。最初は少しだけど罪悪感があったんだけどなぁ。もうほとんど話も聞かずに、首を横に振っている。


 「そういえば、昨日から気になっていたんだけど。ずっとエヴァ君を見つめているあの人は、エヴァ君の知り合いかい?」


 適当に首を横に振る・・・。ちょっと待って聞き捨てならないことを聞いた気がするんだけど。え?私を見つめてるの?知らないよ私。勇者君が指さす方を見ると、一本の木が立っている。あの陰にいるの?ずっと見つめてるってやばくない?


 「ふっふっふ。シーラを見つけるとはやりますねぇ・・・。」


 そんな声が木の方から聞こえてくる。木の裏にいるもんだとばかり思っていたら、ズボッ!という音とともに、木の上の葉っぱ生い茂る部分から赤い髪のお姉さんが顔を出した。やばい、想像をはるかに超えるやばい人な気がする。髪に葉っぱついてますよー?


 「エヴァ君は君のことを知らないようだけど、何者だい?」

 「ふっふっふ。私の名はシーラ。エーヴァちゃんに見つからないよう気を付けながら、陰から見守るものです!」

 「なるほど、君はエヴァ君のボディーガードってことだね?」

 「いや、それ、ストーカーって言うんじゃないかなぁ?」


 え、私ストーカー被害にあってたの?あの人、どこかで見たことある人かなぁ?いやぁ、私、人の顔は可能な限り見ないようにするものだと思ってるから。分からないね。


 「ふむ。ストーカーか・・・。男なら懲らしめて、警察に連れていくだけなんだが・・・。女性に手を出すのは僕の流儀に反するな・・・。」

 「大丈夫ですよ!シーラはエーヴァちゃんの嫌がるようなことはしません!」

 「なるほど、それなら安心だ!では、また会おう。」 


 立ち去ろうとする勇者君に全力で捕まる。

 いやいやいやいやいや、置いてかないで!?ストーカーの意見を鵜呑みにして、ストーカーと二人で放置するのやめて!?そういう男女差別は私、良くないと思うな!この人を警察に連れて行ってくれると嬉しいな!


 「む?エヴァ君・・・もしかして僕と冒険に行く気になったのか!?」


 いや、どう考えても違うでしょ?何も言わなくても何となくわかるでしょ?

 こうなったら、ストーカーにストーカーと言ってくれた、ユンに説明をお願いしよう。ユンに熱い視線を向ける。


 「・・・・・・そうだね。きっとエヴァも冒険に行きたくなったんだよ。」


 裏切者ォ!!



―――――――――――――――――――――――


 皆さん、おはようございます。今私は、左に大きな声でお祈りの言葉を読み上げている、この後私を行きたくもない冒険に連れていく勇者君。右に祈りの言葉も読まず、私の方を見つめ続ける、私のストーカーに挟まれ、ひざの上のユンを撫でています。


 「ねぇエヴァ?ちょっと撫でる手が雑じゃない?ちょっと痛いんだけど、ちょっと?エヴァ?ごめんって。」


 ひざの上で抗議してくる裏切者は無視。それより私の右だ。ストーカーってこんな堂々と、隣に座るものなの?最悪隣に座ってていいから、前向いててほしいんだけど。私以外誰も座らない、平和な長椅子を返してほしい。


 「よし!お祈りも終わったし冒険に行こう!」


 勇者君が元気に立ち上がる。まったく行きたいとは思わないけど、行かないなら行かないで、ストーカーと二人になってしまう。行くのかぁ、ちょっとお散歩。くらいがいいなぁ。お花畑でお弁当食べて帰るとかどう?


 「今日は魔王軍筆頭呪術師の死を運ぶ者(デス・ミュール)を討伐しに行こう!」


 うん。私の理想は叶いそうにないね?お花じゃなくて、骸骨とかがいっぱいありそうだね?ていうかそんなやばそうな奴、日帰りで倒すものなの?


 「ちょっとぉ?ちゃんと夕方には帰ってくるんでしょうね?」

 「任せたまえ。ちゃんと間に合うように帰ってくるさ。」

 「ならいいけど・・・。ていうか一人増えてない?」

 「初めまして!エーヴァちゃんのストーカーやってます、シーラですよ!」


 シーラが元気にストーカー宣言した。もっとこう、ストーカーって暗い感じの人がやるものじゃないの?この人はなんで、私のストーカーしてるの?

 タフティは何とも言えない表情で、シーラの方を見ている。そうだ、前タフティは窃盗犯を連行していったじゃないか。タフティは正義の心を持っているに違いない!今回もお願いします!


 「・・・気を付けていってらっしゃい。」


 あ、投げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ