7日目 ストーカーは犯罪です。
現在の所持品
How to healer 1冊
冒険者カード 1枚
パジャマ 1セット
銀貨17枚 銅貨4枚
紅茶の半分入った水筒 1つ
ロボットサンドイッチ下 1つ
今日も今日とて、教会に向かう。
教会の前には、タフティではなく、勇者君が立っていた。
「やぁ、おはよう、ユン。そして、エヴァ君。もしよかったら、朝のお祈りの後に、僕と一緒に冒険に・・・。そうか。」
なんかもう、三回目ともなると、断るのも気にならなくなってきた。最初は少しだけど罪悪感があったんだけどなぁ。もうほとんど話も聞かずに、首を横に振っている。
「そういえば、昨日から気になっていたんだけど。ずっとエヴァ君を見つめているあの人は、エヴァ君の知り合いかい?」
適当に首を横に振る・・・。ちょっと待って聞き捨てならないことを聞いた気がするんだけど。え?私を見つめてるの?知らないよ私。勇者君が指さす方を見ると、一本の木が立っている。あの陰にいるの?ずっと見つめてるってやばくない?
「ふっふっふ。シーラを見つけるとはやりますねぇ・・・。」
そんな声が木の方から聞こえてくる。木の裏にいるもんだとばかり思っていたら、ズボッ!という音とともに、木の上の葉っぱ生い茂る部分から赤い髪のお姉さんが顔を出した。やばい、想像をはるかに超えるやばい人な気がする。髪に葉っぱついてますよー?
「エヴァ君は君のことを知らないようだけど、何者だい?」
「ふっふっふ。私の名はシーラ。エーヴァちゃんに見つからないよう気を付けながら、陰から見守るものです!」
「なるほど、君はエヴァ君のボディーガードってことだね?」
「いや、それ、ストーカーって言うんじゃないかなぁ?」
え、私ストーカー被害にあってたの?あの人、どこかで見たことある人かなぁ?いやぁ、私、人の顔は可能な限り見ないようにするものだと思ってるから。分からないね。
「ふむ。ストーカーか・・・。男なら懲らしめて、警察に連れていくだけなんだが・・・。女性に手を出すのは僕の流儀に反するな・・・。」
「大丈夫ですよ!シーラはエーヴァちゃんの嫌がるようなことはしません!」
「なるほど、それなら安心だ!では、また会おう。」
立ち去ろうとする勇者君に全力で捕まる。
いやいやいやいやいや、置いてかないで!?ストーカーの意見を鵜呑みにして、ストーカーと二人で放置するのやめて!?そういう男女差別は私、良くないと思うな!この人を警察に連れて行ってくれると嬉しいな!
「む?エヴァ君・・・もしかして僕と冒険に行く気になったのか!?」
いや、どう考えても違うでしょ?何も言わなくても何となくわかるでしょ?
こうなったら、ストーカーにストーカーと言ってくれた、ユンに説明をお願いしよう。ユンに熱い視線を向ける。
「・・・・・・そうだね。きっとエヴァも冒険に行きたくなったんだよ。」
裏切者ォ!!
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皆さん、おはようございます。今私は、左に大きな声でお祈りの言葉を読み上げている、この後私を行きたくもない冒険に連れていく勇者君。右に祈りの言葉も読まず、私の方を見つめ続ける、私のストーカーに挟まれ、ひざの上のユンを撫でています。
「ねぇエヴァ?ちょっと撫でる手が雑じゃない?ちょっと痛いんだけど、ちょっと?エヴァ?ごめんって。」
ひざの上で抗議してくる裏切者は無視。それより私の右だ。ストーカーってこんな堂々と、隣に座るものなの?最悪隣に座ってていいから、前向いててほしいんだけど。私以外誰も座らない、平和な長椅子を返してほしい。
「よし!お祈りも終わったし冒険に行こう!」
勇者君が元気に立ち上がる。まったく行きたいとは思わないけど、行かないなら行かないで、ストーカーと二人になってしまう。行くのかぁ、ちょっとお散歩。くらいがいいなぁ。お花畑でお弁当食べて帰るとかどう?
「今日は魔王軍筆頭呪術師の死を運ぶ者を討伐しに行こう!」
うん。私の理想は叶いそうにないね?お花じゃなくて、骸骨とかがいっぱいありそうだね?ていうかそんなやばそうな奴、日帰りで倒すものなの?
「ちょっとぉ?ちゃんと夕方には帰ってくるんでしょうね?」
「任せたまえ。ちゃんと間に合うように帰ってくるさ。」
「ならいいけど・・・。ていうか一人増えてない?」
「初めまして!エーヴァちゃんのストーカーやってます、シーラですよ!」
シーラが元気にストーカー宣言した。もっとこう、ストーカーって暗い感じの人がやるものじゃないの?この人はなんで、私のストーカーしてるの?
タフティは何とも言えない表情で、シーラの方を見ている。そうだ、前タフティは窃盗犯を連行していったじゃないか。タフティは正義の心を持っているに違いない!今回もお願いします!
「・・・気を付けていってらっしゃい。」
あ、投げた。