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6日目 ペットっていいね。


 現在の所持品

 How to healer 1冊

 祈りの言葉の小冊子 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨17枚 銅貨16枚


 「また来るよ。」

 

 勇者君が立ち去ると、私は一人に・・・ならなかった。


 「・・・君はついて行かなくていいの?」


 私のもとに、勇者君が連れていた、ウサギが一匹残ったのだ。とりあえず、撫でておこう。


 「話の聞ける僕が、断った理由だけでも聞いておこうと思ってね。」


 断った理由かぁ。


 「・・・そもそも冒険に出る気がないから?」

 「それは・・・絶望的だね。」


 前回の冒険で入ったお金で、当分暮らせそうだしなぁ。余分に稼ぐ気もない。3人パーティに入るよりは、一人と一羽のパーティの方が、気楽そうだけどね。


 私の答えを聞くと、ウサギさんは教会を後にしようとする。あ、閉まった扉の前で固まってる。開けてあげよう。


 「ありがとう。僕の名前はユン。勇者君は使い魔って言ってるけど、ただの拾われたウサギだ。そう遠くない未来に、また会うと思うから、よろしくね。」


 手を振って見送る。ちゃんと勇者君の元まで届けた方がいいのかな?結構賢そうだし、大丈夫か。

 クッティの無人販売所に行って、いつも通りのセットを買う。最近、タッチパネルの操作が最適化されてきた。


 教会でいつも通り過ごしていると、タフティが戻ってきて、人が入り始めた。会釈だけしていると、ある人物が私のそばまで来て、こういった。


 「エヴァ君。僕と、チームを組んではくれないだろうか。」


 あれ?デジャブ?


 「すみませんが、夕方のお祈り前ですので。お祈りされる方以外は、退出願います。」


 タフティが猫かぶりモードで対応する。


 「そうか。それはすまない。」


 そう言って勇者君は、私の隣に座った。教会内が少しざわつく。この長椅子に私以外が座ることなど、今までにないことだ。いや、別に座ってもいいんだけど・・・。

 勇者君は周りのざわつきなど気にしていない模様だ。ユンは私のひざに飛び込んだ。


 「ところで、お祈りって何をするんだ?」


 ・・・知らないのか。私はショルダーバッグから、祈りの言葉の小冊子を取り出して、渡す。


 「なるほど、これを読み上げればいいわけだな。」


 人が入り終わると、お祈りが始まる。勇者君は、ちゃんとお祈りをしていた。というか、お祈りにも全力投球だ。元気いっぱい声高らかに、お祈りの言葉を読み上げる様子は、小学生の合唱で、音程とか気にせずやたら大きな声を出すやつを彷彿とさせた。先生からは褒められるタイプだ。


 しかしお祈りは、大きな声を出せばいい物じゃない。一人、やたら目立つ声に、チラチラこちらを見るタフティの目が怖い。なんだか最近、タフティの怒った顔ばかり見ている気がする。私は膝の上にいる、ユンを撫でることに意識を集中させることにした。



―――――――――――――――――――――――


 「で?これは誰?」

 

 お祈りの人たちが帰ったあと、タフティが猫を被るのをやめた。勇者君相手には素を見せるようだ。


 「初めまして、僕は勇者。よろしく。」

 「まぁお祈りで、あんな声を上げるのは、間違いなく勇者よね。」


 二人が握手している。今のうちに、宿に逃げ込んだらいいかな?


 「んで?あんたは、エヴァちゃん誘いに来たの?」

 「あぁ。エヴァちゃんとチームが組みたいと思っている。」


 いや、午前中に来たばっかりだよね?断ったばっかりだよね?また来るとは言ってたけど、今日中にもう一回くるとは思わなかった。何?一日二回ペースで誘われるの?


 「ダメよ、この子は私の金づ・・・大切な仲間なんだから。お祈りの時にいないと困るの。」


 今、金づるって言おうとしなかった?


 「そうか・・・では、お祈りの時には間に合うように冒険に出る。それならどうだ?」

 「それならいいわよ。」


 いいのか。冒険ってそんな、お散歩感覚で行くものなのかな?


 「というわけで、エヴァ君。僕と一緒に・・・そうか、ダメか。・・・また来るよ。」


 そう言って、勇者君は教会から出ていった。今日はもう来ないよね?

 私も宿に行こう。教会から出ると、ユンがついてきた。


 「・・・今度はどうしたの?」

 「君は僕をかわいいって言ってくれたし、良く撫でてくれるから、君について行こうと思って。」


 結構自由なんだな。知能は高そうだし、飼う問題は少なそうだけど、餌代がなぁ。お金に余裕はないのだ。お店探すところから始めないといけないし。


 「・・・ウサギって何食べるの?葉っぱ?」

 「僕は雑食だから、だいたいなんでも食べるよ。ご飯は君の食べるものを、ちょっと分けてもらえればそれでいい。」


 喋るだけあって、普通のウサギとは違うのか。本人・・・本ウサギ?が言っているのだから間違いないだろう。それならあとは、ポフィーちゃん次第だなぁ。


 妖精の止まり木に着くと、いつもとは違い、結構な人がいる。・・・なんで?


 「あ、エヴァちゃーん。今日もいつものお部屋ね?」


 ポフィーちゃんがこちらに気づいて、駆け寄ってくれる。


 「この宿に女神が舞い降りるのを見たって人がいっぱい来ちゃって。でもエヴァちゃんの部屋は開けといたから、安心してねっ。」


 バチンっ!とウィンクをしてくる。嫌なものを見た。ユンを持ち上げ、盾にする。


 「あんらぁ?ウサギちゃん?」

 「どうも、僕もこの子と一緒に泊まっていいかな?迷惑はかけないよう気を付けるけど。いかんせん、ウサギなもんで。」

 「いいわよぉ?あの部屋はすでに、エヴァちゃん専用みたいなものだし。好きに使っちゃってぇ?」


 許可は得たので、銀貨一枚渡して部屋に向かう。その日の晩御飯は生野菜の盛り合わせが付いていた。


 「店主を見た時は、なぜこの宿を選んでいるのかと思ったけど。なかなかいい宿だね。」


 ユンは生野菜をかじりながらそう言っていた。一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入り、一緒にベッドに入る。・・・一人暮らしの女性がペットを飼う理由が少しわかった気がする。


 ユンを抱き枕にしながら、そんなことを思った。


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