1日目 村があったので行かない。
んー・・・?
目を擦りながら体を起こす。私、何してたんだっけ。
持ち物は大きな十字のついたショルダーバッグ、こんなの持ってたっけ?いやそれ以前に服装がおかしい。
身に着けていたのは白を基調とした可愛らしさを前面に押し出した服、頭には十字をあしらった白いベレー帽まで乗っている。私、黒い地味な服しか持ってないはずなのに・・・。
前方には柵に覆われた家々、近くの看板には見たこともないような文字で【ハジマリノ村】と書かれている、あれ?なんで私読めたんだろう?
とりあえず所持品の確認をしよう。ショルダーバッグを開けると中には巾着袋と一冊の本。巾着袋を開けると中には五百円玉くらいの大きさと形をした物が何枚か入っている。銀で出来たものが五枚、銅で出来たものがいち、にー、さん・・・十枚。お金かな?
本を取り出して見て見る。やっぱり見たことのない文字で書かれているけど読める。題名は『How to healer』ハウツーヒーラー?ヒーラー入門書?裏面も見て見る。お値段は銀貨一枚と銅貨3枚だそうだ。本の価値が分からないけど、私の所持金は遊んで暮らせる額ではなさそう・・・かな?
とりあえずハジマリノ村に行ってみる?いや、そもそも入って大丈夫かなぁ?入った瞬間、警備の人が飛んできて勝手に入るなーってめちゃくちゃ怒られたらどうしよう。
廃村って感じでもないしタブン人はいると思うけど。そもそも人に会えたとしてどうするの?私が見知らぬ人に自分から話しかけるの・・・?
・・・・・無理。
でも私にサバイバル経験なんてないし。木が数本生えてるだけの草原で誰の手も借りずに生きていくのは・・・。
行かないわけにはいかないんだ、勇気をもっていかなくちゃ。私は眉をひそめながらも深呼吸して決意を固める。
よしっ。
私はハジマリノ村・・・からはそう離れていない木に向かって、力強い一歩を踏み出した。
いや、ほら。How to healer先に読んでおいた方がいいと思うし・・・。