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3日目 無人販売所、それはこの世のオアシス。


 現在の所持品

 How to healer 1冊

 祈りの言葉の小冊子 1冊

 銀貨3枚 銅貨12枚

 空の水筒 1つ

 パジャマ 1セット


 服も買えたし、あとはご飯と飲み物だけ買って帰ろう。でもこの辺のお店に入っちゃうときっと注文しなきゃいけないよねぇ?それはできれば避けたい。


 かといって、大通りに戻るのも私の体と心が拒否している。どうしようかと悩みながら歩いていると、一軒の建物が目に留まった。木材のみのハジマリノ村と比べると、建材が増えたとはいえ木か石で出来ているのがほとんどの中、その建物は鉄板を組み合わせたような外見をしていた。赤のスプレーで落書きかと思いきや、お店の看板替わりらしい。


 【天才博士クッティプレゼンツ 全自動無人販売所】


 無人販売所!なんて魅惑的な響き!落書きチックなのと前についている怪しげな提供が気になるけど、無人の魅力には逆らえない。誰もいないならとりあえず入ってみればいいよね?


 中に入ろうと近づくが入り口が見当たらない。こっち裏側だったかな?きょろきょろしていたら、突如鉄板の一枚が横にスライドし、中に入れるようになった。・・・自動ドア?センサーの類は見当たらないけど。


 まぁ開いたならいいや。中に入ろう。


 「イラッシイマセ」


 出迎えてくれたのは、なんとく人型っぽくなっているがらくたの塊。前世の機械についても、この世界の魔法についても、全然詳しくない私としては、すごいのかどうかもよく分からない。天才博士って書いてあったしすごい技術なのかな?


 「コチラでゴチュウモンをドウゾ」


 両手で持つとちょうどいいくらいのサイズの液晶画面が、ロボット君から出てきた。メニューの一覧のようだ。矢印があるので、もしやと思って触ってみると画面がスクロールされた。どうやらタッチパネルのようだ。


 飲食物、発明品、パーツの3項目があり、何十ページもある発明品やパーツのコーナーに比べて、飲食物は2ページしかない。メインはあくまで発明品とかの方なのだろう。一応見て見るがめちゃくちゃ高い。何に使うかも分からないものが銀貨何十枚とかする。なんなら金貨まで出てきた。見たこともないけど金貨は銀貨何枚分なんだろう?発明品の値段から想像するに100枚かな?


 金銭感覚がおかしくなりそうだ。全財産払っても一つも買えない発明品コーナーは見なかったことにして、飲食物を物色する。物色すると言っても本当に少ない。サンドイッチが3種類に飲み物が3種類サイズが2種類ずつ。


 サンドイッチはグレードによって下が銅貨4枚、中が銅貨8枚、上が銅貨15枚に分かれている。15枚のやつとかいろいろ入ってておいしそうではあるが、宿代を抜くと私が一日に使えるのは銀貨一枚だ。そんな贅沢はできません。


 飲み物は水と紅茶とコーヒーの三つで値段は一緒。アイスとホットは選べて小が銅貨2枚、大が銅貨4枚。コーヒーは飲めないので紅茶にしようかな。サンドイッチの下を2つと紅茶のアイスの小を一つ注文する。


 「ゴチュウモン、アリガトウゴザイマス」


 ロボット君はそう言うと、壁に開いていた四角い穴に手を突っ込んだ


 キュイイイイイイ! ガシャアアアアン!! ドガアァアアアン!!!


 壁の向こうから凄まじい音がする。え?大丈夫?私がなにか悪いことした?

 とても不安になる音がしばらく続き、チーンという電子レンジみたいな音が鳴ったと思ったら、ロボット君が穴から手を引き抜いた。手には商品の乗ったトレーを持っていた。


 「オマタセシマシタ ダイキンはコチラのトウニュウグチへ コップはフツカイナイにヘンキャクグチにオネガイイタシマス」


 特に何事もなかったかのように接客するロボット君。商品はちゃんとしてるし、あれで正常なのね?ロボット君に開いていたコイン投入口に銅貨をチャリンチャリンと10枚入れる。コップは返却制なのか。この場で水筒に移しちゃおう。


 紅茶の小では水筒に半分くらいしかたまらず、私はもう一度あの怖い音を聞く羽目になった。


 次からは大で頼もう。



―――――――――――――――――――――――


 教会に戻り、昼食にする。うん、紅茶もサンドイッチも量産品って感じ。すごい音の割には普通の味がした。サンドイッチの具材は均一に切られてるし、味付けのマヨネーズも均一で機械で作った感がある。普通においしい。でも具材は似たようなものだけどルクーセ特製サンドイッチには到底かなわないな。値段も銅貨一枚高いし。


 ごはんを食べ終わると祝言の練習に入る。しばらくするとまた会釈祭りにお祈りの時間だ。ちなみにダンディーなおじさまは夕方のお祈りにも来ていた。ちょっとずつ投げキッスが自然に出来るようになってきた気がする。


 「お疲れ様。今日もポフィーちゃんのとこに泊まるの?」


 頷きながら、銀貨を受け取る。他に宿知らないしなぁ。


 「もちろんいいんだけど、あそこの晩御飯メニュー変わらないからそこだけは我慢してね?」


 私の食生活がサンドイッチ、サンドイッチ、野菜スープで固定された。

 え、栄養は取れてるし?食事メニューと対人する苦悩を比較し、メニューを犠牲にすることにした。ポフィーちゃんの宿に向かう。


 「いらっしゃーいっ!エヴァちゃんってば本当に天からの使いなのねぇ!天使を呼び出すところ生で見ちゃったーっ!」


 ポフィーちゃん来てたの?こんな全身ショッキングピンクな人、気づかないわけないと思うんだけど・・・。外からのぞいてたのかな?とりあえず天からの使いになった覚えはないので、微妙な顔で銀貨を1枚渡す。


 「はーい、昨日と同じ部屋ね。あなたに妖精の加護があらんことを。」


 この宿の決め台詞なのか、何やらファンタジーな決め台詞を唱えて投げキッスを飛ばしてくるポフィーちゃん。寝るときに、ポフィーちゃんの顔を思い浮かべちゃいそうだから勘弁してほしい。


 部屋に入ると暇さえあれば祝言の練習。ポフィーちゃんが届けてくれた情報通りの野菜スープに舌鼓を打ち、食べ終わるとお風呂に入りながら洗濯を済ませてしまう。今日は全部洗えるんだー。


 新品のパジャマに着替える。うん、良い感じ。


 これで衣食住の揃った生活が出来るんじゃなかろうか?


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