3日目 服屋といえばユ●クロだよね?
現在の所持品
How to healer 1冊
祈りの言葉の小冊子 1冊
銀貨4枚 銅貨5枚
ルクーセ特製サンドイッチ 2つ
半分ほど水の入った水筒 1つ
おはようございます。
心配していた服は良く乾いていた。ドライヤーでもかけたみたいにふわふわだ。なんでだろう?これもウールに見えて私の知らない素材なのかな?まぁ乾いてる分にはいいか。
朝食にしようかとも思ったけど、朝のお祈りがいつ始まるか分からないし早めに行っておこう。支度を済ませてチェックアウトに向かう。フロントには誰もいなかったが紙が一枚置いてあった。
『鍵をこの箱に入れておいてね、可愛い子猫ちゃん。うっふん。 謎の妖精より』
なぜかキスマークまでついている。書いてある通り、鍵を入れると宿から立ち去る。すぐ近くの丘を確認すると教会に向かう。
教会の入り口はすでに開いており、タフティが笑顔を張り付けて立っていた。私が近づくと笑みが深まった気がする。タフティは特に話しかけてくることもなく会釈だけしてきた。中にはすでに3人ほど人が来ていたのですでに猫かぶり状態なのだろう。
今日も一番右後ろの席を陣取り、祝言の練習に励む。この時間でご飯食べていいのかなぁ?教会って飲食禁止だったりするのかな?まぁそんなにお腹空いてるわけでもないし、あとでいいか。
次々と人が現れ、前の方から座っていく。私の姿を見ると会釈する人が結構いた。とりあえず同じように会釈で返す。中には一人、ひげを蓄えたダンディーなおじ様がこちらに投げキッスを飛ばしてきたので、一応首をかしげながらも投げキッスで返しておいた。この辺のあいさつなんだろうか?
昨日よりも多めの人数が教会に入る。長椅子の半分くらいは埋まってるだろうか?お祈りが始まると聖なる光で出来たルクーセおばちゃんが空を舞う。多少のざわつきは起きたが、すぐに収まる。昨日見た人も多いのだろう。
お祈りが終わると人が散っていく。やはりタフティだけでなく私にも会釈をする人が多く、おじ様は帰り際には両手で投げキッスをしていった。会釈を返し、首をかしげながらも両手で投げキッスを返す。これ、合ってるんだろうか?
「いやぁ。今日は大量だねぇ!昨日の天使様を噂を流したかいがあったかな?はい、これ朝の分ね。」
人がいなくなるとタフティがそう言いながら、銀貨1枚を渡してくれる。噂なんて流してたのか。
とりあえず飲食していいか知りたい、ここは静かで薄暗くて落ち着くのだ。私はサンドイッチを右手で取り出して左手で地面を差す。
「ん?くれるの?ありがとう!」
タフティはそう言うと私の取り出したサンドイッチを食べてしまう。あー・・・。
「ん?ナニコレ!おいしい!どこで売ってるやつ?」
タフティが顔をほころばせる。それを見た私はすぐに機嫌がよくなる。そうだろうそうだろう。ルクーセ特製サンドイッチはすごくおいしいのだ。でも場所を教えてあげたくてもハジマリノ村の方角はちょっと分からない、何となくで指をさす。タブンあっち。
「いや、指さされても・・・。」
それもそうか。とりあえず教会内での飲食はタフティ本人が食べてるし大丈夫そうかな?最後のサンドイッチを取り出す。そういえばサンドイッチって悪くなるまで結構短くなかったっけ・・・。袋に入ってるだけで密閉されてないし、日、跨いじゃったけど大丈夫かなぁ?目視で確認してにおいを嗅いでみる。大丈夫そうだけど・・・まぁダメでも死にはしないか。
ぬるくなった水筒の水と一緒にいただく。うん。何度食べてもルクーセ特製サンドイッチはおいしい。
「あ、そういえば教会内って飲食禁止だっけ・・・。ま、いっか誰も見てないし。」
そういってタフティはサンドイッチを食べながら構内の掃除を始めた。
・・・なんでタフティはシスターやってるの?
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教会で朝食を済ませると、街に出る決意を固める時間が始まる。もう手持ちの食糧も水もないし、着替えも買いに行きたい。でも、あの人込みには紛れたくはない。
・・・・・・・・頑張ろう。
体が重いのを感じながら丘を下りると、街中に入っていく。お店の場所とか全然わかんないけど、とりあえず人がいそうなところかな?にぎやかな方へと進むと町の真ん中の大通りに出た。
大通りには人がごった返していた。左右には所狭しと露店が並び、見たこともないような果物っぽいのから、見たこともないような野菜っぽいのから、そもそも何か予測もつかないものまでいっぱいだ。肉っぽいのを専門で扱ってるところもあったが、色がカラフルでとても食べたいとは思えなかった。
人にぶつからないように人込みを歩く。私の背の高さでは両側は見えない。左に寄って左にあるお店だけ見て回る。ていうか人が多い。気持ち悪くなってきた。もうちょっとがんばったら逃げ出そう。
あ、布を売ってる露店は見つけた。簡単なつくりのなら作れるし、自作した方が安いか?いや、道具から揃えないといけないし、そっちの方が高くつくだろう。
とりあえず私の限界が来たので大通りから逃げ出す。ふぅ。あれ、私さっきまで息してたっけ?
大通りから一本外れた道も、人が四人くらいなら並べそうなほどに広く。ガラス張りで商品を見せている店が立ち並ぶ。人もまばらでいい感じだ。最初からこっちで探せばよかった。
きょろきょろしながら歩いていると、服を展示しているお店を見つける。服屋の店員といえば、やたら話しかけてくるイメージなんだよなぁ。私は大手の量産系の服しか買ったことないから知らないけど。
まぁタフティみたいに、逃げられないように捕まえてきたりはしないはずだ。やばそうな店なら即逃げよう。
カランコロン
ドアを開けるとドアに付いていた鈴の音が響く。
「いらっしゃい。」
やる気のなさそうなおばちゃんが、カウンターに頬杖ついてそう言った。
いい!特にやる気なさそうな感じがすごくいい!
心安らかにお店の中を物色する。一通りの物はそろいそうだ。相場は分からないけど、見た感じ高すぎることもないと思う。
素材と値段を見て、寝る時の服装を一式見繕う。今着てる服が目立ってちょっと嫌だから変えたいけど、そんなムダ金を使ってる余裕はない。服は着れればそれでいいと思う。
「銀貨1枚と銅貨13枚だね。」
痛い出費だけど、衣食住は必要経費だと思う。収入源もできたし、これくらいは仕方ないだろう。銀貨2枚を渡し、お釣りを受け取ると店を後にした。
これで毎日洗濯ができるぞ。