第2話 新たな街
都会とは違って、車内から見える景色は田んぼや山に森林が多く見える。 小屋や近くに流れている川はどこか澄んでいるように見える。
出雲は空気も美味しいんだろうなと、今までとは違う環境に胸を膨らませていた。 そして、アナウンスから十分経過後に中原町に到着した。
中原町駅は人通りが少なく、休日なのにシャッターが下りている店が多数あるものの営業をしている店もあるようである。 出雲は改札を出ると深呼吸をして駅前にあるロータリーを歩いていた。
車もそれほど来ることはないのでロータリーが寂しそうである。 出雲は祖母の住所をスマートフォンで調べて、地図アプリで中原町を歩いていく。
祖母の家は駅から十分程のところにあるようで、出雲は周りを見渡しながら歩き続ける。 途中で同い年くらいの男子や女子を見つけ、同じ学校なのかと想像してみる。
「ここで新しく暮らしていくんだ。 良い生活と人生を送っていこう!」
そんな意気込みを呟きつつ、出雲は祖母の家に到着をした。 祖母の家は敷地面積が広い日本家屋のようで、敷地内の離れに平屋が建ててあった。
出雲は広すぎると思いながらも、こんな広い家で生活できるのは凄いなと感動をしていた。 そして、意気込んでインターフォンを押した。
インターフォンのボタンを押してから数十秒後に、玄関を開けて祖母の姿が見えた。 祖母は白髪の長髪で、背中が少し曲がっていたが杖をを持って元気に出雲に挨拶をした。
「良く来たね。 長旅で疲れただろう? 早く家に入ってゆっくりしようね」
そう言って前を歩いていく祖母の後ろをゆっくりついていく出雲は、敷地内にある池を見たり木々を見て広い場所だなと感じていた。
「さ、お入り。 玄関の先にあるリビングの椅子に座ってね」
そう言われて出雲は出されたお茶を一口飲んで、新天地に引っ越してきたんだなと実感をしていた。 お茶は地元の名産の一つである郡舞茶である。
群舞茶は深いコクと後味が甘いことから不思議なお茶として日本全国で人気のお茶である。 出雲はそのお茶を三杯程飲むと、祖母が落ち着いたかいなと話しかけてきた。
「ありがとうございます。 それにしても家が広くて驚きました……」
出雲が敬語で話すと、祖母はいつまで敬語で話しているのと注意をした。 出雲はそれに対して分かったと言う。
「そう言えば、俺はどこに住めばいいの?」
その言葉を聞いた祖母は、離れの平屋を使うといいよと言う。 晩御飯は自炊したり言ってくれれば作るから、自由にしていいよと言ってくれた。
「ありがとう! 早速行ってみたい!」
出雲のその言葉に祖母はこっちだよと出雲を案内した。 平屋と言われていた離れは、二階建てであり、一人で暮らすには広すぎるくらいであった。
「ここで俺は暮らすんだ! 広くて凄い!」
一階にはリビングやトイレに風呂があり、家具などは揃っているようである。 そして奥にある階段を上って二階に行くと、そこは一階ほど広くはないが、少し広かった。
「ここを自室にして、一階をリビングとか色々できる場所にしよう!」
出雲はここで暮らす上でどう過ごそうか考えていた。 それを考えるだけでワクワクして笑顔で周囲を見渡している。
それを見た祖母は喜んでくれて良かったと笑い、食べ物とかこれから色々持ってくるわねと言う。 出雲はそこまでしてもらって悪いと言うが、娘の罪滅ぼしにさせてと言ってきた。
「なら仕方ないけど、無理はしないでね」
そう言うと涙目になってしまう祖母だが、孫に慰められるのはダメだとすぐに笑顔になった。




