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桃と太郎と異世界と  作者: P.O.N.
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第1話 白い部屋と黒い本と異世界と

初めての作品となります。

つたない文章でお目汚しとなりますが、良かったら読んでみてください。

「う、うーん、ん?」


 気が付くと僕は、真っ白な部屋の中にいた。

 比喩とかでもなんでもなく、本当に真っ白なんだ。正直、壁と床の境目が分からないって異常だよね。だから、周りを見渡してもひたすらに、白、白、白。


「此処は何処なんだろう?」


 ついさっきまで、友達と教室で話してたと思ったんだけど、周りには誰もいない。大丈夫、記憶はあるみたいだ。だけど、ほんの少し前のことがあやふやで、どうして自分がここにいるのかは分からない。

 ちょっと頭痛がするけど、身体は問題ないみたい。服もちゃんと着てる。学生服だけど。靴も履いてる。


「ん?なんだろ・・・」


 足元に目をやると、真っ黒な本が落ちていた。やっぱり見ないとダメだよね。どう考えても怪しいけど、他に頼るものもないし。

 本の表紙に目をやると【真実の物語】って書いてある。そしてその下には「※読んだら後戻りできません。死ぬ覚悟を決めて読んで下さい」って書いてあった。


「なんだよこれ・・・、死ぬ覚悟も何も、意味が分からないよ」


 どうしよう、正直ちょっと怖くなった気持ちもあるし、読みたくない気もしてきた。でも、読まないことには自分の状況が分からないんだよね。多分唯一の手掛かりだし。でも・・・あれ?もっと下の方に、小さい字で更になんか書いてある。「※あ、でも結局読まないと此処から出れないから、どっちにしても一緒か(笑)」


 イラッ


 何だろう、初めて此処にきてこの状況に対する不安以外の感情が芽生えてきた。


「なんかムカつくけど、結局読めばいいんでしょ!読めば!」


 そうして僕は、真っ黒な本を読むことを決めた。なんか腑に落ちないけど。

 決意はしたものの、やっぱり命が懸かってると言われるとなかなか表紙を捲れないよね。でも覚悟を決めて恐る恐る表紙を捲ると、中は真っ白だった。


「あれ、何も書いてない?」


 おかしいな、捲っても捲っても白紙しか無い。あれ?あれ?

 ・・・

 結局最後まで捲ってしまったよ。何だよもう!何が死を覚悟しろだ!怖がって損した・・・と最後の表紙を閉じた瞬間だった。


「ウアアアアァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」


 表紙を閉じた瞬間に突然衝撃が頭を襲った。違う!衝撃じゃない!情報だ!とてつもない情報が頭に入ってきて・・・

 そこで僕の意識は途切れてしまった。


「まずは合格」


 僕の耳元でささやく声があったけど、意識の無い僕には知る由もなかった。




「知ら・・・」


 危ない危ない、人生で一度は使いたいセリフ、トップ5をもう使ってしまうところだった。

 意識を取り戻した僕が瞼を開くと、そこには見たこともないような豪華な宝飾がされている天井があった。


「お目覚めかな?勇者殿」

「へ?勇者?」


 突然声がしてビックリしたけど、勇者と呼ばれて声のした方を見上げると、そこには数人の人達が立っていた。

 どうやらここは、何かの儀式の為の部屋みたいだ。変な魔方陣のような物の中心に僕がいて、それを取り囲むように人が立っている。

 鎧を着た人、何だか高そうなローブの人、王冠をつけた人がいる。あれ?顔がよく見えないけど、王冠てことは王様って事だよね?


「日本に王様っているんだっけ?」

「ほっほ、どうやらまだ混乱されているようだ」


 あ、つい思ったことが口から出てしまった。だけど、気を悪くした様子もなく、そのまま話は続いた。


「勇者殿、ここは貴方が居た世界とは別の世界、そう異世界と言うべき場所になります。突然の事で、混乱されているかと思うが、先ずは落ち着いて私共の話を聞いて欲しい。」

「え、異世界?ぼ、僕が勇者?」

 

 正直、言ってる意味が分からないし、皆で僕を騙そうとしているのかと思ったけど、どう考えてもさっきまで居た教室じゃないし、白い所でもないし、そしてどう見ても目の前の人達は日本人じゃない。

 そんなことを考えていると、さっきから僕に話しかけてくる高そうなローブの人が優しく話かけてきた。


「取り合えず、貴方の名前を伺っても宜しいかな?私は、ユグナイテッド王国大臣のチャーイル・ドロスという。気軽にチャーイルと呼んでくれて良い」

「大臣さん!?」


 やっぱり、この人は偉い人のようだ。僕は、慌てながらも出来るだけ落ち着きながら自己紹介をした。


「ぼ、僕の名前は、桃田太郎です!え、えっとチャーイル大臣さん」

「ほっほ、異世界の方は、やはり変わったお名前をお持ちのようだ。モモタロー殿といわれるのか。」

「あ、いや、モモタローじゃなくて、モモタ、タロウです!」

「ほっほ、モモタロー殿じゃな」

「いえ、モ・モ・タ、タ・ロ・ウ、太郎が名前です!」

「おおっ!?今回の勇者殿はとても威勢がいいようじゃ。タロー殿でよろしいかな?」

「あ、はい!」


 あうぅ、偉い人に向かって口答えしちゃったよ・・・、でも小さい頃から名前の事でいつも弄られてたんだよね、桃太郎って。だから、これだけは何としても阻止したかったんだ。何とか、タローで僕の名前は決まりそうだよ。

 でも今回のってどういうことだろう?

 そんなことを考えてたら、チャーイル大臣さんの後ろから女の人の声が聞こえてきた。


「ふむ、チャーイル、そろそろ私とも話をさせて貰えるか?」

「おお、これは失礼致しました、エリーナ様。タロー殿、此方がユナイテッド王国女王、エリーナ・ザーベス2世様じゃ」

「じょ、女王様!?」


 やっぱり王冠の人は、王様だったのか!

 顔がよく見えなかったら分からなかったけど、女王様みたいだ。チャーイル大臣さんが横に下がると、後ろに控えていた女王様が前に出てきた。

 

「勇者タロー殿、チャーイルから聞いた通り、私はエリーナ・ザーベス2世、この国の女王をやっている、よろしく頼みますね」


 エリーナ女王様は、多分80才くらいだと思う、そのしわしわの顔で、優しく微笑みながら僕に話しかけてくれた。



「あ、はい、宜しくお願い致します!」


 偉い人に対する話し方なんて知らないけど、僕は出来る限り丁寧な言葉で返事をした。


「ふふ、あまり緊張せずとも大丈夫ですよ。異世界の勇者殿を召喚するのは初めてではありませんので、タロー殿の状況も大体把握しています。後ほど詳しくお話を致しましょう」

「え?やっぱり僕が初めてじゃないの!?」


 つい素っ頓狂な声が出てしまったけど、前例があったなんてビックリだよね。でも、色々教えてもらえそうだし、とりあえず一安心かな・・・と思っていると、女王様が話を続けた。


「詳しいことは後ほどですが、タロー殿には伝えねばならぬことがあります」

「は、はい!?何でしょう!?」


 先ほどまでの優しい表情は消え、真剣な眼差しになった女王様は、言葉を続けた。


「勇者タロー殿、あなたには魔王の討伐をしていただかなければなりません」

「へ?魔王・・・?討伐?」



 突然の異世界召喚、そして突然の魔王討伐。

 こうして、あまりにも突然で、理不尽な僕の物語が始まった。

 


投稿時期に関しては、完全にマイペースとなります。

今後ともよろしくお願い致します。

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