「傷痕」
遠い昔に負った心の奥底で腐り続けていく傷跡をあなたに見せてしまって良いのかどうか。
それにずっと悩まされ続けている。
怒鳴り声しか聞こえてこない家族に負わされたこの心の傷痕を、そして、そのせいでこんな有様の私があなたの前にいることを、
それをあなたに話していいものかどうかにずっと悩み続けている。
全てを打ち明けて、
あなたはまだ私に微笑んでくれるだろうか。
全てを話して、
あなたはまだ私に笑ってくれるだろうか。
心の傷痕が治らなくて、
人らしく笑えない私のことを受け入れてくれるだろうか。
嫌われてしまうのが怖いから。
私は話せないのです。
それでも私に向けてくれるあなたの笑顔が。
私はとっても嬉しいのです。
そのおかげで。
腐り続けていく心の傷痕が、
少しは遅くなっているような、ちょっと再生していくような、そんな感じなのです。